8月末に始まった第99回関東大学バスケットボールリーグ戦も、一巡目の折り返しを迎えた。日本大学バスケットボール部は、第5節に中央大学を88-70で撃破すると、第6節・拓殖大学戦も81-72で快勝。3連戦最終日となる第7節は、79-61で東海大学から白星を奪う有終の美を飾った。

 中9日を経て挑んだ第8節。対戦相手は、春のトーナメントで延長にもつれ込む接戦を強いられた早稲田大学。第1クォーターから10点のリードを奪った日本大は、最終スコア91-78とこの試合も難なく勝利。第3節以降、連勝記録を伸ばし続け、現時点での戦績を7勝1敗としている。

(9月20日時点)

 ここまで順調に駒を進めてきたかのように思える日本大だが、一戸啓吾(#51/商学部3年/仙台大学附属明成)はチームの課題として『良い時と悪い時の差』を挙げる。「出だしは良くても第2クォーターでまくられてクロスゲームになったり、気が抜けて試合の終わり方が悪くなってしまう部分がある」とし、「40分間通して同じ強度を保っていかないとこの先は厳しいと思います」と連勝を重ねてもなお、危機感を募らせた。

 また、課題である『悪い流れ』を断ち切ってくれる存在についても言及。「フルメンバーではないという状況のなか、今まで試合に絡む機会が少なかった井上水都(#4/経済学部3年/土浦日大)や丸山賢人(#30/スポーツ科学部3年/報徳学園)が、自分のやるべきことを徹底し、チームに良い雰囲気やエナジーを送ってくれて助かっています」

 長期戦においてケガ人の発生は付きもの。日本大がこれまで好戦績を納めてこられた要因は間違いなく、セカンドユニットになっても戦力が落ちないという選手層の厚さにあるだろう。松村竜吾(#5/文理学部3年/土浦日大)もまた、この4試合でブレイクした選手の一人だ。

 これまで出場機会に恵まれてこなかった松村は、第5節の中央大でもベンチでサポートに徹底していた。しかし、第6節、7節でプレータイムを得ると、3ポイントからリバウンドショットまで幅広い活躍に成功。そして、第8節・早稲田大戦では努力が結実し先発出場。控え選手からチームに欠かせない主力選手へと一気に駆け上がった。松村は「練習中から常に、いつ使われても自分の実力が出せるよう準備してきました。やっと、第6節、7節でチャンスが回ってきて結果を残せたと思います」と自身のプレーを評価している。

 また、強みについては「相手によってプレーを変えられるところ」とし、「自分よりスピードが劣る選手に対しては外回りで、自分よりフィジカルで劣る選手にはインサイドで攻められるように高校時代からやってきました。4番で出場する際は、サイズがない分足動かすなど3番の時と変わらない運動量でカバーしています」と秘策を明かしてくれた。各ポジションに大学最高峰のスペシャリストが揃う関東1部。役割に縛られることなくストロングポイントを伸ばし、相手を見極めてプレーを使い分けることを徹底し続けたからこそ、松村は『2つのポジションで起用できる選手』になることができたのだろう。

 一方、松村と同学年の一戸は昨年のリーグ戦から先発を任され、今ではチームの顔にも定着してきている。一戸の担うポイントガードというポジションは、コート上の司令塔とも言われるが、「声を出してチームを引っ張るのは苦手」と当人は語る。それでも、随一の決定力や落ち着いたゲームメイクなど、背中で見せるプレーで日本大を勝利へと導いてきた。

「スタートとしての自覚は3年生になって一層感じています。対戦が変わろうと1番大切なことは試合の入りなので、もっとリーダーシップを発揮できるよう心がけています。また、プレー面では、得意なシュートをさらに確率良く、コンスタントに決めていきたいです。自分の強みをもっと活かしたいですし、周りを活かすプレーも増やしていきたいと思います」と一戸は、今後の試合への意気込みも語った。

 日本大は、3年生を中心にロスターを構成している。彼らの経験や今年に懸ける思いは、ラストイヤーの選手とは異なるかもしれない。しかし、彼らもまた今しかない時を過ごしており、それぞれの決意と覚悟を持ってコートに立ってきた。その証は、これまで重ねてきた白星にもはっきりと現れている。日本大メンバーの『今だからこそできるプレー』に今後も注目していただきたい。

 文=田山穂香(文理学部4年/バスケットボール部広報)

第99回関東大学バスケットボールリーグ戦

■試合結果
【第5節】
日本大学 88-70 中央大学
日本大|24|21|20|23|=88
中央大|17| 8|29|16|=70

【第6節】
日本大学 81-72 拓殖大学
日本大|18|22|26|15|=81
拓殖大|16|22|12|22|=72

【第7節】
日本大学 79-61 東海大学
日本大|23|25|20|11|=79
東海大|15| 7|10|29|=61

【第8節】
日本大学 91-78 早稲田大学
日本大 |28|26|19|18|=91
早稲田大|18|26|12|22|=78


【第9節】
日本大学 84-71 大東文化大学
日本大  |24|34|15|11|=84
大東文化大|19|17|12|23|=71

【第10節】
日本大学 67-58 山梨学院大学
日本大  |21|14|19|13|=67
山梨学院大| 8|20|11|19|=58

※第9節、第10節の振り返り記事は、第11節とまとめて掲載予定です。

■リーグ戦 今後の予定
【第11節】
日時 :2023年10月7日(土) 17時00分〜
会場 :アダストリアみとアリーナ aコート
対戦校:日本体育大学

【第12節】
日時 :2023年10月8日(日) 15時00分〜
会場 :アダストリアみとアリーナ aコート
対戦校:江戸川大学

【第13節】
日時 :2023年10月9日(月・祝) 15時30分〜
会場 :アダストリアみとアリーナ bコート
対戦校:専修大学

■関連リンク

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