これまで出版された英米作家に関する事典のほとんどは、数多くの作品を残し、かつすでに一定の文学的評価を下された作家を収録することを一種の暗黙の了解としてきた。

本書は、このような従来の文学事典の概念や常識から少し離れ、われわれ独自の図書経験から得られた認識を頼りに、現代の英米作家、とりわけ第2次世界大戦以降に作家として出発するか、あるいは少なくともその時期に主要作品を発表し、現在もなお活動を続けている作家を取り上げるという基本方針を貫いている。このため従来の作家事典では当然取り上げられるべきフォークナー、ヘミングウェイ、ドス・パソス、スタインベック、ロレンス、ウルフ、ジョイス、フォースター、オーウェルなどの現代英米作家の名前はない。

本書では、付録を充実させており、研究者には一定の資料的価値があるし、特に初学者に有用である。