1・2年生が参加対象となる「第1回全日本大学バスケットボール新人戦」(※以下新人インカレ)が、7月10日〜16日に東京都内で開催された。全国大会を経験する機会であり、そのなかで現時点での実力を確認し、これから飛躍するチャンスをつかむことがこの大会の趣旨である。これまで公式戦に出場した選手が少ない日本大学だったが全国3位の好成績を収め、自信をつける大会となった。

メンタル面を成長させ18点を挙げた奥浜貫太

新入生を迎えたばかりの今年5月、第72回関東大学バスケットボール選手権大会(※以下選手権)のロスターに入った1・2年生は、たった5人。そのうちの一人である下地秀一郎(文理学部2年/北陸高校)は、「これまで一緒に試合をした経験があるのは泉(登翔:文理学部2年/福岡大学附属大濠高校)だけ」と言うように、いくら一緒に練習をしていても、試合ではうまく合わないことの方が多い。第63回関東大学バスケットボール新人戦(※以下関東新人戦)で4位となり、全国大会への出場権を手にしたが、経験不足は否めなかった。「もう一度、基礎と基本に立ち返って練習してきました。関東新人戦のときはマンツーマンもできなかったですが、基礎から徹底したことでディフェンスは向上しました。オフェンスではビッグマンがいないので、5人全員で攻めることを常に意識し、泉を中心にチームを作ってきました」と城間修平ヘッドコーチは鍛え直し、新人インカレを迎えた。

シードの日大は、グループステージを勝ち上がって勢いに乗る早稲田大学との初戦。立ち上がりこそリードを奪われたが、試合経験ある泉と新井楽人(危機管理学部2年/沼津中央高校)がいずれも20点オーバーの活躍を見せ、89-77で初戦を突破。続く準々決勝は、関東新人戦の3位決定戦で58-82と為す術なく敗れた日本体育大学への再挑戦。「オフェンスではみんなでボールをシェアし、ディフェンスではひとつのボールをみんなで守ること。その基礎を徹底してきたことで、この1ヶ月間でだいぶ変わってきました」と城間ヘッドコーチの期待どおりの成長が見られた。

先発を任された奥浜貫太(文理学部2年/興南高校)は18点を挙げた。関東新人戦の日体大戦は5本しかシュートを放っていなかったが、1ヶ月後の今大会では13本と積極的にゴールを狙う。オフェンスの変化について奥浜は「関東新人戦のときは、シュートを打つことに対して消極的になっていました。そこで気持ち作りからはじめ、メンタル面が成長したことでシュートを決めることができたと思います」という取り組みが結果に現れ、90-80で日体大へのリベンジを果たし、準決勝進出を決めた。

泥臭いプレーに集中して自信を得た一村舞人

準決勝の専修大学とは関東新人戦の準々決勝で対戦し、72-65で勝利したが、そのときはインサイドの要となる204cmのジョベ モハメドがケガで不在だった。身長差や体格差で上回るモハメドに45点、23リバウンドとインサイドを制され、75-84で敗退。マッチアップした奥浜は「フィジカルの弱さがハッキリと出ました。当たり負けしない体づくりや、立ち向かっていくメンタルから作っていきたいです」と課題が明確になった。

日大のインサイドは奥浜とともに、196cmの鈴木楓大(危機管理学部1年/浜松開誠館高校)が担う。194cmの一村舞人(スポーツ科学部2年/尽誠学園高校)が、つなぎ役となる。「ビッグマンを相手に体を張るところでチームに貢献しなければいけない役割は分かっていました」と少ないプレータイムながらも、大きな相手に臆することなく立ち向かったことが自信になった。城間ヘッドコーチも準決勝までの活躍を評価し、3位決定戦の浜松学院大学戦は先発を任せ、87-54で快勝。「点を取れる選手はいっぱいいるので、自分はまわりをサポートする泥臭いプレーに集中して、チームの勝利に貢献したいと思っていました」と記録に残らないところでチームを支える。この結果、日大は栄えある第1回大会で3位入賞の成績を収めた。

上級生が支え、チーム一丸となってつかんだ全国3位

奥浜も一村も、関東新人戦から出場機会を得た新戦力である。最初の頃はキャプテンであり、経験豊富な泉にボールを預け、彼を探すようなプレーが見られたが、「まず泉を楽にさせようと考え、そのためにも自分が引っ張っていけるような選手になることを意識していました」と奥浜はマインドセットし、新人インカレでは成長した姿を見せる。一村も、「今回はビッグマンがいない小さいチームだったので、足を使って守ることを徹底しました。身長差があってもゴール下を守ることができ、機動力を使ったディフェンス力はかなり上がったと思います。もともと日大のオフェンス力は高いので、今大会で自信を得たディフェンスをさらに向上させていけば、さらに上を目指せると思います」と本格的なバスケシーズンへ向かって1・2年生がチーム力を底上げしていく。

3・4年生は、ベンチ裏で仲間たちを応援し続けた。4年生の一人、野口侑真(文理学部4年/県立川内高校)は、「選手権で負けた後のチームミーティングで『次は1・2年生の番だよ』と話しました。キャプテンの泉を中心に選手権のときよりもさらに団結しており、チーム力で今大会は勝ち上がって行き、すごく良い雰囲気だと感じていました」と後輩たちの活躍を労う。「今大会へ向かうにあたり、風通しが良くなりました。コートに立つ1・2年生だけではなく、僕ら3・4年生も全員で応援し、チーム一丸となって戦っていたので、この結果は素直にうれしいです」と喜びを分かち合った。

今大会を通じて、これまで出場機会がなかった選手たちが頭角を現し、「絶対にチーム力は上がるし、底上げにつながります。僕らにとっても良い刺激になっています」と3・4年生は歓迎する。コートに立つ楽しさを知った奥浜も、「リーグ戦もインカレも出られるように練習からがんばっていきたいです」と意欲的だ。

出場機会を得た2年生だけではなく、「今大会を通じて1年生の力が上がってきました。今後も遠慮することなく、この1・2年生たちの勢いをチームに取り入れ、3・4年生と融合しながらリーグ戦へ向かっていきます」と城間ヘッドコーチは述べ、チーム一丸となって日本一の目標に向かう。

レッドシャークス(チームの愛称)の活躍に目が離せない。

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