自然豊かな環境で生徒はのびのび育っている
茨城県西部の桜川市の自然豊かな環境に立地する岩瀬日本大学高等学校。創設25年目を迎えた同校のスクールミッションは「変化し続ける社会の中で、自ら将来を切り開くことができる人財の育成」だ。
「勉強」より「学び」
吉田邦孝校長は「ミッションを『人材』ではなく『人財』としていることに大きな意味があります」と切り出す。
単に社会の要求に応じるだけの「材料」として人を育てるのではなく、目指しているのは社会の中で「替えの利かない存在」となり、周囲から愛され「社会の財産」となる人物の土台づくり。同校の教育の出発点に位置付けられる。
「人財」の育成について熱く語る吉田校長
「ゆえに教職員が生徒を深く愛し、尊重することが大切です。このアプローチがあって初めて生徒たちは愛を知る人間に育っていきます」(吉田校長)。
そのためにも意識しているのが生徒にさまざまな「気付き」を促す授業設計だ。「生徒に求めているのは『勉強』ではなく『学び』。感情が排除される『勉強』に対し、『学び』は感情や心と紐づいており、成長するための気付きがふんだんに含まれています」と吉田校長は強調する。
探究活動を部活化
その象徴が1、2年次に取り組む「総合的な探究の時間」だ。これまでSDGs(持続可能な開発目標)をテーマに取り組んできたが、今年度からウェルビーイング(持続的な幸福・良好な状態)」に切り替えた。
SDGsは今の高校生が社会に本格的に羽ばたくころには目標達成期限の2030年を超えてしまう。そのため、ポストSDGsとして白羽の矢を立てたのがウェルビーイングだ。ディスカッション等さまざまな取り組みを通じて、個人の幸福と公共の幸福をいかに共存・調和させるかという視点を生徒自身に内在化させていくという。

日大進学コース1年生の数学の授業風景
「総合的な探究の時間」を重視する中で画期的なのが、探究学習を部活動として継続して取り組めるようにしたことだ。総探の時間は通常単年度単位のカリキュラムで強制終了してしまう。
吉田校長は「生徒が熱くなったところで探究学習が終了してしまうケースが少なくありませんでした。そこで3年前から受け皿としてPBL(課題解決型学習)系の部を3つ新設し、とことん探究に取り組めるようにしました」。「勉強」ではなく「学び」重視の姿勢はぶれずに貫かれている。

2年生の授業の一コマ
進む地域の過疎化
同校は付属校として毎年100人前後の学生を日大に送り込む一方、直面しているのが地域社会の人口減という課題だ。立地する桜川市はいわゆる「消滅可能性自治体」に指定され、周辺の過疎化が急速に進んでいる。県西地区の公立高校は定員割れが恒常的になりつつある。
こうした環境の中、「高等教育機関を目指せる高校」として同校の存在は大きい。吉田校長は「現役世代が地方移住を検討する際、真っ先に確認するのが教育と医療。子供が通わせたい学校がないと現役世代はやってこない。学校と地域は共存共栄の関係にある」と強調する。私立高校でありながら極めて高い地域インフラとしての使命を帯びている。

日大進学コース2年生の国語の授業風景
魂を込めた「人財の育成」で地域社会との共生にも挑む同校。「社会の財産」となる子供たちの未来がカギを握る。
(日本大学広報 令和8年6月号)