―― 良いイメージを持ってオリンピックに臨めますね。
そうですね。良いイメージを保つためにビデオを見ることも多少やりますが、それにこだわっているわけではなく、どちらかと言うと次のレベルアップのためにどこが悪いのかを見つけようと、失敗したときのビデオ見る方が多いですね。何で失敗したのかなという感じで…。でも、なかなか答えがない競技なので、自分で答えを探しに行くという点では、暗闇をずっと1人で走っているような気分なので上手くできずにいます。
―― 試合前の練習を滑って、滑り方の対策を考えるのですか?
いえ、公式トレーニング中と本番では雪質も変わってくるので臨機応変に対応していますが、なるべく自分の滑りのイメージを外さないように、なるべく無駄なこと、違うことをやらないようにしています。
2018平昌オリンピック フリースタイルスキー・モーグル 原 大智 選手


平昌への出発に先立ち、去る1月24日(水)にフリースタイルスキー・モーグルの原大智選手(スポーツ科学部・1年)、2月1日(水)にはスノーボード・ハーフパイプの平野歩夢選手(スポーツ科学部・1年)が、本学の田中英壽理事長、大塚𠮷兵衛学長の元を訪れ、日本代表選出の報告とメダル獲得を目指す決意を伝えました。
「スポーツ日大」では、原・平野両選手にインタビューを行い、オリンピックへの意気込みを語って頂きました。




ありがとうございます。オリンピック前のワールドカップの試合が終わった時点で、合計ポイントの上位4人が代表に選ばれるという基準があったので、そのランキングが出て自分の目で確認した時には「やった!」という感じでした。去年の時点で僕を含むトップ4と下の選手との差がすごい開いていたので、彼らが表彰台を連発しない限り、抜かれないだろうと思ってはいましたが、オリンピックに向けては自分も表彰台に立ないといけないので、緊張感は持って戦っていました。
―― 今シーズン、ここまでの成績・状態はどう見ていますか?
何故かミスをしてしまう、空回りしてしまう感じでした。オリンピックシーズンなので「良い成績を出さなきゃ」という思いが強すぎて、何か失敗してしまうというのが多かったように思います。
技術的にはまず、ジャンプが最初の頃に上手くいかなかったので変えようとしたのですが、それがすごい大変だったので、なかなか変えられずにいました。ただ、成果も出てきていて、ワールドカップ第7戦のトランブラン大会(カナダ)予選では、自分のジャンプのベストスコアが出ましたし、しかも取れないと思っていたほどの好スコアが出たので、それはとても嬉しかったですね。

理事長・学長報告を行う原選手(左は鈴木典スキー部長、右は小山裕三スポーツ科学部長)

―― 自分の武器である“スピード”については?
ワールドカップ第1戦(ルカ大会:フィンランド)では、とにかくスピードを出してみようと思っていたのですが、そうしたらぶっちぎりに速く滑れました(完走50人中、唯一の19秒台を記録)。そこでトップスピードを出そうと思えば出せるんだなと自信もつきました。ただ、その時はブレーキポイントで雪質が公式トレーニングの時と変わっていたので、それで空回りしてターンが乱れてしまいました。逆にエアの方で持ち直せたというのがあったので、あれはあれで経験として良かったかなと思います。
今季最高の9位に入った中国・太舞での第2戦ですね。自分では滑りに対して納得していて、これはスーパーファイナルまでいける、もしかして表彰台にも乗れるんじゃないかと思うくらいだったのですが、意外とジャッジの点数が伸びなくて…。ビデオを何回も見直して「何でなんだろう」とずっと考えていましたが、結局わかりませんでした。まだ技術が足りないのか、それとも単にジャッジの目に留まる滑りができていないのかなと。ジャッジの方によって採点のポイントが全然違うので、対策は立てようもありません。平昌でのジャッジの方の情報も入ってきますが、どういう滑りが好みかなんていうのは全くわかりませんし、僕はこの滑りしかできないので、ジャッジの好みに合わせた滑りというのはちょっと厳しいですね。
―― オリンピック本番までの2週間、備えることは?
このあと北海道で最終合宿をやりますが、2番目のジャンプを重点的に練習しようかと思っています。今まではコーク720をやっていたのですが、今シーズンは途中からバックフリップのグラブに変えたので、スピードが出てしまうと技の成功率が格段と低くなってしまいます。スピードをすごく抑えた状態では100%成功できるのですが、これは早いんじゃないかなと思う位のスピードに乗って突っ込んだ場合の成功率は、半分ぐらいですかね。しかし、トップスピードのまま技を成功させるというのがカギになると思っています。

―― 戦う相手も強いですね。
そうですね、絶対王者のミック(ミカエル・キングスベリー/カナダ)はミスをするイメージが全くないですし、その辺はすごいなと思っていますが、彼に勝たないと金メダルは獲れないので、絶対にこの人を倒すという強い気持ちでやっています。もう1人のドミトリー(・ライフェルド/カザフスタン)選手は、はっきり言って上手いし、迫力が違います。個人的にはミックよりもドミトリー選手の滑りの方が好きだなと思っています(笑)。
―― 勝つために必要なものは何だと思いますか?
平昌には今ある技術でしか臨めないので、それは絶対に成功させないといけないと思っています。スピード、ジャンプ、ターンの何か1つでも欠けたら、この2人はもちろんメダルにも届かないと思うので、人事を尽くすというか、それらをしっかり成功させたいという気持ちがすごいあります。反面、すべてを完璧にやると言うと力みすぎてしまうので、逆に滑ることを楽しむぐらいの気持ちでいけば、体の力が抜けて良い滑りができるのではないかなと思っています。
そうですね、金メダルを絶対獲る、それしかありえないと思ってやっています。
―― 日大での学生生活はどうですか?
いえ、学校にはあまり来られなくて…。課題に追われ、スキーに追われの日々だったので、大変でした。シーズンが終わったら友達と一緒に楽しく授業を受けたいですね、一人ぼっちは寂しいので(笑)。
―― 最後に改めて平昌オリンピックへ挑む気持ちを聞かせてください。
身近な人からは、いつも期待を込めて応援して頂いているのでとても感謝しています。メディアの関心は堀島(行真/中京大)選手ばかりになっていて、彼はワールドカップで優勝もしているので注目度も全然違うし、僕は伏兵的な存在になっていますが、このオリンピックでちょっと変えたいなと思っています。パッと金メダルを獲って、注目されるようになりたいと思っています。

―― 「スポーツ日大」が日本から声援を贈っています。
はい、良い報告ができるように頑張って戦ってきます。