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令和8年度入学式を挙行しました

2026/04/08



本日、日本大学及び同短期大学部、同大学院に御入学された皆様ならびに御家族の皆様、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
日本武道館で執り行われました令和8年度日本大学入学式の学長式辞と理事長祝辞を掲載いたします。

式辞を述べる大貫学長

令和8年度日本大学入学式 大貫進一郎学長式辞 全文

皆さん、御入学おめでとうございます。そして、日本大学へようこそ。学部16,235名、大学院1,520名、短期大学部233名の計17,988名の新しい仲間を迎えることができましたこと、教学部門を代表し心から歓迎いたします。また、オンラインで視聴されている保護者の皆様、お子様の御入学、誠におめでとうございます。

本学は、認定こども園や幼稚園から大学院までを擁する、我が国最大の総合教育機関です。高等教育機関としても、医療系や芸術・スポーツを含むあらゆる学問分野を有する真の総合大学であり、様々な背景や価値観、ポテンシャルが交差する、言わば我が国の「縮図」を成す大学ともいえます。目下、私たちはこの地の利をさらに最大化すべく、教学DXを推進しています。数の力を「データの豊かさ」へと転換し、本学の教育はもちろんのこと、日本全体、さらには国際的な視座から成果を社会に還元することで、その存在が影響を与えることのできる教育機関へとプレゼンスを高めてまいります。

今社会は、現実空間と仮想空間が融合する「Society 5.0」へと向かっています。その進化の核にあるのは、間違いなく「データ」です。現代社会は、AI全盛期ともいえる時代へと突入しています。AIのアップデートの速度と利便性の向上には目を見張るものがありますが、そこで大きな問題となるのは「AIに惑わされない力」です。かつては、自らアクセスしなければAIに触れることはなかったと思いますが、今や、気付かないうちに私たちの思考や選択に強い影響を与えているといっても過言ではありません。

とはいえ、どんなに高度に見えても、そこには「ハルシネーション」すなわち、いかにも正しそうな嘘が紛れ込むことが多くあり、その真偽を見抜く確かな力を持つことは不可欠です。誤った情報に基づいて考えを構築したり、またその誤情報を自らが流布したりすることは、非常に危険です。この点は、AIの生成物に限ったことではなく、「データ」のリテラシーにおいても同じです。例えば、いわゆる「切り抜き」のように、偏った情報をうのみにしたり、特定の都合のよいデータだけを断片的に抽出して語ったりすることは、真理を探究する者として慎まなければなりません。

では、「ハルシネーション」を見抜くためには何が必要でしょうか。それを考えるには、まず「AIの限界」を知る必要があります。AIは膨大な過去のデータと確率に基づいて、もっともらしい解を導き出します。しかし裏を返せば、それはデータ化された過去の枠組みの中でしか計算できないということです。AIには私たちのように生身の体がなく、現実世界で汗を流すことも、心の震えを感じることもできません。このAIの限界を踏まえ、情報に惑わされないために必要な第一の鍵は、「特定の分野だけに偏らない広範な知見」と「客観的に一歩引いて見つめる姿勢」です。

現代は、AIだけでなく、日々の検索や閲覧の履歴に基づくSNS等のアルゴリズムによって、自身に心地よい情報ばかりが集まる「最適化された空間」に容易に閉じこもることができる時代です。もちろん、そうした安心できる居場所も時には必要でしょう。しかし、特に学びの世界にあっては、閉ざされた環境にだけ身を置いては、思考の偏りに気づくことはできません。自身の興味・関心を超えて知を広げ、また一歩引いて全体を俯瞰する。本学が育成を目指すのは、自らの専門分野を深く掘り下げるだけでなく、多様な他者と協働し、広範な知見をつなぐ「H型人材」です。専門を異にする多様な仲間たちと交わるその横のつながりこそが、自身の考えを相対化し、新しい見方をもたらすのです。

第二に必要なのは、「多様な直接経験」、すなわち「ホンモノに触れること」です。座学で知識を吸収するだけでなく、自らの手を動かして実証したり、正課以外の場面でも芸術の奥深さやスポーツの熱気に直接肌で触れたりと、AIが持ち得ない、五感を伴う「直接経験」を蓄積してください。そしてこれを仲間たちとともに経験することで、AIでは予測のできない「共鳴」も生まれ、さらには新たなシナジーやイノベーションが起こるかもしれません。心理学でいう「共時性」に根ざしたこうした現象は、人間同士が現実空間で交わるからこそ起きる奇跡です。

さて、「生徒」と呼ばれる受動的な存在から、「学生」という能動的な探究者となったいま、皆さんの学びの在り方はここからリスタートを切ることになります。自ら学び、自ら考え、自ら道をひらく――本学の教育理念である「自主創造」を、まさにここから実践していくのです。

OpenAIの最高経営責任者で、ChatGPTの生みの親ともいわれるサム・アルトマンの言葉に、「切片よりも、傾きがより大切である(Slope is more important than the y-intercept)」があります。皆さん、一次関数のグラフを思い浮かべてみてください。「入学時の学力の現在地」は、まさにスタート地点の高さを示す「y軸上の切片」に当たるかもしれません。しかし、どれだけ切片の値、すなわち初期値が高くても、そのまま努力をしなければ傾きはゼロとなり、ややもすればマイナスになってしまいます。ぜひ皆さんにはここで新たに目標を定め、真っすぐ前を見てこの「傾き(slope)」を上っていってほしいのです。大学での学びには、自動で高みへ運んでくれるエレベーターはありません。着実に、一歩ずつ、意欲をもってこの上り坂を、あるいは階段を、駆け上がってほしいのです。そして、その皆さん一人一人を、私たち教職員はしっかりと支えていきます。

最後になりますが、大学生活ではいくつもの決断に迷い、時には失敗して転ぶこともあるでしょう。ソニー会長であった大賀典雄氏は、「人生は大きい決断、小さい決断の積み重ねである」という言葉を残しています。大賀氏はCDを普及させたことでも知られ、大賀氏がいなければ、皆さんが好きなあのアーティストも存在していなかったかもしれません。走りたいときに自分で踏み出せる、それが大学生です。自身で進む道を選び、切り拓くことができます。そして、もし壁にぶつかったとしても、そこで諦めず再び立ち上がる「レジリエンス」の力こそ、日大生の強みであると信じています。きっかけを受け身で待つのではなく、交差点で点滅する信号に焦らされて歩き出すのでもなく、決心は自分から――皆さんが自らの足で駆け上がったその先には、決してAIには描けない、皆さん自身が「自主創造」した真新しい景色が広がっているはずです。この広大なキャンパスですれ違う、今はまだ見ず知らずの人たちとも、ふとした偶然から想いを共有し、時に深く共鳴し合う瞬間が必ず訪れます。本学での出会いと学びを人生の大きな転機とし、皆さんの輝かしい将来、そして新しい日本大学の物語を、今日ここから共に拓いていきましょう。そして、いまこの瞬間に感じているであろうワクワク感を、大切にしてください。

皆さんのこれからの学生生活が、実り多き素晴らしいものとなることを祈念いたしまして、私からの式辞といたします。本日は、誠におめでとうございます。

令和8年4月8日
日本大学学長
日本大学短期大学部学長
大貫 進一郎

祝辞を述べる林理事長

令和8年度日本大学入学式 林真理子理事長祝辞 全文

新入生の皆さん、御両親ならびに保護者の皆様、本日は御入学、誠におめでとうございます。学校法人日本大学理事長として、心から歓迎し、ひとことお祝いを述べさせていただきます。

さて、皆様をお迎えしたこの令和8年度という年は、特筆すべきものとして、永く日本大学の歴史に残ることと、私は深く信じております。

なぜなら、日本大学が長い混迷の時を経て、新しいスタートを切った年であります。大学の改善改革が認められ、私立大学等経常費補助金は、リスタートとなりました。

何よりも一般入試の志願者数が劇的に増えたのです。当然、入試の倍率も上がりました。

そのなか合格を果たされた皆様方の優秀さと意欲を私たちは、十分に胸に刻んでおります。

どうか日本大学で学び、語り、友人を見つけ、有意義な学生生活を送ってください。

そして、あえて申し上げますが、どうか学ぶことの素晴らしさ、楽しさを知っていただきたいと思います。

日本大学では、大貫学長のもと「リサーチャー・アワード」といって優れた研究成果を上げた研究者に対して、賞状と記念品を贈っております。

これは、本学の研究力のさらなる強化を目的として設けられたもので、令和7年度は3名の教授が受賞されました。

その授賞式において、受賞された教授から研究内容をレクチャーされるのですが、研究者の大貫学長と違い、文系の私に理解できるか心配でした。

しかし、予想に反して、どの教授のお話も、それはとても面白く興味深いものでした。

その中で、理工学部の教授がこんなことをおっしゃったのです。

「ある物質に対して実験をしたところ、思わぬ結果が出た。自然はこのような現象を許しているのかと感動した」

私は、この言葉に非常に感動しました。「自然はこのような現象を許しているのか」なんと深い、探求することの本質を突いた言葉でしょう。実験に限りません。

皆さんには、これからの学生生活、このような経験を積んでいただきたいと願っております。

世の中は美しいことがら、素晴らしい言葉で満ちています。

皆さんには、日本大学でこうしたことを見つける名人になっていただきたい。

日本大学も皆さんも、とびきりのスタートを切りましょう。

期待を込めて、お祝いの言葉とさせていただきます。

令和8年4月8日
学校法人日本大学理事長
林 真理子