獣医師国家試験 私大NO1の合格率!
日大獣医学科で学びたい理由

生物資源科学部 獣医学科
2019年度6学年担任 兼 学科教務委員長 渋谷久教授

学び・教育
2020年04月08日

2019年度の獣医師国家試験で、本学獣医学科は私大で最も高い合格率97.5%をおさめた。
「1位といいましても、他大学もみな合格率は高いです。順位にすると昨年は私立では2番目で、今年はそう(1番に)なりましたけど」と、今年度卒業生の担任、渋谷教授は謙遜して笑う。

獣医学部・学科は、現在国内に17と数は多くなく、全国が連携して底上げしやすいこともあって全体の合格率が高い。とはいえ、毎年120人前後もの卒業生を輩出する日大の獣医学科が高い合格率をキープすることには、希望がある。

改めて好立地な湘南キャンパス

江ノ島の海へは、六会日大前駅から電車で30分

江ノ島の海へは、六会日大前駅から電車で30分

きっと、思っている以上に贅沢な学び舎だ。六会日大前駅からは、キャンパスが駅舎から見えるほど近く、そのまま階段を降りれば東門まで遮るものなく風通る。緑に溢れおだやかに勉学に打ち込める環境そのものだが、それだけではない魅力がある。

江ノ島・鎌倉・横浜まですぐに行ける藤沢市は住みたい街としても人気が高まっており、息抜きに「ちょっと海まで」出かけられる学生生活を想像すると夢広がる。広大なキャンパスには2つの食堂、カフェ、売店、コンビニ等が揃い、徒歩5分圏内にスーパーやドラッグストア、電車で15分も移動すればショッピングモールがある。電車の利便性が高いのも心地よい。

新カリキュラム導入後、第一号の卒業生

渋谷 久(しぶや・ひさし)生物資源科学部獣医学科教授

渋谷 久(しぶや・ひさし)生物資源科学部獣医学科教授。2019年度6学年の担任や学科教務委員長を務める

合格率を上げた大きな要因は、「カリキュラムを一新し、進級条件を厳しくしたこと」と「共用試験を導入したこと」だろうとみられている。

10年前にカリキュラム検討委員会を発足。文科省が平成23年に公表した共通到達目標「獣医学教育モデル・コア・カリキュラム」に沿って授業を組み直したところ、履修項目は細分化され、授業内容が非常に丁寧になった。その分、修得単位数が増え学生には厳しいものになったが、より深く学べるようになったことは大きいと言う。

同じタイミングで、進級条件も厳しいものに変更した。他大学の進級条件が非常に厳しいものだとわかり、特に私大学の内容を参考に調整した。

例えば、4教科以上を落とすと進級できない。3年次は履修29教科と特に数が多い上、そのうち4教科を落とすと留年というのはなかなか厳しいものだが、1年1年、実力をともない進級できる積み上げ教育が叶うようになった。

5年次前期には獣医学共用試験を導入。参加型臨床実習を受講するための仮免許を取得する重要な試験で、合格した学生だけが動物病院などの現場に出て患畜に接することができる。仮免許がなければ、後期のステップ(実習)へ進めない。

今年の6年生は、これらの厳しい新体制になって初の完成年度で、国家試験の合格率も自ずと上がるのではという期待通りに実を結んだ。

先端獣医療が学べる環境
小動物臨床では日本屈指の名医を配置

モデルに準ずるばかりではない。日本大学動物病院にはMRIやCTなどの高度な機材が揃い、より専門的な検査や診断、高度な治療が必要な動物を受け入れる二次診療ができる。がんの放射線治療や獣医脳外科など、先端獣医療を学べる設備を充実させることに積極的で、国内有数の診療実績を上げている。「プロが本当に信頼する動物病院」のトップに選ばれたこともある(2016年 週刊東洋経済調査)。

人気の高い小動物臨床にも非常に力を入れており、小動物軟部外科の第一人者である浅野教授や、整形外科担当の枝村准教授、獣医内科学の亘教授など、その道の著名な教員たちが名を連ねる。

大事なのは動機づけ

履修教科と進級条件について説明する渋谷教授。

履修教科と進級条件について説明する渋谷教授。条件を厳しくすると、学ぶ動機づけができていない学生を低学年のうちにケアできるようになった

「獣医師」と聞いて町の犬猫病院をイメージする人が多いかもしれないが、職域はかなり広い。獣医師となる人材を育てるためには、なにより学ぶ動機づけをすることが大事で、そうすることで勉強する意欲を養うのだと渋谷教授は言う。

「高校生が飛びつきやすいのは海生哺乳類や展示動物、動物介在療法への関心も高いですが、それはメディアからの限られた情報しか得られていない印象です。ですからまず、1年次の基礎演習では職域についても学べるようにしました」

いろいろな領域に進んだ卒業生たちを講義に招き、生の声を聞く機会も設けている。獣医師は国家公務員、家畜保健衛生所や食肉衛生検査所などの地方公務員、薬品や飼料の分野など様々な場で活躍しており、対象も小動物から大動物と範囲が広い。獣医師の職域についてよく知ることで、どれだけのことを学ぶ必要があるのかが理解できるようになるのだ。

「犬のことだけを学びたいと思っても、実際には牛、豚、馬、鶏はもちろん魚、蜂に関する知識も必要なのだと最初にわかっておけることが大事です。何となくの勉強では、なかなか国家資格までは難しい」。

明確なモチベーションを持てていない学生をそのままにしない。おいていかない。面談をしながら一緒に考えるケアをおこなっている。

圧倒的な同窓生ネットワーク

獣医業界を発展させ牽引した先輩がたの中には、多くの日本大学の卒業生がいる。本学獣医学科には「角笛会」と呼ばれる校友会があり、全国の角笛会支部には現役教員も定期的に出向きつながりを大切にしている。(「角笛」とは、東京獣医学校時代に歌われた詩に由来する)

獣医師は職域が広いのにもかかわらず、小動物臨床は飽和状態だという。だからこそ、こうして絶えない情報提供・交換の場があることは貴重だ。

学内だけでなく、獣医業界は横の結束力も強い。横並びに協力して質の高い学生を育てようと、獣医学部同士の情報交換は盛んで、私大学同士も仲が良いと言う。在学生もまた、他大学との勉強サークルで国家試験のために切磋琢磨するなど、横のつながりを大切にしているようだ。

人と動物の間に立てる、唯一の人材

日本大学生物資源科学部 本館。

日本大学生物資源科学部 本館。卒業生による講演や交流会も開催される

渋谷教授は、当時獣医学の最先端であった欧米で学ぶため10年間の留学後、恩師から声がかかったことを機に本学に着任した。以来20年、教育の現場を支えている。

着任当時のことを聞くと、「教育がすごくおもしろかったです。その頃は黒板を使う授業で、結構汗をかきながら、これだけは学生に絶対おしえたい!という思いを込めて書いたものです。最終講義のあとには学生から拍手をもらって…学生は教員のそういう情熱に動かされるということかな。今はパワポで、情報量は多く伝えているつもりですが、学生に届くくらいの熱意を伝えられていないのかもなと思うことはあります」。

学生にとって、目の前の教員がそういう思いで向き合ってくれていることは、最も重要なことの一つだろう。

現在獣医師資格を持つ者は全国に約4万人。毎年1000人ほどが獣医師としてのキャリアを歩み始める。1000人のうちの約1割は日大獣医学科の卒業生だ。学生、そして卒業生に向け、渋谷教授は「獣医師とは唯一『人と動物の間に立つ』ことを国から許されている人材です。一人ひとりがそのエキスパートであることを自覚して、どうか社会に貢献していただきたい」と願っている。