生きてますか 今日も
「歯科診察室受付日誌より」の副題が付いているように、長年、障害者歯科の受付窓口に勤務している著者の目を通して、病院を訪れる患者やその家族のつらさ、悲しみ、小さな喜びなどを詩とエッセイでつづっている。「ここに居てもいいですか」(平成九年)「小さな天使たち」(同十三年)に続く三冊目の刊行。
病院で「歯を悪くされた」と怒鳴る男性、若いのに人より早く老いる女性、歌手になりたいと家出してきたダウン症の女の子、子どもの障害を悲観して無理心中した父親・・・。そんな人たちに温かいまなざしを注ぎながら、切ない心の叫びを代弁する。苦しい思いをしながらなぜ生きているのかーと。
「生きている以上は逃げることはできないんだね。生きていて幸せなの。(中略)分からないままに、歩いてみよう。明日のことを、少し信じて」。患者たちを思いやる著者の祈り、応援歌でもある。
書籍名 | 生きてますか 今日も |
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著者名 | 松戸歯科病院管理課主任 中村ふく(訓子)・著 |
月号 | 2004年春季号 No.99 |
価格 | ー |
出版社情報 | キノエネ中島印刷 |