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令和6年度卒業式を挙行しました
2025/03/25
本日、日本大学及び同短期大学部をご卒業、同大学院を修了された皆様及び保護者の皆様、誠におめでとうございます。日本武道館で挙行されました令和6年度日本大学卒業式の学長式辞と理事長祝辞を掲載いたします。
皆様のますますの御活躍を祈念申し上げます。

式辞を述べる大貫学長

祝辞を述べる林理事長
令和6年度日本大学卒業式 大貫進一郎学長式辞
皆さん、御卒業おめでとうございます。日本大学の教学部門を代表し、心よりお喜び申し上げます。また、本日御同席いただくことはかないませんでしたが、オンラインで御視聴いただいております保護者の皆様にもお祝いを申し上げます。
皆さんが入学されたのは、学部生はコロナ禍、大学院、短期大学部の方はパンデミックが少し落ち着き始めたタイミングであったと思います。緊急事態宣言下での「外出自粛」や「3密」の回避など、今となっては、あの制限された世界をよく乗り越えられたと感じておられる方も多いのではないでしょうか。
今回のパンデミックが少なからず寄与したのは、デジタル技術の普及と発展です。世間ではよくDX (Digital Transformation) という言葉が聞かれます。これは、単に紙媒体であったものをデジタル化するという意味ではなく、デジタル環境を通じたそれに関係する業務あるいは文化の変容までを含んでいます。そこで最も大切なことは、その中心には人間がいるということです。特にAIとの「共存」はこれからの社会の大きなテーマとなります。シリコンバレーのベンチャーキャピタルの調査によれば、アメリカでのAI関連支出はこの1年で6倍以上になっており、それこそ1年前にはあり得なかったような技術が今や現実のものとなっています。AIの進化は、利便性の向上だけでなく、災害対応や高度な医療など、私たちの暮らしの安心・安全あるいは命を守るという意味でも、多くのメリットが望まれています。しかし、AIは私たちの良きパートナーであって、例えば、考えるというプロセスを経ず、対話型のAIに何もかも答えを求めてしまえば、「知」の成長が滞ることも懸念されます。日本大学の教育理念「自主創造」の柱は、「自ら学ぶ」「自ら考える」そして「自ら道をひらく」です。皆さんには、デジタル技術に翻弄されるのではなく、技術の真の使い手となって、本学で培った知識や技術、人間関係を最大限に活かしながら、様々なイノベーションを起こしてくださることを期待しています。
ここ10年くらいの間に発達した技術の一つにAR (Augmented Reality) があります。今日の卒業式でもAR看板を用意させていただきましたが、皆さんは既にアクセスされたでしょうか。今年度は、「ドラゴンクエスト」と本学とのコラボレーションが実現しました。「ドラゴンクエスト」を世に送り出したエニックス社(現・スクウェア・エニックス社)は、本学の卒業生である福嶋康博様が立ち上げた会社です。ゲームでプレーした方、アニメを御覧になった方、あるいは音楽に耳馴染みがある方など、皆さんの多くの方が何かしらの繋がりを持ったことがあるのではないでしょうか。
福嶋様より、皆さんの卒業に当たって、「さあ、新たな冒険へ」というタイトルのメッセージをいただきました。詳細はメール送信しておりますARフォトフレームの御案内等を御覧いただきたいのですが、私からもドラゴンクエストになぞらえて少しお話をさせていただきたいと思います。
プレーされた経験のある方はお分かりのように、「ドラゴンクエスト」はロールプレイングゲームで、「レベル」を着実に上げていかなければ、次のフィールドには実質進むことはできません。もちろん時として、レベル不相応であっても強敵を倒すという奇跡が起こることもあります。しかし、奇跡は奇跡にすぎません。また、「スライム」しかいないと高を括っていたところに強いモンスターが現れるように、予定調和の物語(シナリオ)だと安心しきっていたり自分の力を過信し過ぎたりしていると、思いがけない難敵に遭遇し、対処できないということもあります。自分の力に自信を持つことはとても大切なことですし、不安ばかりでは力を発揮できないことも多くあるでしょう。とはいえ、過信や慢心は、本当の意味での成長とはなりません。大切なのは、自分が今、どのようなフィールドにいるのか、どのような問題や課題があるのかを適切に把握し、それを一つひとつ着実に乗り越えていくことです。それを続けていくと、少し時が経って振り返ってみた時に、自身が成長してきたことを実感できるはずです。今を積み重ねて、未来へ向かうのです。
ただ、フィールドで動き続けると、HP(ヒットポイント)とMP(マジックパワー)が限界に達することもあるかもしれません。そんな時は、積極的に休息を取ることも大切です。「ドラゴンクエスト」では「宿屋」がその役目を果たしますが、皆さんの母校である日本大学の各キャンパスそして私たち教職員は、皆さんの精神的な「宿屋」でありたいと思っています。フィールドでの武勇伝とともに、いつでも帰っていただけるよう、門戸を開いて待っています。
本学は文系・理系・医歯薬系のあらゆる分野を擁する総合大学であり、様々な業界で活躍する卒業生が全国いや世界各国に多くいます。これからの社会生活の中でもふとしたきっかけで関わりを感じることがあるでしょう。卒業してから本学の卒業生であることの意味を感じたという声も、かなり多く耳にします。私たちは、皆さんの母校が日本大学であることに誇りを持っていただけるよう、これまでにも増して力を注いでいきますので、本日卒業される皆さんにも、新しい日本大学の歴史の担い手の一人として、これからも力を貸していただければと思います。
結びに、皆さんの「終わりのない最高の物語(ストーリー)」の幕開けを祝すとともに、新しい世界で心身ともに健やかに活躍されることを祈念いたしまして、私からの式辞とさせていただきます。
Believe in Happy-Ending!
令和7年3月25日
日本大学学長
日本大学短期大学部学長
大貫 進一郎
令和6年度日本大学卒業式 林真理子理事長祝辞
卒業生の皆さん、御両親並びに保護者の皆様、本日は御卒業、本当におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
皆さんは、コロナによる日常生活の変化、そして本学の不祥事における騒動など、劇的な4年間を過ごされました。私が卒業式で祝辞を述べさせていただくのは、これで3度目です。それまでは毎年謝っておりましたが、今年から謝罪はやめることにしました。数々の試練をバネにして、私たちは努力し、知恵を絞ってきました。学長と手を携え、今も日大再生への道を歩んでおります。
あの辛く厳しい日々も無駄ではなかったと思える日は、もうじき来ると信じております。
昨年も同じことを申し上げましたが、世の中は多くの理不尽に満ちています。社会の理不尽は学校の理不尽とは比べものになりません。
そして、それと戦うにはあなた方は、まだ気力、知恵も足りないはずです。
しかし、もし他人から不当な扱いを受けたときは、自分は価値ある人間である、ということを思い出してください。
あなた方は、親御さんの愛情によって大切に育てられ、日本大学においては、専攻した学問によって鍛えられました。友人からも、たくさんの友情と信頼を得たはずです。
そのことを反すうしていけば、きっと力が湧いてきます。最初は小さな力かもしれませんが、やがて自信や知識が加わり、大きなものに変わっていきます。それをもってあなた方の夢をかなえてください。
今は、夢と希望といったものが気恥ずかしいものとなっている時代ですが、あなた方は平均年齢からいって後60年この世にいます。60年というのは、夢と希望を持たずに生きるには、あまりにも長い時間だと思いませんか。
もし、あなた方が、将来夢がかなわなかったとしても味わうのは、決して挫折感だけではありません。やり遂げた充実感とさわやかな諦念です。
この2つを持って、人は中年以降生きることになります。そして社会を支えていくのです。
どうか皆さん、夢と希望を忘れないでください。
皆さん、どうかいい人生を過ごしてください。
私は、心からそのことを祈っております
令和7年3月25日
学校法人日本大学理事長
林 真理子