アスリートインタビュー

2020年シーズンからJリーグ・北海道コンサドーレ札幌への加入が内定している本学サッカー部の金子拓郎選手(法・4年)。関東大学リーグ1部昇格を目指すチームを副将として引っ張る一方で、「2019年JFA・Jリーグ特別指定選手」に認められたことでJリーグの試合出場も可能となり、すでに3月〜5月で公式戦7試合に出場した。大学の優勝&1部復帰と札幌でのレギュラー奪取、二兔を追う大学生Jリーガーの挑戦に注目だ。

自分を信じて、この道を行く。

ゴールデンウイーク明けの5月7日、金子選手は午前10時からのコンサドーレ札幌の全体練習に参加。前日、大学リーグ戦出場後に札幌へ移動するという強行軍だったが、その表情には充実感も漂う。宮の沢白い恋人サッカー場に隣接するクラブハウスで、プロとしてのここまでを聞いた。

―チームには慣れてきましたか?

そうですね、皆さん優しいし、チームに合流するようになってから時間も経っているので、慣れてきています。札幌に来るのはこれで4回目で、結構行ったり来たりしているので大変です。こちらでは寮に泊めさせてもらっていますが、若手のメンバーがいるので、食事をしながらいろいろ話をしてコミュニケーションを取るようにしています。サッカーの話はあまりしませんけど(笑)。

―気持ちの面で変わってきたことは?

もちろん、練習生として参加している時とはモチベーションが違います。仮契約をして、来年はこのチームに加入することが決まっているわけですが、幸いにも特別指定選手として試合にも出させてもらっているので、この特別指定の期間に結果を出して、どんどんアピールしていかなければと思いますね。

―3月の名古屋戦でJ1デビューとなりました。

あの時はもともと、練習に参加したら帰る予定だったんですが、急遽ベンチ入りすることになり、飛行機の予約もキャンセルしてって感じで慌ただしく、ちょっと驚いてはいたんですけど…。試合がもっと拮抗していたら出られなかったでしょうが、0対4という状況になったのでチャンスをもらえたんだと思います。

―「行くぞ」って声を掛けられたときは? 

テンションが上がりました。「ヨッシャー!」っていう感じで。ベンチではいつでも行ける準備をしていたので、出る時も戸惑いはなかったですね。

―ピッチに出て感じたことは?

まず、スタンドの雰囲気が凄かった。その日は3万人ちょっとの観客が入っていましたが、とても迫力を感じました。それと、やっぱりJリーグの選手は大学と比べても強度が高くて、自分は入ってからずっと息が上がっているというか、結構きつかったです。プレーしたのは30分くらいでしたが、あっという間に終わってしまい、あまりよく覚えてないですね(笑)。

―プレーして感じたことは?

名古屋の選手がとても上手くて、全然ボールも取れなかったんですけど、取りあえず走ろうと思っていました。最初にボールが来たときは普通にできましたが、途中で何本かミスがあったので、「できる!」っていう感覚と、「ミスをもっと減らさなきゃ」っていう、両方の感覚がありましたね。

―試合後に周囲から何か言葉は?

「おめでとう!」っていう言葉はたくさんもらったんですけど、自分としてはそんな「おめでとう」という感覚ではなかったですね。もちろん言葉を掛けてもらうのはうれしいんですが、年齢的にもう22歳になりますし、自分では遅いって思ってるくらいなんで、まだJにデビューしただけなんで、それほど自分の中では達成感というのはありませんでしたから。これは単なる通過点ですね。

東京に帰る時はいつも「大学でも頑張って」とペトロヴィッチ監督(右)が声を掛けてくれるという。

―ルヴァン杯・湘南戦での初先発は?

デビュー戦に比べれば良かったと思いますけど、まだまだです。ボランチで先発してゴールにつながるパスを出すことができたし、リーグ戦の時よりは自分の持ち味を出せたと思います。でもボランチはまだちょっと戸惑いというか、分からない部分もあって、周りの方からは結構「いいプレーだったね」と言っていただいたのですが。

―どういうところができていない?

ボールのもらい方にしても、ポジショニングにしても全然ダメですし、守備の立ち位置だったり予測とかもまだまだだと思います。そういう点で、もっと成長が必要だなってすごい感じました。調子が良い時こそ反省しなければいけないと思いますね。

―以前、シャドー(1.5列)をやりたいって言っていましたが?

ルヴァン杯でも最後の15分ぐらいはシャドーをやりました。そちらの方が自分のプレーを出せたかなっていうのはありますね(笑)。 

―新人の壇崎選手が初ゴールしたが…?

そこは特別に意識はしてないですけど、自分も早くゴールとかアシストとか、結果を残していかないとっていうのはあります。いつもゴールは意識していますし、短い時間でも出場した時には常に狙っていく姿勢ってのは持っていますね。

―ペトロヴィッチ監督はどういう方ですか?

ミシャさん(監督の愛称)は、普段はすごい気さくで頻繁に声を掛けてくれる優しい方。でも試合やミーティングになるととても熱くて、選手のことをすごい考えてくれるなぁっていう印象です。いつも監督の「勝ちたい」っていう気持ちが伝わってきますからね。そういう熱い気持ちをしっかり受け止めて、チームのために自分なりの結果を残したいなと思いますね。

―2カ月を過ごしてみて、改めてコンサドーレというチームをどう思いますか?

やっぱり雰囲気がめちゃめちゃいいです(笑)。いいサッカーをしますし、今、リーグ戦4連勝していて、強いチームだなと思います。サポーター熱も凄いですし、ルヴァン杯の時もちょっとだけ聞こえましたが、名前を呼んでもらったりしました。

―オリンピックについてはどうですか?

そうですねぇ、目標としてはありますけど、そこに到達するためにはまず、札幌で頂いたチャンスで結果を出していかないと…。東京五輪まで時間もないですから、結果を出し続けていかないと目に留まる可能性もないと思っているので、チャンスを一つ一つ無駄にしないようにアピールしていきたいと思います。

―まずは初ゴール、期待してます!

はい、頑張ります!

デビュー戦は突然に。

輝きを見せたルヴァン杯・湘南戦。

3月30日(土)、J1リーグ・名古屋グランパスエイト戦(豊田スタジアム)で初めてベンチ入りした金子選手は、後半16分から途中出場。会見から1ヵ月で早くもJリーグ・デビューを飾った。

さらに4月10日(水)、2019JリーグYBCルヴァン杯の湘南ベルマーレ戦(札幌ドーム)で初先発を果たす。ホーム・札幌ドームのピッチに初めて立った金子選手は、得点に絡む活躍を見せた。

決めた! 待望のプロ初ゴール!!

初ゴールを決めて喜びを表す金子選手。

その瞬間がついに訪れた。5月22日(水)に行われたルヴァン杯グループステージ第6節・湘南ベルマーレ戦(ShonanBMWスタジアム平塚)に、金子選手は右ボランチとして先発出場。1−0でリードした後半3分、相手陣内左サイド寄りでボールを受けた中野嘉大選手が、ペナルティエリア手前中央でフリーになっていた金子選手へパスを送る。ワントラップして利き足の左を振り抜くと、速いグラウンダーのボールがゴール右側に吸い込まれた。

公式戦出場6試合目でのプロ初ゴール。駆け寄る選手たちに囲まれて、満足げな笑顔を見せた金子選手。スタンドの札幌ファンも大いに湧き、祝福の拍手を贈っていた。

−J1初ゴール、おめでとうございます!

有り難うございます。その瞬間は嬉しかったですね、シンプルに。ただルヴァン杯では点を獲れましたが、リーグ戦の方ではまだ出場時間も短いですから、途中から出場したらどんどんゴールを狙っていきたいと思います。

−気持ちは楽になった?

そうですね、結果を残せたという安心感はありますが、これに満足しないで、もっといい方向に、プラスに持っていけるように、日々取り組んでいきたいと思います。

Profile

金子 拓郎[かねこ・たくろう]
1997年7月生まれ。埼玉県出身。前橋育英高校卒。法学部政治経済学科4年。
高校3年時の全国高校選手権で優秀選手に選出される。日大進学後もスピード・技術・パワーを兼ね備えたレフティーとして活躍。2018年は東京都大学リーグ戦1部で8得点を挙げ最優秀選手賞を獲得。「2019年JFA・Jリーグ特別指定選手」として認定され、3月30日の名古屋戦でJリーグデビューを果たした。