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吉田松陰の実学 世界を見据えた大和魂

「百年は一瞬のみ、君子素餐(そさん)するなかれ」と揮毫した詩書扇面を塾生最年少の山田顕義に与えた吉田松陰は時代を先駆し、三十年を生きた。未来への的確な予見のため、目下の情勢の観察を怠るなと塾生に説いた「飛耳長目」の精神は勝陰の実学である。本書は、近年発見された新史料「日本紀行」「燕都流言録」「高須久子自作茶碗」などを検証。新たな解釈を加え、松陰の実像に迫り、日本という国家を新たに築くための生命をかけた実践主義の偉大な指導者・教育者の姿を描き出していて、興味は尽きない。

「松陰、世界に挑む」「実学の人は、いかにして生まれたか」「受け継がれる大和魂」の三部構成だが、第三部の「松下村塾」の項には、松陰が未来を託した塾生たち、久坂玄瑞ほか十人の簡潔な人物伝があり、世界を見据えて日本の夜明けの時を生きた若者たちをしのぶことができる。

書籍名 吉田松陰の実学 世界を見据えた大和魂
著者名 霊山歴史館学芸課長 木村幸比古・著
月号 2005年秋季号 No.105
価格 760円(税別)
出版社情報 東京都千代田区三番町3-10、PHP研究所