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あ行

支倉常長

安土桃山時代から江戸初期にかけての武将、仙台藩主伊達正宗は慶長18年9月、家臣の支倉六右衛門長経(通称常長)を、メキシコとの直接通商交渉を名目にメキシコ経由でスペインとローマに派遣した。この使節は日本の対外交渉史上で名高い「慶長遣欧使節」。スペインとの同盟締結という裏の使命が秘められていたが、訪問先ではキリスト教弾圧国から来た厄介者扱いに。結局、支倉は未知の異郷で七年余の間、辛酸をなめながら、使命を果たせなかったばかりか、帰国後はキリシタン禁令の下で悲惨な遍塞を強いられた。

本書は、同使節に関する学術書を記している著者が、30年以上にわたって採録した海外資料や新資料を通して江戸初期の西欧人の日本人観、政宗の同使節派遣の背景、目的、使節失敗の原因などを克明に追跡している。長年の苦難に耐えた支倉の姿は、現代人でも学ぶべきものが多い。
書籍名 支倉常長
著者名 日本大学国際関係学部教授 大泉光一・著
月号 1999年夏季号 No.80
価格 660円(税別)
出版社情報 東京都中央区京橋2-8-7、中央公論新社