総合成績で2位・明治大に2ポイント差をつけて迎えたトラック競技最終日。一発勝負の1kmタイムトライアル決勝は、上位8名が1分3秒台を記録するハイレベルな争いになった。2選手が出走した本学は、治田選手が残り2組4人を残して暫定トップに立つも、最後はわずか0.1秒差で2位となり涙を飲む。また、昨年この種目2位だった坂本選手もタイムを伸ばし切れず5位に止まったが、2人の獲得ポイントが加算されて総合成績でのリードが広がった。
さらに1対1の勝負で2回勝った方が優勝となるスプリント決勝は、順々決勝、準決勝を順当に勝ち上がった坂本選手が早稲田大・中野選手と対戦。だがここでも1勝1敗で迎えた3回戦に僅差で敗れ、惜しくも2位となる。
第74回全日本大学対抗選手権自転車競技大会 総合優勝


2017年夏、5年ぶりとなるインカレ王座に返り咲いた本学自転車部。今年の2018年文部科学大臣杯・第74回全日本大学対抗選手権自転車競技大会でも、各レースで選手たちがハイレベルなパフォーマンスを発揮し、トラック競技とロードレースのポイント合計で他校を圧倒。完全制覇こそ逃したものの、見事に2年連続52度目となる総合優勝を果たした。
着実にポイントを重ねたトラック競技
初日の第1レースは、いきなり花形の4kmチームパシュート予選。副主将・草場啓吾選手(文理・4年)が貝原涼太(生物資源・3年)、中山駿(経済・2年)、大屋正聡(スポーツ科・2年)の後輩3選手を率いて快走し、全体トップのタイムで最終日の決勝レースへと駒を進めた。また4kmインディヴィジュアルパシュート予選でも、貝原選手が大会新記録のタイムを叩き出してトップ通過を果たすなど、トラック制覇へ幸先の良いスタートを切った。
大会2日目、注目は今年新たにインカレ種目となったオムニアム。1日のうちにスクラッチ10km、テンポレース10km、エリミネーション、ポイントレース25kmの4種目を走って獲得ポイントを競うというもので、この過酷な戦いには経験豊富な草場選手が挑んだ。終盤に勝負を賭ける作戦が奏功して1位となった3種目目のエリミネーションを終え、トップと4ポイント差の総合2位。しかし、最後のポイントレースでは思うような走りができず、ライバル校に逆転を許して悔しい4位に終わった。

エリミネーションは草場選手が実力を発揮して勝利。

チームスプリント決勝は明治大に惜敗(右から中島選手、坂本選手、治田選手)。
その一方で、インディヴィジュアルパシュート決勝では、貝原選手が前日に引き続いてスピードとパワーを見せつけ、最後は追い抜き勝ち目前まで追い込んで京都産業大の選手に圧勝。「自分が最初の決勝種目だったので、勝ててホッとしています」という言葉通り、チームに勢いをつける優勝となった。
さらに、2020東京オリンピックの正式種目で、今回オムニアムと共に新種目となったマディソンでも貝原選手と武山晃輔選手(スポーツ科学・3年)のコンビが輝く。120周30kmを2人1組で交代しながら周回し、得点やラップを重ねて合計ポイントを競うレースに14校が出走して大混戦となったが、巧みなチームプレーによって12回あるポイント周回中10回でポイントを獲得。そのうち1位通過6回と、圧倒的な強さで他校を寄せ付けなかった貝原・武山組が、初代王者となった。

我妻コーチ(右)の指示を受けながらインディヴィジュアルパシュート決勝を走る貝原選手。

表彰式後、貝原選手は恒例のウイニングランへ。

マディソン決勝、走者交代のタッチをする武山選手と貝原選手(前)。

ケイリン7-12位決定戦に回った中島選手。逃げる相手を最終コーナーで抜き去りゴールし、7位を確定させた。

持久力とスプリント力が問われる1kmタイムトライアルで、治田選手は惜しくも2位。

タンデムスプリントは、中島選手と1年生の遠藤拓巳選手(経済)のコンビで挑むも6位。

スプリント決勝2戦目は、坂本選手が逃げ切り勝ち。
実は大学のテストなどでメンバーの予定が合わず練習もできなかったそうで、「このメンバーで走ったのは一昨日の予選が初めて。そこで思った以上にいいタイムを出せたのは驚きでした。実力に見合ったイーブンペースで走れたことが結果に結びついたと思います」と草場選手は笑顔で振り返った。また、貝原選手はインディヴィジュアルパシュート、マディソンとあわせて3冠達成となった。
最終的に獲得ポイント75点とした本学は、2位明治大に19点差をつけトラック総合優勝を決め、総合2連覇に大きく前進した。
チームパシュートは京産大に圧勝(前から貝原選手、中山選手、草場選手、大屋選手)。
チームパシュートは京産大に圧勝(前から貝原選手、中山選手、草場選手、大屋選手)。

笑顔が広がるチームパシュート表彰式。

トラック競技総合は本学が優勝。表彰台に立ち賞状を掲げる清水主将。
ロード競技は終盤、白熱の展開に。

「連覇は意識していたし、マディソンとの2冠も意識して勝ちたいと思っていた」という武山選手(左)と草場選手(右)ほか、137名が一斉にスタート。
2週間後の9月2日(日)に行われたロード競技は、長野県大町市の美麻地区公道周回コースで開催された。本学からは昨年に続いてロード連覇を目指す武山選手、トラック競技でも活躍した草場選手のダブルエースをはじめとする8名がスタートリストに名前を連ね、アップダウンに富む13.4km×13周・174.2kmに挑んだ。

序盤は小口選手らが先頭グループを形成してレースを牽引。

先頭グループを追いかける大集団の中に日大勢が3人。

サポートメンバーから給水を受ける栗原選手。

レース開始直後に先頭グループを走りペースを作った小島選手(左)。

残り2周で先頭グループに迫る武山選手(右)と片桐選手(左)

ラスト200mの上り坂で懸命に前を追う武山選手。「残り4周くらいから優勝するつもりでいたが、野本選手の飛び出しにはあえて後輩で勝負した。少し守りに入り過ぎたのがこの結果かなと思う」と振り返った。

最後まで集団から抜け出せなかった草場選手。「今年の経験者が3人残るので、この2年間のいい流れを引き継いで、連覇を途切れさせないように頑張ってもらいたい」

最後の周回でアタックをかけた依田選手。「周りに誰もいなかったので勝負に出た。後ろを見ずに思い切り行ったが、抜かれてからついていけなかったのは今の自分の実力。来年勝つために、いい勉強になった」
激戦を終えたロードレースメンバー。左からマッサーのベックさん、依田選手、栗原選手、草場選手、武山選手、小嶋選手、小口選手、片桐選手。
激戦を終えたロードレースメンバー。左からマッサーのベックさん、依田選手、栗原選手、草場選手、武山選手、小嶋選手、小口選手、片桐選手。

総合優勝の表彰を受ける清水主将(左)と草場副主将(右)。

3連覇へ向けての験担ぎとして、井上監督の胴上げでインカレを締め括った。
清水勇人主将(経済・4年)
「周りから言われるほどプレッシャーは感じていませんでしたが、2連覇できてとてもうれしいです。走った選手とサポートメンバーが一丸となることができ、全員の力があってこその優勝だと思います。後輩たちの走りは、みんな気持ちが出ていて、見る者を惹きつける熱い走りをしてくれました。武山選手もあと少しでしたが、来年はきっと勝ってくれると思います」