人間パズル―生命科学と神の領域…
遺伝子治療や万能細胞の技術をヒトに使える時代に入った新医療の将来に何が待ち受けているのか。サブタイトルに「生命科学と神の領域」とあるように、本書はこの避けて通れぬ「人間」の問題に鋭く迫る。
疾患で病変した部分を新しい細胞や組織に取り換える「パーツ交換医療」の行く手には福音と同時に、治療後、別人あるいは ロボット同然になってしまうことへの懐疑が果てない。ヒトの細胞にテロメラーゼの遺伝子を導入し若返らせて体内に戻すことで不老長寿が可能になったとして も、では本当にいつまでも死なぬ状態は人類にとっていいことなのか。
著者は、この重い命題を該博な知識を駆使し、医療現場の取材をもとに、しなやかにジャーナリスチックに展開する。相当の医学知識を要するとっつきにくいテーマながら、映画の極めつけシーンもふんだんに織り込み読者を引き込む比ゆ力が光る。
書籍名 | 人間パズル―生命科学と神の領域… |
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著者名 | 総合科学研究所教授 高木美也子・著 |
月号 | 2002年夏季号 No.92 |
価格 | 1,400円(税別) |
出版社情報 | 東京都千代田区麹町4-1-4、かんき出版 |