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カラスとネズミ ヒトと動物の知恵比べ

 シリーズ「現代日本生物誌」の第一巻。野生動物がどんどん姿を消していく大都会で、カラスとネズミは人間に嫌われながらますます繁栄している。それはなぜかを、現場で調査、その生態を明らかにするとともに、人間はどのように付き合って行ったらよいかを提言した貴重な力作。
 特に第一部「カラス」の著者の川内教諭は、都市鳥の研究で知られ世界各国に何度も足を運び、著作を残している。本書では夏の土曜日の夜、東京・渋谷に出向き、終日張り込んでカラスの動静をチェック。路上に置かれたゴミを漁り始める時間帯やゴミを引っ張り出す様子などの観察結果をルポ風に詳しく記述する一方、日本と世界のカラス事情を明らかにし、大都市の「カラス公害」は、基本的にゴミ問題で、ゴミ収集の仕方など行政や住民の方に問題があると結論付けている。「足で書いている」だけに大いに説得力がある。
書籍名 カラスとネズミ ヒトと動物の知恵比べ
著者名 豊山高校教諭 川内博
国立科学博物館研究官 遠藤秀紀・著
月号 2000年秋季号 No.85
価格 1,900円(税別)
出版社情報 東京都千代田区一ツ橋2-5-5、岩波書店