令和6年度入学式を挙行しました

取り組み・活動
2024年04月08日

本日、日本大学及び同短期大学部、同大学院にご入学された皆様及び保護者の皆様、誠におめでとうございます。日本武道館で挙行されました令和6年度日本大学入学式の学長式辞と理事長祝辞を掲載いたします。
実り多き学生生活になりますよう祈念申し上げます。

令和六年度日本大学入学式  大貫進一郎学長式辞 全文

新入生の皆さん、御入学誠におめでとうございます。また、会場で参加いただくことは叶いませんでしたが、これまで皆さんを支えてこられた御家族の方々にも、心からお喜びを申し上げます。

これより式辞を申し述べさせていただきますが、それに先立ちまして、本年1月1日に発生いたしました「令和6年能登半島地震」、また、4月3日に発生いたしました「台湾東部沖地震」で犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。被災地の一刻も早い復旧・復興を願ってやみません。また、昨年度本学で発生いたしましたアメリカンフットボール部等による事案、またそれに伴う対応の不手際につきまして、多大なる御心配と御迷惑をお掛けいたしましたこと、改めておわび申し上げます。信頼の回復に向け、管理運営体制を見直し、コンプライアンスやガバナンスの徹底に努めておりますので、新入生の皆さんには安心して勉学や課外活動に励んでいただきたく存じます。

さて、ここに令和6年度日本大学入学式を挙行できますこと、大変嬉しく思っております。既に、各キャンパスではガイダンス等が行われ、新生活が少しずつ始まっていることと思いますが、本日改めて、日本大学を挙げて皆さんの御入学をお祝いするとともに、本学の新たな一員となられましたことを、教職員一同、心より歓迎いたします。

本学は、今年で創立135年を迎えます。学祖である山田顕義先生は、1889年、若き法学者ら11名とともに本学の前身である日本法律学校を開きました。当時、我が国の法律学校では欧米諸国の法律を学ぶことが主流でしたが、開校に当たって制定された「日本法律学校規則」の第1条に「本校ハ日本法律ヲ教授スルヲ以テ目的トス」と記されているように、「日本法律」の教授を設立の目的として定めています。本学に「日本」という名前が冠されている大きな理由のひとつです。学祖は、1871年、皆さんが歴史の授業等でも学ばれた岩倉使節団の一員として日本を発ち、欧米諸国を歴訪しました。その際、欧米諸国の現状に理解を深めながらも、日本の歴史や文化、慣習の重要性や特異性を改めて知り、帰国後は、日本の風土に合った法律の整備に取組みながら、これまでになかった新たな教育を開拓しました。日本大学は、現在、文系・理系・医歯薬系の幅広い学問領域を擁する総合大学であり、認定こども園から大学院までを有する、在学者10万人超の世界最大規模の総合教育機関へと発展しましたが、これが私たちの源流であり、学祖の挑戦がなければ、今の私たちはありません。そして、学祖から受け継がれるこの挑戦する気持ちを、私たちはとても大切にしています。

閉塞感のあったコロナ禍、さらには進路選択という岐路を越えて、今、皆さんは、強い解放感に満ちていると思います。そうであればこそ、ここで改めて自身の未来を思い描き、そのビジョンの実現に向けてどのような挑戦をしたいかを考えてみてください。壮大な夢でも構いませんし、より現実的なこと、些細なことでも構いません。高等学校までは、皆さんは「生徒」であり、先生から習い、教えられる存在でした。しかし、これからは「学生」、すなわち自ら主体的に学ぶ存在となります。所属する学部・学科に設置された豊富な授業科目を通して知を深めることができますし、日本大学ワールド・カフェや相互履修など、総合大学のメリットを活かした学部・学科の枠を越えた学びも経験することができます。また、正課外においても、皆さんの発想を具現化し、「ものづくり」や「ことづくり」を体験する機会が多くあります。そのひとつの例が、学部横断による学生発案型の取組みをその経費も含めて支援する「自主創造プロジェクト」です。直近では、生物資源科学部・経済学部・芸術学部の学生による和を強く意識したカフェの企画・経営、生産工学部・工学部・文理学部の学生によるロウソクをテーマとした科学イベントなどが採択され、実現しています。私たち教職員は、学祖、あるいは本学の礎を築いた先達の足跡に敬意を表しながら、皆さんの「挑戦したい」という気持ちに応えていきます。どうぞ前向きに知識や技術を深め、感性を磨き、心と体を鍛えていってください。

こうして皆さんに挑戦の重要性を説いていますと、「では大学はどのような挑戦をしているのか」と疑問に思われる方もおられるでしょう。私たち日本大学は、「世界最大級のデータ駆動型教育機関へ」という大きな目標を掲げ、挑んでいます。

皆さんはデジタル・トランスフォーメーションあるいは略称のDXという言葉を聞いたことがあると思います。この概念を提唱したエリック・ストルターマン博士は ❝The digital transformation can be understood as the changes that digital technology causes or influences in all aspects of human life.❞ と定義していますが、これまでアナログであったものを単にデジタルにすることが目的ではなく、デジタル化によって「人びとの暮らしを豊かにすること」がDXなのです。皆さんにとって、日本大学がDXあるいはICT教育で進んでいるという印象はあまりないかもしれません。たしかに本学がデジタル化で後れを取っていたということは否定できません。しかし現在は、皆さんが利用する学内メールの提供元でもあるGoogle社との連携、学修管理システムとして北米のディファクト・スタンダードであるCanvas LMSの全学導入をはじめ着々と進んでおり、AIの利活用も視野に入れながら、皆さんの教学情報を多角的に収集・分析し、1人ひとりの学びの実情に合わせた「個別最適化」を実現すべく急ピッチで進めています。学生数という本学のスケールは、データ精度の高さと直結するもので、在学中にそのメリットを実感いただけるよう推進して参りますので、どうぞ御期待いただきたいと思います。

このように、皆さんの学修環境の整備には最大限の力を尽くして参りますが、学びとの向き合い方という点でひとつお話させていただきたいことがあります。昨今は、「H型人材」と称されるイノベーションを起こせる人材が求められています。イノベーションとは、これまでにないサービスや製品等によって新しい価値を創出することを意味し、本学の教育理念「自主創造」にも通じます。アルファベットの大文字のHを想像してください。横の棒が皆さん自身で、2本の縦棒が他の分野の専門家です。様々な分野の専門家とコラボレーションし、またそのブリッジとなりながら、新機軸を生み出すというイメージです。イノベーションを起こす上で最も大切なのは、物事を単眼的に捉えたり、狭い視点から自身の考えを絶対化したりするのではなく、心にも思考にもゆとりをもって、様々な可能性を考慮することです。そこで必要なのは、幅広な知識と豊かな経験です。知識については、各学科の学びのコアである専門分野だけでなく、教養や周辺領域の知見も相応しく修得することで、多角的に物事を捉えることができるようになります。卒業要件を最小限で満たすのではなく、学びの機会を最大限活用してください。また、経験という点では、机上の学びだけでなく、文化や芸術、スポーツ、あるいは仲間との対面でのコミュニケーションなど、様々な実体験をしてください。場の空気感や感情の動きをはじめとする人間ならではの感覚は、バーチャルでは得難いものがあります。こうした知識や経験は、フェイクニュースのような誤情報やディープフェイクと称される生成物があふれる現代社会において、情報を適切に選択し、情報に操られるのではなく操る力を身につける上でも不可欠ですので、どうか積極的に取り組んでください。

最後になりますが、総合大学である本学は、ダイバーシティ、すなわち多様性の宝庫です。日本大学だからこそ経験できる多様な存在との関わりをとおして、様々な考えや新しい価値観に触れ、他者をリスペクトし受容しながら、自己を拓いていってください。そうすることで、先にお話ししたHの横棒はより強固なものとなり、相手の気持ちを理解しながら人と人との橋渡しができる「自主創造型パーソン」となることができます。これが、「日大生」あるいは本学出身者の最大の強みであると考えています。

新入生の皆さん1人ひとりが、有意義で充実した学生生活を送られることを祈念し、私からの式辞といたします。

令和六年四月八日

日本大学学長
日本大学短期大学部学長
大貫 進一郎

令和六年度日本大学入学式  林真理子理事長祝辞 全文

新入生の皆さん、御両親・保護者の皆様、本日は御入学誠におめでとうございます。

我が日本大学は、昨年大きな不祥事を起こしました。

そうした中にあって、日本大学を信じ、期待して御入学された皆さんには、心から感謝しています。そして同時に身が引き締まる思いです。

日本大学では「学生ファースト」を掲げ、まず一番に学生の幸福を考えることをスローガンとしています。

ここにいる大貫学長とは、以前の副学長時代から2年近くを共にしてきました。大貫学長は、何よりも学生のことを考え、様々なことを実現されてきました。この新学長と、これから日本大学の新しい形をつくっていきます。2人で力を合わせて、皆さん方がより満足できる学びの場所をつくることをここにお約束いたします。

さて、新入生の皆さん、皆さんはこれから人生における非常に重要な時間を日本大学で過ごすことになります。

まずは友人ができますが、今までのお友達とは少しニュアンスが違うかもしれません。中学校、高校でも皆さんは親友と呼べる人を持っていたことでしょうが、これからは大人として、社会を共に見ていく仲間です。会話を通し、お互いの感性を確かめ合い、それによって近づいていく、関係を深めていくという、非常に知的な作業が始まります。それによって得た友人というのは、恐らく一生の友になるはずです。

友達はスマホという小さな箱ではなく、広いキャンパスで見つけてください。

そして学びについてですが、学生時代は、皆さんと社会とを繋ぐ日々です。皆さんの中で曖昧だった興味が、次第に明確な形を持ち、やがてこんなことをしたい、という希望に変わるはずです。日本大学は、皆さんのこうした希望を叶えるために、全力でお手伝いします。日本大学は日本最大のスケールを持っております。どうか頼ってください。

とにかく時間は無限にあるのです。

「青春は若いやつらにはもったいない」

という言葉があります。若い時には時間の速度がまるで違う。体力も気力も余るほどある。それなのに、まるでそのことに気づかないという大人のやっかみを言葉にしたのでしょう。

気づかなくてもよいのです。

ただ一つ分かってほしいのは、時間がたっぷりあるということは、可能性という道路が、広くどこまでもあるということです。少しうぬぼれてもいい。勘違いしてもいい。

その可能性に向かって進んでいく、学生生活を過ごしてください。

本日は誠におめでとうございました。

令和六年四月八日

学校法人日本大学理事長
林 真理子