- 開催日時
- 令和元年12月20日(金)16時30分~18時00分
- 表題
- 「外国人材の受入れに関する政策・制度の変化と今後の課題」
- 講師
- 危機管理学部 教授 髙宅 茂
外国人の受入れは,出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という)に基づいて行われており,第2次世界大戦後の我が国の外国人の受入れ政策の変化を,同法の制定以来の運用や改正によって見ることとする。
制定当初の入管法は,米国法の影響が強く,永住目的での入国に関する規定も定められていたが,平成元年法律第79号による改正で抜本的に改められた。
同改正は,外国人労働者の受入れ問題への対応という形で行われ,同改正により永住目的での入国に関する規定が削られるとともに,専門的技術,技能,知識等を要する業務に従事する外国人就労者を受け入れるという政策が確立された。
同改正後は,今後の検討課題とされたいわゆる単純労働者など同改正において受入れ範囲外とされた分野で就労する外国人が不法滞在も含めて様々な形で流入した。
その後,近年になってからは,同改正で新設された補充的,例外的な在留資格である「特定活動」の活用による外国人の受入れの拡大が進められ,「介護」の新設などの整備も行われた。
そして,「経済財政運営と改革の基本方針2018」において,移民政策とは異なるものとして外国人技能者の受入れを拡大することが定められ,平成30年法律第102号による入管法の改正で,「特定技能」が新設された。
このような変化の中で,在留外国人,とりわけ中長期在留者の増加が顕著となり,在留外国人の身分関係,居住関係,活動状況の把握のための制度及び外国人住民に係る住民基本台帳制度が整備された。
しかし,今後,更なる外国人就労者の受入れが進むと予想され,日本社会における軋轢や分断の発生を防止するためにも,受け入れた外国人に対するオリエンテーション的な施策の実施とともに,長期的な生活を前提とした生活基盤の整備が必要となると考えられる。