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アジアにおける国際金融協力

アジア地域の通貨協力体制整備に向けた提言を重ねる著者がその研究と実践活動を通して綴った論文、随筆などを集大成した。九部構成。1975年に発展途上国を中心に発足したアジア決済同盟の現実、理論展開とあわせ、日本経済の舵取りを米ドル圏の枠組みで進めてきた大蔵省の消極姿勢もリアルに描かれている。

アジア決済同盟構想を推進してきたエール大のロバート・トリフィン教授や著者らに、大蔵省財務官も加えた座談会(「週刊東洋経済」昭和43年9月21日号)も収められ、「ロンドンやニューヨークをブローカーとして何もかもチャンネルする仕組みは長期的に存続しない」と国際金融の分権的発想を説くトリフィン教授の肉声は、著者の存念でもあろう。ユーロが生まれ米国一極支配が色濃い34年後の今日、アジアの金融の主体性に軸足を置く主張は米国に傾斜する経済通の「常識」を鋭く撃つ。
書籍名 アジアにおける国際金融協力
著者名 生物資源科学部教授 緒田原涓一・著
月号 2002年秋季号 No.93
価格 5,000円(税別)
出版社情報 東京都世田谷区下馬3-30-18、国立出版