留学・国際交流

ヨハネス・グーテンベルク大学 結城麗加さん(法学部)

ヨハネス・グーテンベルク大学交換留学報告書

 私の留学生活の目標は、「移民や難民の専門知識を得ること」,「語学力の向上」,「視野を広げること」であった。その目標を軸に、約1年間の留学生活での学びを振り返りたい。

 

●専門授業について

現地大学では法学部に所属していたが、学部や専門分野を越えて多様な授業を受講できた。なかでも、留学目標の一つである「移民法」を履修できたことは大きな収穫である。この分野は日本には独立した法制度として存在せず、関連分野として「出入国管理及び難民認定法」があるのみである。そのため、産業革命期から移民を労働力として受け入れてきた歴史を持つドイツで学ぶ意義は非常に大きかった。

 特に印象に残ったのは、移民の中でも「難民」に関する制度である。戦争や差別などの理由で逃れてきた人々は、難民申請における面接で自らの体験や過去を詳しく語ることが重視される。その際、連邦移民・難民庁の通訳や弁護士、支援者の同席が認められ、記録内容を本人が確認できる仕組みも整えられている。

この学びを通じて、日本とドイツでは難民制度のアプローチが異なることに気づいた。日本では「難民か否か」を厳格に判断する傾向が強い一方、ドイツではまず「難民である可能性のある人」を保護する方向性が重視されている。両国の制度を比較することで、制度の仕組みを理解するだけでなく、「その制度のなかで人をいかに支えるか」という視点の重要性も学ぶことができた。

 

●語学力について

大学では主にISSKという団体が言語授業を担当しており、私はB1レベルの授業を受講した。日本では日本語を用いたドイツ語教育を受けてきたため、当初は文法用語をドイツ語で理解することに苦労した。しかし、ドイツ語でドイツ語を学ぶことで、知らない単語を別の言葉で説明する力など、実践的なコミュニケーションに必要なスキルを養うことができた。クラスにはドイツ語に比較的近い言語を母語とする学生が多く、特にスピーキングでは差を痛感した。そのため、自分には彼ら以上に努力する必要があると強く実感した。また、この授業は一人一科目のみ受講可能で、週1~2回しか開講されなかった点は残念であった。不足を補うため、大学内で週1回開催される「Language Exchange Café」に積極的に参加し、会話練習に励んだ。この場では言語学習者同士が交流し、お互いのスキルを高め合うことができた。また、日常生活の中で現地の人々が使う表現に触れられることも、留学の大きな利点であると感じた。

 

●国際交流を通して

現地のドイツ人と交流する中で最も強く感じたのは、「討論を好む文化」である。テーマの内容や立場に関わらず、自分の意見を根拠や知識をもとに展開する姿勢が印象的だった。特に、私の意見に反対する相手は、単に否定するのではなく、さらに私からの反論や追加意見を期待しているように思えた。彼らにとって討論は、相互理解を深めたり、自らの考えを更新したりする手段だからだという。

私はこれまで「相手の意見を受け入れること」が尊重だと考えていた。しかし、この経験から、互いに深く意見を交わすことこそが真の意味での理解につながるのだと感じた。ただし、社会問題や政治といったテーマでは、日本では友人と話す機会が少なく、知識量の差を痛感して議論に踏み込むのが難しかった。しかし、ドイツの人々にとってこれらは日常的に関わる身近な話題であり、その姿勢から強い刺激を受けた。この経験は、自身の進路を考える上でも大きな示唆となった。

 

●日常生活の中で

街中では犬や身体の不自由な人を頻繁に見かけ、日常の小さな気づきが多かった。犬と散歩する人の多くはリードを外しており、動物との共生意識の高さを感じた。また、障害のある人々に対してはスロープなどの施設整備が進んでおり、雇用の機会も比較的多いのではないかと推測している。

環境への配慮も日常生活で実感した。特に夜空に星がはっきり見えたことに感動した。マインツは私の地元よりも都市規模が大きいにも関わらず、身近に自然を感じられたことから、生活に環境への配慮が反映されているのだと感じた。

さらに、ドイツ人の生活様式からは、仕事と私生活を切り替え、余暇を大切にする文化を学ぶことができた。夕方や週末には多くの人々が外で存分に余暇を楽しんでおり、年配の方も若々しく見えるほどであった。ドイツ語には「Feierabend(仕事を終えて過ごす自由な時間)」という言葉があり、人々が家族や友人、自分との時間を大切にする文化が表れているように思う。この経験を通じて、私自身も時間の使い方や家族との過ごし方を改めて考えるようになった。

 

●まとめ

 今回の留学では、専門知識の習得や語学力の向上、異文化交流、そして日常生活からの学びを得ることができた。これらの経験は、学業や将来の進路を考える上で大きな財産となると確信している。今後は、この留学で培った知識や経験を生かし、国際的な場面でも柔軟に対応できる人材へと成長していきたい。

 

寮から歩いてすぐのところにあるMEWA ARENAでサッカーの観戦をしたときの様子です。マインツ市民が誇りのように思いながら応援している姿は見ていてとても楽しく、留学してからサッカーに関心を持つようになりました。