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国木田独歩論

大学時代から国木田独歩を追い続けてきた著者の研究発表十一編を収めている。母の連れ子として国木田家に入籍された独歩の「出生に関する疑問」に始まり、東京専門学校時代や徳富蘇峰を後見として設立した青年文学会とのかかわり、佐々城信子との恋愛など、主に作家以前の独歩の生き方を、日記『欺かざるの記』などの記述を通して考察する。

独歩は明治二十七年十月から半年間、国民新聞の従軍記者として旗艦「千代田」に乗る。弟に呼び掛ける書き出しの従軍記が人気を呼び、新聞の売り上げも急上昇する。その後、文学の道に進むが、作品に社会状況の変化をいち早く取り入れるのは、この時のジャーナリストの目が根底にあると分析する。詩人としてエマーソンの「詩人は自由なり、故に詩を造る」の考えに共感する一方、「女は禽獣なり」と唱える強い女性蔑視の背景についても探っている。
書籍名 国木田独歩論
著者名 理工学部教授 小野末夫・著
月号 2004年秋季号 No.101
価格 4,000円(税別)
出版社情報 東京都千代田区飯田橋2-16-3、牧野出版