三巻本枕草子本文集成
本書は、平安朝文学を代表する古典『枕草子』の最新の校本である。校本は国文学研究の基礎資料として不可欠であるが、その作成は容易ではない。『枕草子』の伝本は4系統に分類されるが、本書は最も重要な位置を占める三巻本系統本文を集成したものである。陽明文庫所蔵の室町中期書写本を底本として計27本を校合し、本文異同が大変見やすい形で示されており、利用者に対する配慮も行き届いている。巻末の「伝本解題と研究」では、2種類の伝本に新たに別本を立てて系統分類し、各伝本の書誌的解題を記すが、本文研究の歴史と研究の現段階もよく把握できる内容になっている。
本書の刊行により、国文学のみならず王朝文化を研究するための必備文献が提供され、多くの研究者がその恩恵に浴することになろう。なお、本書は平成10年度日本大学学術論文出版助成金を受けた。
書籍名 | 三巻本枕草子本文集成 |
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著者名 | 日本大学経済学部教授 杉山重行 ・著 |
月号 | 1999年春季号 No.79 |
価格 | 25,000円(税別) |
出版社情報 | 東京都千代田区猿楽町2-2-5、笠間書院 |