開催日時
令和元年5月17日(金)14時40分~16時10分
表題
「巨大災害にどう生き残る」
講師
危機管理学部 教授 木下 誠也
令和元年度前学期 第1回公開講座の開催報告
令和元年度前学期 第1回公開講座の開催報告

巨大災害になると自助が重要となり,自らのリスクを知っておく必要がある。国土交通省ハザードマップポータルサイトで,災害リスク情報,土地の情報を入手できる。南海トラフ地震や首都直下地震などの被害想定は,内閣府や東京都が公開している。ただし,被害想定は一定条件で算定されたものであり,想定以上の被害が起こり得ることを念頭におく必要がある。また,市区町村が浸水予想区域図を提供しているが,半地下家屋や地下室への下水道からの逆流や道路からの流れ込みについては各戸ごとに検討する必要がある。
自身のリスク評価に加えて,ライフラインの安全性にも留意する必要がある。どの河川のダムに依存しどの浄水場を経て蛇口に水が送られてくるのか,汚水はどこで処理されるのか,さらに避難・救助や物資供給はどのルートを経由するのかなどを把握しなければならない。

災害の備えや応急手当,生活再建支援制度などの情報は,各地方自治体のマニュアルに示されている。雨量,水位等は,地方自治体等が情報提供していることが多い。主要な河川の水位と雨量は,国土交通省が情報提供している。近隣の雨量だけでなく,河川上流域の累積雨量も注視する必要がある。

災害時には,迅速に情報収集し避難活動等を開始する必要がある。平成27年常総水害を契機に‘マイ・タイムライン’をつくる動きが拡がっている。防災関係機関の防災行動計画を時系列で整理するのがタイムラインであり,マイ・タイムラインは住民それぞれの事情に応じたタイムラインをつくって自身がとる標準的な防災行動を時系列に整理するものである。あらゆる災害を想定して,住民自らマイ・タイムラインをつくり,適切な情報にもとづく迅速な防災行動により‘逃げ遅れゼロ’が実現することを期待したい。