アスリートインタビュー

両親共にフェンシング経験者で、高校生の弟も世界カデ選手権に出場した期待の選手。そんなフェンシング一家の中で育った馬場選手は、本学1年の頃から日本代表に召集され国際試合の経験を積んできた。 技術面と精神面の成長を実感する3年間を経て、2019年度全日本ランキング・女子エペも、ついに1位に。 東京五輪のピスト(試合場)に立つための準備は整いつつある。
*2019年5月14日発表時点。
―フェンシングを始めたきっかけは?

小学4年生の時に父の勧めで。フェンシングでオリンピック出場を目指しながら叶わなかった父の思いを受け継ぐ形で始めました。小学6年生から地元の大垣フェンシングクラブで腕を磨き、高校はインターハイや全国選抜で優勝することを目標にして、フェンシングの強豪校に入学しました。

―種目としてエペ※1を選んだ理由は?

実は高校まではずっとフルーレ※2をやっていたんです。大学に入る前の春休みに、たまたま今も指導して頂いている高田(康修)コーチとのご縁があって、コーチの伝手でイタリアにフェンシング修行に行けることになったんですが、その行き先がエペの名門クラブチームだったことから、そこでの練習をきっかけにエペに転向しました。
※1 エペ:全身と剣の内側非絶縁部分が有効面となる。
※2 フルーレ:突きのみが有効で先に攻撃した方が優先される。頭部と四肢を除いた、胴体のみ(背中を含む)が有効面となる。
―イタリアで練習してみて、どう感じましたか?

力の差はそんなに感じませんでした。1人でクラブに行ったんですが、1人で練習して、1人で外国人選手と戦って、結構いい試合をしていたので、「自分でもここまでできるんだ」と自信になりましたし、その経験は今につながっていると思います。

―国内ランキングが昨季3位から2位(取材時)にアップ。この1年の成長については?

昨年の前半、試合結果があまり良くなかったために、アジア選手権や世界選手権に出場できませんでした。その2つの国際大会に出られなかったことが自分にとってすごい大きくて、その後の国内の試合でも2回続けて負けちゃって…。それまで大学でやってきた中でも全くダメな時期でした。後半になって、長い時間練習できる海外遠征に参加した時、そこでちょっとしたきっかけがあって自信を取り戻せたんです。それから国内ランキングマッチで優勝できたり、全日本選手権でもメダルを獲ることができて、何とか調整できたかなっていう感じでした。

―そのきっかけというのは?

距離感をつかんだことで、フェンシングって騙し合いなんだなって、改めて気づかされましたね。昨年前半の頃は、自分が剣を抜いたりとか、自分主導でフェイントをかけるとかで頭がいっぱいだったんですが、長い海外遠征の中で、相手の気持ちを考えた上で、相手を動かすために自分が動いたり−例えば、びっくりしているふりをするとか、わざと隙を見せるだとか、そういうものを組み込むことで相手の気持ちもわかりやすくなるし、駆け引きがすごいしやすくなりました。心理面での攻撃というか、そういう何かをつかんだと思います。

―外国人選手との体格差については?

海外の選手は腕が長いのでリーチ差はありますが、他の人より5〜10cm長い剣を使っているので、そこはカバーできていると思います。
アジア大会の女子エペ団体戦

ジャカルタ・アジア大会の女子エペ団体戦メンバーとして出場し、銅メダル獲得に貢献。(写真右・シンガポール戦)

―昨年のアジア大会ではエペ団体で銅メダルを獲得。個人戦のライバルと共に戦うというのは?

準決勝の韓国戦は、一本一本を大事にして戦おうと思っていましたが、隙を突かれてしまいました。メダルを獲れたことは良かったですが、まだまだ練習不足だと思いました。団体戦は、個人戦もあるのでデリケートなところもありますが、チームの先輩や仲間と協力してプレッシャーを乗り越えた先にある喜びの方が大きいので…。ジャカルタでいっしょに戦った山田(あゆみ)先輩(2014年・商学部卒)は、フェンシングのタイプや剣の種類が少し違うので技術的なアドバイスはもらわないんですが、お話している中で心理面でのことや気持ちの持ち方などはすごい勉強になりましたね。

―今年1月にはフランス遠征にも行きました。 

オリンピック選手や世界ランキング上位の選手と剣を交える機会がありましたが、身長があって技術・パワー・スピードもある選手たちともしっかり戦えるシチュエーションを見つけることができたのが収穫でした。そういう実力がある選手たちでも、力が劣る相手に負けることがあるんだなって、反面教師として学びましたね。

―オリンピック代表の座をつかむための課題は?

もっと上を目指すためにはスピードやパワー、技術の向上は必要なことですが、代表選考レースはもう始まっていて、長期的なトレーニングは難しいので、競技会で成績を残してポイントを獲るために、試合の中で“相手との駆け引き"を重点的に取り組んでいきたいと考えています。

―東京五輪についてはどんな思いですか?

以前はオリンピックはそんなに身近なものじゃないと思っていましたが、大学に入って半年ぐらいの全日本でメダルが獲れた時に「私でも行けるかもしれない」って。それが自国開催という又とない機会が巡ってきたのはすごい幸運なこと。家族をはじめ、今まで私に関わってくださったすべての方々に、メダルを目指して戦う姿を間近で見せられるチャンスなので、オリンピックの舞台に立てるように頑張りたいと思います。

―期待しています!

はい、応援よろしくお願いします!

Profile

馬場 晴菜[ばば・はるな]
スポーツ科学部4年
1997年生まれ。岐阜県出身。大垣南高校卒。2013年、インターハイで1学年上の伊藤真希選手(2019年・文理学部卒)と共に母校を初優勝へと導く。2016年の本学入学後、全日本選手権・エペ3位、シニアランキングマッチ優勝。2017年、アジアジュニア選手権大会・エペ団体戦準優勝、アジア選手権大会・エペ団体戦3位。2018年、シニアランキングマッチ優勝、全日本学生選手権・エペ優勝、全日本選手権・エペ3位。アジア大会(ジャカルタ)・エペ団体戦銅メダル獲得。日本ランキング・エペ1位(2019年度5月)。世界ランキング・エペ144位(2018-19シーズン)。