「2024年度日本大学進学ガイド」
インタビュー

日本大学の最新研究で,
全国に夢とワクワクを

文学研究科教育学専攻2年(取材時)

高信 清人

大学の知を社会へと還元。その契機となるプロジェクト

有志とともに学内の自主創造プロジェクトに申請し、愛知県豊田市で「NU EXPO 2022-つながる地域 つながる未来-」を開催しました。これは日本大学の研究内容を発信する研究博覧会で、当日は「大学の知の還元」「最新技術」などをテーマに、最先端の技術を用いた展示を行いました。
プロジェクト発足のきっかけは、国内随一の総合大学である、日大ならではの多彩な研究を地域に還元できないかと考えたこと。日本各地にキャンパスがある日大ですが、普段は離れたところで展開されている学部の研究が一ヵ所に集まったらおもしろいのではないかと思いました。大学は新たな知の創出や教育の場であると同時に、それらを活かした地域貢献・社会貢献活動にも重きを置くべきと言われています。私自身、研究テーマを「大学と地域の連携」としており、その必要性を肌で感じていました。NU EXPO 2022はその一歩として始めたプロジェクトです。豊田市を開催地に選んだのは、私の地元であり、学内の次世代社会研究センター・RINGSが豊田市と連携していたから。また、同日に近隣で全国62都市の代表者が参加する「中核市サミット」が行われることも魅力的でした。うまくいけば、日大と豊田市だけでなく、他の都市との連携のきっかけになるかもしれない。さらには、日本大学の研究の質の高さを大勢の人に知ってもらうことができる。大学と地域との連携の輪をここから広げていけないだろうかと考えたのです。

ハブ的存在として学内の力を結集し、多方面との橋渡しを

NU EXPO 2022の構想は、2005年の日本国際博覧会「愛・地球博」に影響を受けています。
会場跡地であるモリコロパーク(愛・地球博記念公園)にある当時の展示の名残を見て、「こんな風に研究成果を展示したらおもしろそうだ」とインスピレーションを得ました。今回のプロジェクトの会場では、文理学部や理工学部の研究を生かしたAIロボットやVRオープンキャンパス、地球と宇宙をつなぐ宇宙エレベーターや惑星探査機の模型など、多彩な成果物が並びました。「誰とでも、どことでもつながれる社会」をコンセプトに制作したドラえもんの「どこでもドア」の模型といったユニークなものも。中核市サミットに参加された議員から家族連れ、小中高生まで幅広く来場していただき、「日大が開催しているの?」と大学に興味を持ってくださった方もいらっしゃいました。大学でどんな研究が行われているのか、一般の方々が知る機会は少ないでしょう。地元の方々が最先端技術に触れられる機会となっただけでなく、小中高生が大学で学ぶイメージや、将来の夢を抱くきっかけにもなったのではないかと感じています。「どこでもドア」の前で記念撮影する子どもたちや、ロボットや宇宙の話に花を咲かせる方々の姿を見て、「これが実現したかった地域連携なんだ」と感動を覚えました。会場の運営には豊田市の高校生にも協力していただき、まさに新しい連携の形を生み出すことができました。

次代へとつなげていく、地域・社会連携のマインド

多くの方に楽しんでいただけたNU EXPO 2022ですが、全てが順調だったわけではありません。自主創造プロジェクトへの参加を通じて運営資金を獲得したのですが、資金繰りが難しく、交通費や輸送費を抑えるなどの工夫をしました。また、関係各所との連携も課題でした。まずは学科間の連携が大事だと考え、学部内でメンバーを募集し、徐々に他学部、大学全体へと範囲を広げていきました。最終的に集まった50名ほどのプロジェクトメンバーは、所属や学年がバラバラであり、一人ひとり考え方も異なります。一つにまとめるのは容易ではありませんでしたが、新たな視点が加わっていくことで、プロジェクトがより良いものになったという実感があります。私は、プロジェクトのハブ的存在として、スケジュールが円滑に進むよう、学内外問わず関係者との連絡・調整には配慮を欠かさないように心掛けました。これらの経験から「報連相」の大切さを学び、統率力や調整力、不測の事態にも対応できる判断力などの力が身に付きました。研究活動が多忙な中での進行でしたが、メリハリをつけて両立させることもできました。何より「自分のアイデアを一から形にできた」という自信を持てたことが一番の収穫です。
今後の目標は、NU EXPO 2022で生まれた連携を絶やさず、次の機会につなげていくこと。幸いにも早速、いくつかの自治体や地元の高校から、日大と協働したいとお声かけをいただいています。こうしたプロジェクトは持続してこそ意味があるので結果を出せて良かったと感じますし、達成感も得られました。在学中は、NU EXPO を続けていきたいと言ってくれる後輩たちに向け、できる限りノウハウを継承しようと考えています。大学院卒業後は就職で地元に戻るため、今後も豊田市と大学をつなぐ橋渡し的存在として頑張るとともに、新たなプロジェクトも企画していきたいと思います。このような貴重な機会を与えてくれた自主創造プロジェクトに心から感謝しています。


(本記事に掲載されているのは,2023年3月時点の情報です)