日大豊山高校バスケットボール部
20年振り4度目となるウインターカップ出場決定

付属校
2020年12月12日

2020年11月15日、日大豊山バスケットボール部が高校バスケの甲子園と呼ばれるウインターカップ(全国高等学校バスケットボール選手権大会)の出場を決めた。

日大豊山は「2020 Tokyo Thanks Match」を勝ち上がり、ベスト4に進出。専修大附、実践学園、成立学園との総当たりで行われる決勝リーグを1勝2敗の3位で終え、出場権を獲得した。同校の出場は実に20年振り4度目となる。

コロナ禍という未曾有の危機を経て、悲願の切符を手に入れたチームを指揮する柴原智視監督、古川貴凡ヘッドコーチに話をうかがった。

悔しさの残る決勝リーグ最終戦

柴原智視監督

柴原智視監督

―ウインターカップ出場が決まったときのお気持ちはいかがでしたか?

古川:決まった瞬間はうれしさよりも悔しさが大きかったですね。

柴原:決勝リーグのもう1つの試合が先に終わり、我々の試合中に出場が決定しました。しかし豊山は最終戦で敗れてしまったので、表彰式では選手もスタッフも素直に喜ぶことができなかったのです。

―なるほど。それでは改めて大会を振り返っていただけますか?

古川:今回は「2020 Tokyo Thanks Match」という名称が付けられたのですが、コロナ禍で辛い思いをした3年生のための大会でした。

例年この時期は主力以外の選手は引退をしているのですが、最後まで3年生全員で戦い、ここまでお世話になったご両親やご親族、OBなどに頑張る姿を見ていただいて、感謝の意を示そうと臨みました。ですから、ウインターカップの出場権を勝ち取るという意識はそこまで強くなかったのです。

―では一戦一戦に全力を尽くすことを目標にされていたのですね?

古川:そうですね。ウインターカップの出場権を獲得できたのは、決勝リーグ初戦の成立学園戦に勝てたことが大きかったです。2戦目の実践学園には大敗したのですが、最終戦に勝てば優勝できる可能性もありました。

ですから3戦目の専修大附では、とにかく集中して試合に臨むように選手に言い聞かせたのですが、勝ちたいという気持ちが裏目に出て、特に1stクォーターは浮足立ち、チームになっていませんでした。それが最終戦だったので、悔しさが残ったのです。

―3位では満足できなかったということですね?

古川:20年振りですし、本当は大満足ですけどね(笑)。

柴原:実際に数時間後には、心が喜びで溢れていました(笑)。

コロナ禍を経て

―現在のチームは昨年秋の新人戦ではベスト16で敗れています。そこからウインターカップ出場は、大きな飛躍を遂げたと思うのですが、要因はどこにあったのでしょう?

古川:常に目標となるチームがいたことですね。

新チーム発足後に付属校の大会があり、決勝で土浦日大に大敗しました。強豪との実力差を認識してスタートし、その上で土浦日大に勝つことが一つの目標になったのです。

しかしその目標がありながら、ベスト16で敗れてしまい、そこで新たに選手たちが気持ちを入れ替えてバスケットボールに向き合おうとしているのを感じ取ることができました。

柴原:他にも昨年は川崎ブレイブサンダースの篠山竜青選手のクリニック(篠山竜青から付属生へ バスケットボールクリニック開催)が本校で行われ、選手には大きな刺激になりました。

チームとしてしっかりと足元を見ながら一歩ずつ前進できたことが今回の成果につながったのだと思います。

古川貴凡ヘッドコーチ

古川貴凡ヘッドコーチ

―新人戦のあとにはコロナウイルスの影響で練習はおろか、学校が休校となりました。その際はどのように選手と向き合っていたのでしょうか?

柴原:ZOOMを利用して、チームで筋トレや体幹トレーニング、ミーティング、親御さんも含めた個人面談など、スタッフ全員で協力して毎日選手とコミュニケーションを取っていました。

リモート中に関東予選、インターハイ予選が中止になり、我々スタッフも含めて不安はありましたが、つながりが保たれていたことが、選手の心の支えになったと思います。

―コロナ禍での練習は苦労もあったのではないでしょうか?

古川:学校が再開した当初は偶数クラス、奇数クラスに分かれて登校していたので、練習も全員が揃うことはありませんでした。そのときには「全員でバスケができる日を心待ちにして頑張ろう」と声を掛けていました。

柴原:感染防止対策を守りながらの練習は本当に大変で、最初はボールの共有や1on1などがNGでしたし、今でも選手はもちろんボールに小まめな消毒をしています。そのように徹底していても、感染が出てしまった事例を耳にしていたので、何が正解かわからず、不安は大きかったです。

―それでも、コロナを経験したからこそ、チームが一つになったのではないでしょうか?

古川:バスケ部だけでなく、学校全体が団結し、絆を深めたと感じています。リモートでの指導についても水泳部や野球部が先に始め、それが広がっていきました。学校からのサポートも厚く、それを力に変えることができました。

―学校全体で培った団結力を持ってウインターカップに臨まれるということですね。初戦の相手は愛知県の桜丘高等学校に決まりましたが、どのような印象をお持ちでしょうか?

古川:強豪です。豊山は4度目の出場ですが、20年振りというのは初出場とあまり変わらないので、勉強をさせていただきたいです。

―では最後にウインターカップの目標を教えてください。

古川:目の前の戦いに集中し、まずは初戦突破が目標です。実践学園、専修大附の敗戦を糧にして、勝つバスケにこだわり、選手には最後まで全力疾走で戦ってもらいたいです。

柴原:とにかく悔いの残らない大会にしてほしいですし、コロナを経験したからこそ、周囲の方々への感謝の気持ちを持ってプレーしてもらいたいです。

選手インタビュー

粕尾和季 キャプテン(ポイントガード・3年)

粕尾和季 キャプテン

粕尾和季 キャプテン

―チームのストロングポイントを教えてください。

堅守速攻が豊山のスタイルですが、最後まで諦めずに、チーム一丸となって戦う姿勢が持ち味です。

―ご自身のストロングポイントを教えてください。

ハードな守備です。それとアシスト、シュートの確率を上げるために今、必死に練習しているので、その点にも注目してもらいたいです。

―コロナ禍を経験して得たことはありますか?

チームの団結力が高まりました。新チーム結成時よりも、チームとしてまとまったことがウインターカップ出場につながったと考えています。

―ウインターカップに向けて、意気込みをお願いします。

ウインターカップは新チーム結成当初からの目標でした。大会では一戦一戦を大事にし、1つでも多く勝つことを目指します。「2020 Tokyo Thanks Match」の反省点を踏まえ、チーム一丸となって大会に臨みたいです。

町田寛明 副キャプテン(センター・3年)

町田寛明 副キャプテン

町田寛明 副キャプテン

―ご自身のストロングポイントを教えてください。

相手選手に当たり負けしないパワーです。リバウンドの強さに注目してもらいたいです。

―コロナ禍を経験して得たことはありますか?

以前より感謝の気持ちを持ってバスケができています。コロナで大会がなくなったときには「このまま引退かな」と考えましたが、それを乗り越えて今があるのは周囲の方々のおかげです。

―ウインターカップに向けて、意気込みをお願いします。

大会の雰囲気に飲まれないようにみんなで声を掛け合って戦いたいです。豊山の持ち味を発揮して、常連校に負けないバスケを見てもらいたいです。