現代英国政治の基礎理論
議員内閣制をとる日本の民主政治にとって、思想と手法を学んできたはずの英国の政治への理解が不足していないか。現在、主流をなす米国政治学にしても、もとは英国の学問的潮流に沿ったものでないのか。著者はこの熱い目で、米国の同時多発テロ、EUなど今日的テーマを絡めて、世界の政治学者の思考を検証し、仏露における半大統領制政治機構の事例などにも筆を進める。
全五章のうち、二章「政治的イデオロギーの再考」では、自由・保守・社会主義に関し、今、過激な行動が目を引く宗教原理主義や、環境主義を含めて概観。英国政府の役割、内閣と首相などに触れた三章「現代英国政治機構についての再考察」では、サッチャー、ブレア政権の際立つ違いも浮き彫りにする。先進国日英の自由民主主義政治において「六割は共通し、残り四割の差異が問題」という著者の実感が示唆に富む。
書籍名 | 現代英国政治の基礎理論 |
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著者名 | 法学部教授 倉島隆・著 |
月号 | 2003年夏季号 No.96 |
価格 | 3,000円(税別) |
出版社情報 | 東京都文京区音羽2-2-2、三和書籍 |