今年で創立62周年を迎えた佐野日本大学高等学校の校舎
今年で創立62周年を迎えた佐野日大高校に今春、うれしい知らせがもたらされた。
令和8年度の新入生の数が、516人と前年度より120人以上も増えたのだ。同校が立地する栃木県を含む北関東地方は、他の地方と同様に深刻な少子化に直面し、栃木県だけでも今年度は600人超の受験生の減少に見舞われている。
この厳しい環境下で新入生が激増したのは、今年度から始まった私立高校の授業料無償化が追い風になったことが大きいが、髙原健治校長は「当校の『総合力』に対し、受験生や保護者から高い評価いただいています」と口を開く。
教育方針を語る髙原健治校長
学部長による講義
同校が誇る総合力の一つが、付属校としての強みを最大限生かした「日大DAY」だ。日大全16学部の学部長を4月に招き、入学したばかりの1年生にそれぞれの専門学問の魅力や、その先にある職業とのつながりを2日間にわたって講義してもらう。
同校独自の高大連携キャリア教育実践プロジェクトの一環として始めたイベントで、今年で4回目を迎えた。学部長を動員するのは他の付属校にないユニークな試みといえる。

日大DAYで講義をする轟朝幸理工学部長
髙原校長は「進路が白紙の状態の1年生に対し、早い段階で最高峰の学問に触れてもらい、学習意欲に火を付ける効果があります。漠然と高校生活を始めるのではなく、将来の文理選択などのミスマッチも防げます」と語る。
日大DAYには生徒のほか、希望する保護者や中学校、塾の関係者、中学生も参加できる。進路指導部長の田中光一教諭は「単なる大学の売り込みではなく、各学問の本質や研究内容を伝える内容で、国公立など他大学を目指す生徒にとっても貴重な機会になっています」と話す。
進路指導部長の田中光一教諭
さらに年末から3月にかけては学部長ら各学部の関係者が再度来訪し、日大進学が決まった3年生に向けた「日大プレオリエンテーション」も開いている。これは大学生活や学修に対する不安を解消し、モチベーションを高めた状態で進学してもらうのが狙い。保護者同伴を必須としており、全体説明の後には個別相談にも応じる。
こうした生徒に寄り添い、視野を広げる教育が「単に大学へ進学させるだけでなく、将来まで責任をもって導いてくれる学校」という評価につながっている。

1年生の数学の授業の一コマ
5カ国7校と提携
また、独自の国際教育も見逃せない。現在、5カ国7校と提携を結び、生徒の興味や語学レベルに合わせた多彩な国際交流プログラムを用意している。横畑あずさ教諭は「今年から新たに米国のカンザス大主催のインターナショナルショートプログラムへの参加も始めました。さまざまな国出身の生徒とともに学ぶことで視野を広げる機会となります」と語る。
そして新たに始まったのが、提携校の教員らを同校に招くプログラムだ。「海外に行かなくても、校内で異文化の視点を通した思考を身に付ける機会となります」と横畑教諭は話す。
横畑あずさ教諭
STEAM教育も
1年生と2年生の「総合的な探究の時間」では、生徒の創造性を伸ばすことに心を砕いている。1年生は教員が主導する「テーマ型探究」を行い、2年生になると1年生で培った土台をベースに生徒自らがテーマを設定する「自律型探究」に移行する。
自律型探究では、科学など五つの分野を統合的に学ぶSTEAM教育を取り入れ始めた。伊東裕樹教諭は「生徒たちの知的好奇心や主体性を大きく刺激していきたい。ゆくゆくは日本大学や企業・地域とタイアップし、視点を学校外の世界に広げたい」と語る。
伊東裕樹教諭
クラス制を採用
総合力はこれにとどまらない。2年前から導入したコース制からクラス制への改革も、学校や生徒の活性化に貢献している。これまでのコース制は1年次に選択したルートを2年次、3年次に変更することができなかったが、クラス制の導入でフレキシブルに選択できるようになった。
例えば、当初は日大進学を目指していたが、学習を進めるうちに国公立大に挑戦したくなった場合や、特別進学クラスに入ったが、日大の特定の学部に強い魅力を感じた場合などカリキュラムが変更できる。
実際に野球部に所属しながら現役で筑波大など難関大学へ合格するような高い伸び代を持つ生徒も出ているという。

昨年オープンした食堂、コンビニ、ラウンジ、講堂の機能を併せ持つ「SANICHI COMMONS」
挑戦心を全力支援
同校は、こうした総合力に磨きをかける挑戦を日々続けている。髙原校長は「生徒が何事にも挑戦し続けられるよう、学校は全力でサポートしていきます。今後も総合力を高める取り組みを模索していきたい」と話している。
(日本大学広報 令和8年7月号)