第78回全日本大学対抗自転車競技選手権大会のトラック競技が8月25日(金)から27日(日)まで千葉県千葉市のTIP STAR DOME CHIBAにて行われ、日本大学自転車部がチームスプリントとチームパーシュートで学連記録更新して優勝。計4種目で優勝し、大学対抗得点で96点を獲得。全体1位となりトラック総合優勝を決めた。
翌週9月3日(日)には長野県美麻町でロード種目が行われる。

 

大会初日、まず初めに行われたのはトラックレースの花形種目、4kmチームパーシュートだ。日本大学からは吉川敬介(経済学部3年/日大豊山)、生野優翔(スポーツ科学部4年/日出総合)、北嶋桂大(文理学部3年/氷見)、岡本勝哉(文理学部3年/北桑田)がその予選に出場。全16チーム中13番目に出走するとトップタイムとなる4分7秒242を記録。残す3チームがタイムを上回ることが出来ず、日本大学がトラック最終日の1・2位決定戦への進出を決め、幸先のいいスタートを切る。
その後行われたタイム系種目では、スプリントに出場の三神遼矢(スポーツ科学部4年/平工業)、伊藤京介(スポーツ科学部3年/朝明)が予選をワンツーで通過、これで互いが決勝まで当たらない状況となり、対抗得点上で有利な状況とする。
タンデムスプリントでは昨年の優勝ペアから引き継いだ井上凌玖(スポーツ科学部2年/岐阜第一)・町田颯(スポーツ科学部2年/作新学院)の2年生ペアが躍動、予選を13″066の2位で通過した。

4㎞インディヴィデュアルパーシュートでは4㎞TPに続けて生野が出場、ベストタイムに近い4分33秒767を記録し5位入賞で対抗得点4点を獲得し結果を残した。
初日最後に行われた1㎞TTには、三神と吉川が出場。全12組中11組目に出走した吉川は1番時計を更新する1分3秒225で3位以上が確定、残すは三神と全日本王者の中央大学・市田選手のみとなる。一騎打ちの様相となった13組目、会場中が二人の対決を見守る中、1分1秒514のトップタイムを叩きだしたのは市田選手。三神は1分2秒573で惜しくも敗れた形となったものの、日本大学の2名が2、3位となったことで対抗得点13点の大量獲得となった。
初日を終え、対抗得点合計は17点、日本大学が暫定総合順位1位で好発進を切った。

大会2日目は学連記録を更新!岡本がオムニアム初優勝

チームスプリント予選、日本大学からは主将の邊見竜馬(スポーツ科学部4年/学法石川)、伊藤、三神の3名が出場、大会前に学連記録の更新を明言していた邊見が第1走でいいスタートを決めると、第2走の三神はグングンとペースを上げていく、第3走の伊藤はペースを落とすことなく維持しゴールすると、そのタイムは45秒164。大会記録と学連記録を更新し、トップタイムで1・2位決定戦に進出した。

ケイリンには伊藤が出場、予選を難なく1位通過すると準決勝でもその力を発揮、1番手となった伊藤はそのまま譲らず先行し1着、決勝に駒を進める。伊藤が最大のライバルであり超えなければならない壁とする中央大学・市田選手も予選、準決を難なく通過しており、ケイリン決勝は二人の対決に注目が集まることとなった。
そして決勝、くじ引きで決まった番手は伊藤が1番手、市田選手は6番手。伊藤が先行するか、市田選手の仕掛けに合わせるか、見ている観客、走っている選手全員がそう考えただろう。しかし、ペーサーが外れる前にゆっくり上がってきて1番手の伊藤の横につけた市田選手、ペーサーが外れるまで並走を続け、他の選手をまったく気にしない様子の二人に会場は固唾を飲んで見守る。先に動いたのは市田選手、ペースを上げて伊藤の前に出る。伊藤はその後ろを半車身差程で追う。残り1周、伊藤は先行する市田選手を捲りかかって並びかけるが、市田選手が粘り、伊藤は惜しくも車輪半分程届かず2位となった。しかし、正に一騎打ちとなったレースに会場のボルテージは最高潮に。両者と走った選手には賛辞が送られた。

オムニアムには岡本が出場、予選を1位で勝ちあがると1種目目のスクラッチで後半に逃げを決め3着に入り36点を獲得、暫定順位3位につける。
2種目目のテンポレースでは他大学の選手が逃げて得点を積み重ねて行く展開の中、けん制状態となった集団から岡本が一人抜け出し、逃げていた選手を捉えるとそこから独走状態で得点を重ね、最後は集団をラップするなど25点を獲得し1位、40点を加算し合計76点となった岡本が暫定1位となる。
3種目目のエリミネーションレースでは危うい場面もあったものの残り続け、6名程に絞られると暫定1位である岡本へのマークが厳しくなる。自慢のスピードとスプリント力でマークをかわすと、最後1対1のスプリント勝負では先に仕掛けた鹿屋体育大学・梅澤選手を捲って先着。この種目でも1位となり40点を獲得、合計116点で暫定1位をキープしたまま最終種目のポイントレースに臨むこととなった。
最終種目となるポイントレース、これまで加算してきた得点に対し、ポイント周回ごとの得点が加算される。岡本は116点を獲得しており、2位との差は8点。レース開始から2位につけている鹿屋体育大学・梅澤選手の徹底したマークを受ける。
それでも岡本は1回目のポイント周回を1着で通過し5点を加算(計121点)、ライバルに対しリードを広げる。その後、集団にいた得点上位の選手は岡本の動きを警戒したのか、牽制状態となる。その隙に得点が低かった選手たちが一発逆転を賭けたレースを繰り広げ、上位陣の順位が大きく変わることになる。しかし、岡本は冷静にチャンスの場面で得点を重ね、最後も2着でゴール、結果的に16点を加え132点となった岡本が2位に8点差をつけ優勝。
インカレ個人種目では初優勝、オムニアムではOB・兒島直樹選手(スポーツ科学部卒/チームブリジストンサイクリング)の3連覇に続き、日本大学の選手が4大会連続でこの種目を制した。

2日目最後に行われたのは男子チームスプリントの順位決定戦、同日に予選と順位決定戦が行われるハードなスケジュールとなったが、予選トップで1・2位決定戦に進出していた日本大学が、予選と同様に邊見、三神が中央大学に対しアドバンテージを作り、伊藤がそのタイム差を守り抜き優勝を決めた。
対抗得点合計は2日目を終えて52点、日本大学が暫定総合順位1位をキープしたまま最終日に臨んだ。

トラック最終日も新記録誕生、再びの日大対決も

トラック最終日にはマディソンが行われ、岡本と北宅柊磨(スポーツ科学部4年/松山学院)ペアが出場予選を勝ちあがって決勝に進出。決勝では序盤から得点を重ねて行くが、北宅が落車してしまう。岡本が落車に気づきレースに加わるものの、これが遅かったとされマイナス1ラップで獲得していた13点から-20点となり、得点合計-7点となってしまう。しかし、北宅がレースに復帰すると、二人は最後まで優勝を狙ってレースを続ける。
4回目のポイント周回を3着で2点を加えると、5回目のポイント周回では1着で5点を追加、これで得点合計を0点とする。その後も全てのポイント周回で得点に絡んでいき、最後は2着でゴール。得点合計は19点、優勝には届かなかったが逆境を跳ね返し堂々の2位。獲得した得点だけを見れば39点で優勝したペア(32点)よりも多かった。

タンデムスプリントでは井上・町田の2年生ペアが全てストレートで勝ち上がり決勝に進出。決勝では日本体育大学のペアと対戦、1本目は先行されて追い上げるも届かず先取されてしまう。続く2本目、今度は井上・町田ペアが先行し、相手の追い上げをかわして先着。これでイーブンかと思われたが、最後のスプリント時に走行ラインを外したとして降格となり、これにより井上・町田ペアが2位となった。しかし、ペアを組んでまだ2ヵ月、今後二人の活躍が楽しみだ。

続いてスプリント、予選1位の三神と、予選2位の伊藤が全てストレート勝ちで決勝に勝ち上がる。そして決勝で伊藤、三神の”日大対決”が実現した。昨年から短距離エース二人による決勝での対戦は3回目、これまでは1勝1敗だ。
まず1本目、伊藤がイン側スタートで開始されるが、二人のスピードが遅く再出走となってしまう、これには二人とも苦笑いで会場も緊張状態から一変。
仕切り直して再び1本目、前を行く伊藤に対し三神が残り2周を過ぎたところで前に出る。残り1周で三神がトップスピードに上げていき、伊藤はそれを追走。3コーナーで伊藤が捲りにかかるも三神が最後まで粘りきって先着。
続く2本目、先行する三神に対し伊藤がインを取りにかかるも、三神はそれを許さない。残り1周に入り三神が仕掛け、2車身程の差で伊藤が追走。伊藤が最後の直線で三神に並び、ハンドルを投げあう。伊藤が追い込んだと見えたが、判定の結果僅か数センチの差で三神が先着、日大対決は2本ストレート勝ちで三神に軍配が上がった。

トラック競技最後に行われたのは、男子チームパーシュート1・2位決定戦。予選トップで勝ち上がった日本大学は選手を変えず、生野・岡本・北嶋・吉川で臨んだ。相手の鹿屋体育大学に対し、スタートから若干のリードを得ると、徐々にその差を広げていく。3名体制になった後もスピードを落とさずタイム差を広げ先にゴール、タイムは予選を大きく上回る4分4秒673。2021年に日本大学が出した学連記録を2秒近く縮め、大会新記録・学連新記録で優勝となった。

トラック競技全てが終了して、学校対抗得点は96点。2位に30点以上の差をつけ、トラック総合優勝を果たし、9月3日(日)に行われるロードレースに向け、長距離班へ最高の形でバトンを渡す結果となった。

選手・監督のコメント

スプリント優勝、1kmTT2位、チームスプリント優勝の三神遼矢(スポーツ科学部4年/平工業)

1㎞TT、チームスプリントの結果を振り返っていかがでしょうか。
1kmTTは、今の自分のベストを尽くすことができての2位で、1位の選手が自分よりも実力が上だったということなので納得しています。
チームスプリントは、予選で学連新記録を出すことができて、今まで培ってきたチーム力を発揮することができたのではないかなと思います。決勝は、どうしても44秒台と勝ちが欲しかったので動きが硬くなってしまっていたかなと思います。そこは反省点ですが、優勝することができたのでとてもとても嬉しかったです。
スプリントでの伊藤選手との日大対決を振り返っていかがでしょうか。
伊藤京介との対決は、本当にどちらが勝つか分からないようなレースでレース自体を楽しんで走ることができました。自分が大学2年生のときに伊藤が1年生で入学してきてその時は手の届かない存在でしたが、今回も勝つことができて自分の成長と周りに恵まれていることを感じました。



オムニアム優勝、マディソン2位、4kmチームパシュート優勝の岡本勝哉(文理学部3年/北桑田)

オムニアム、マディソン、4kmTPの結果を振り返っていかがでしょうか。
今回トラック出場種目での三冠を狙っていましたが、マディソンでの少しの判断ミスにより逃してしまいました。チームパーシュートについては自らが持つ学連記録を塗り替えることができ、嬉しく思います。また、オムニアムでは徹底的なマークに苦しみながらも、優勝を掴み取ることができ力の差を見せつけることができました。周りからの声援が本当に力になりました。ありがとうございました。
ロードレースへの意気込みをお願いします。
今回のコースはハードな展開になると思いますが、トラックで見せることができた強さをロードでも活かし日大の完全優勝を飾りたいと思います!



主将・邊見竜馬(スポーツ科学部4年/学法石川)

宣言通り4kmチームパシュートとチームスプリントで学連記録を更新しての優勝を振り返っていかがでしょうか。
これ以上にない結果だったと思います。最高の応援に最高のサポートがあったからこそ出たタイムで、日本大学自転車部みんなで出した記録でした。こんな経験は二度と出来ないと思うし来年また更新できるように頑張って欲しいです。
学校対抗得点96点でトラック総合優勝となった結果を振り返っていかがでしょうか。
それぞれがベストを出せたからこそ取れた点数だと思います。全種目入賞が出来たのは日本大学のチームワークが良かったからで、走っていないところでの影のサポートがあったからこそ、それが結果に繋がってると思います。三連覇の為にロードもチーム一丸となって頑張ります。



今年4月から監督を引き継いだ我妻敏監督

二つの学連記録更新、4種目での優勝という結果を振り返っていかがでしょうか。
数年前から全選手のスカウトと,主にトラックのコーチングを続けてきましたが、日大自転車部で成長したい!と強い気持ちを持った選手が入部してくれたこと、そして、その選手たちが明確な目標を持ち、主体的に取り組んだ結果だと思います。これは、本学の建学の精神である「自主創造」と、「日本大学競技スポーツ宣言」を踏まえたマネジメントが、このような結果の基盤になったと振り返ります。
9月3日のロードレースでの注目選手と見どころは?
注目選手はいません。全選手が勝てる可能性を持っており、全選手が注目する選手です。ロードも勝ちにいきますので、選手の自己判断と走る姿勢に注目していただければと思います。応援よろしくお願いします!!

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