第63回関東大学バスケットボール新人戦(※以下新人戦)が6月5日~11日に行われ、日本大学バスケットボール部は4位の成績をおさめた。7月10日より開催される全国大会「第1回全日本大学バスケットボール新人戦」(※以下新人インカレ)への出場を決めた。新人インカレは1、2年生の世代の強化などを目的とし、全国9地区の各予選を勝ち抜いた24チームが日本一を争う。

プレーでも、声でもチームを引っ張った泉登翔キャプテン

1・2年生の下級生チームで争われる新人戦。昨年は準優勝した日本大学であり、23年ぶりの優勝が期待された。しかし、チームの実情は不安しかなかった。今年の日大は、昨年準優勝した3年生が主力となり、試合経験ある下級生が少ない。また、201cmのボロンボ ムヘカグラシア ブラ(スポーツ科学部1年/八女学院)を軸にしたいところだったがケガのために戦線離脱。「彼抜きでどのように戦っていくかまず考えました」と城間修平ヘッドコーチは頭を悩ます。そして、直前に行った4度の練習試合は1勝もできず、マイナスの状態で今大会を迎えた。

2回戦から登場した日大は、4部の学習院大学を相手に108-39と快勝し、初戦を突破。3回戦から同じ1部チームとの対戦が続く。新人インカレの出場権が懸かる明治大学戦を山場と捉え、そこを乗り越えることを最初の目標とする。

キャプテンの泉登翔(文理学部2年/福大大濠)も、「あまり手応えがない状態で大会に入ってしまい、どうなるかなと思っていました」と不安があった。しかし、明治大学戦は28点、20リバウンドと活躍し、68-61で勝利に導く。ベスト8進出とともに、新人インカレへの出場権を手にした。続く準々決勝の専修大学戦でも22点、15リバウンド、7アシストと大活躍。プレーだけではなく、常に大きな声で仲間を鼓舞し、72-65で勝利をもぎ取った。

泉は「自分が引っ張らないとダメかなと多少は感じていましたが、明治大学と専修大学に良い試合ができたのは、まわりのみんなが助けてくれたおかげです」と述べ、ベスト4進出に安堵する。

一つひとつやるべきことを徹底し、成長させていった新人戦

準決勝は、今大会初となるビッグマンを擁する大東文化大学と対戦。マッチアップする196cmの鈴木楓大(危機管理学部1年/浜松開誠館)は、「課題となるリバウンドに対し、自分が一番体を張らなければいけなかったのに、それがなかなかできずに相手に取られてしまいました」と課題を挙げる。リバウンド総数を比較すれば、日本大学の30本より倍近い57本も許してしまい、71-88で敗れた。

ラストゲームとなった3位決定戦は、昨年の決勝で敗れた日本体育大学と対戦。その悔しさを知る泉に対し、リベンジに燃えていたかと問えば、「そこまで考えていなかったです」と話すとおり、目の前の試合を大事に戦ってきた。城間ヘッドコーチも「一気に上手くなるわけではないので、一つひとつやるべきことを徹底していました」と手探り状態の中でチームを成長させていった。58-82と大差で日体大には敗れ、「結果だけを見れば悪いところが目立つかもしれませんが、マイナスからスタートしたチームなので良いところも見られました」と城間ヘッドコーチは及第点を与える。

大東大で課題となったリバウンドは、同じくビッグマン擁する日体大に対し、7本と僅差で対抗できた。「課題を修正するのはもちろんですが、良かったところをもっと増やしていきながら、1ヶ月後の新人インカレへ向けてもう一度チームを作っていきたいです」と城間ヘッドコーチも手応えを感じており、さらに熟成させていく。

経験を積む機会となった期待のルーキーたち

5月に行われた第72回関東大学バスケットボール選手権大会ではベンチ入りしていた鈴木だが、1部の強豪相手に出番はなかった。「もともと力は持っていますので、経験豊かになればどんどん成長する選手です。鈴木のがんばりが一番の収穫でした」と城間ヘッドコーチは評価する。同じく1年生の山田哲太(文理学部1年/白樺学園)については、「能力がとても高い、これに状況判断やディフェンス技術が加わればとても楽しみな選手です。これからどんどん伸びる選手だと思いますので、一緒に成長していきます」と期待を寄せる。

高校まではオールラウンダーとして活躍した山田は、本格的にポイントガードへコンバートしたばかり。「これまではゲームを作ることをあまり考えていなかったという課題が明確になりました」という気づきを得た。司令塔として起用され、一番成長を感じられたのが「責任感」である。

「先輩方に頼ってしまう場面が最初は多かったです。でも、最後の2試合は『ここまで来たら自分でやろう』という意識が芽生えました。シュートは落としてしまいましたが、ビッグマンが相手でもゴールに向かうことはできたかなと思います」(山田)

城間ヘッドコーチは、「新鮮な感じで指揮を執り、選手たちを見ることもできました。センターの鈴木が3ポイントシュートを決めてくれましたし、選手それぞれの良さが出せたことが大きな収穫です」と新たな可能性が見えた。スタート時点は不安が先行していた今大会だが、終わってみれば全員が成長を遂げ、自信を持って新人インカレへ向かう。

片桐洋祐監督コメント

準決勝と3位決定戦は、それぞれ大きな選手を擁するチームと対戦しましたが、どうしてもインサイドが苦しくなり、さらにアウトサイドシュートを決められ、選手たちも余裕がなくなってしまいました。小さい選手たちだけでも外のシュートを決め切るところは見られました。少し決定力は欠けていましたが、しっかり打てているので、今後が楽しみです。新人インカレもありますが、秋のリーグ戦やインカレへ向け、この中からチームの戦力として台頭してくれる選手が出てくることに期待しています。

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