新入生及びご家族の皆様へ

日本大学危機管理学部長
福田 弥夫

入学式中止ならびに授業開始延期について


 

 新入生の皆さん、そして新入生のご家族の皆さん、ご入学おめでとうございます。新入生の皆さんの入学を心からお祝いすると同時に、数多くの大学そして学部学科の中から、日本大学危機管理学部危機管理学科における学びを選択してくださり、深く感謝申し上げます。


本来であれば、41日の入学式において、皆さんに直接お祝いの言葉を述べるべきではありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響のため、やむなく中止とさせていただきました。入学式は、新入生の皆さんの晴れの門出であり、大学生活をスタートさせる重要な節目であり、大学における学びへの希望や決意を新たにする大変よい機会になるはずでした。我々としても大変残念であり、ご家族の皆さんも楽しみにされていたこととは思いますが、式典に参加される皆さんの健康と安全の確保のためにやむなく中止とさせていただきました。どうかこの苦渋の決断をご理解ください。


130年の歴史と伝統を誇る日本大学の中で最も新しい危機管理学部は、法学を基礎とした社会科学的アプローチによる新しい危機管理学の構築を進めています。危機管理になぜ法学が必要なのかは、今回の新型コロナウイルスの感染拡大に対応するために「新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律」(令和2313日法律第4)が国会において可決成立し、直ちに公布されたのを見てもわかるように、たとえ緊急時であっても、法律に従った迅速な行動が必要とされているからです。そういう意味では、皆さんの大学生活はまさに世界的危機発生の中でスタートし、各国の対応や復興に向けての手法などは危機管理学の貴重な資料となると思われます。


新型コロナウイルスの影響は入学式にとどまらず、新入生の皆さんへのガイダンスや履修相談等も延期を余儀なくされ、授業開始日も延期せざるを得なくなっております。また、本来は対面によって進められるはずのガイダンスや履修相談もWEBを利用するという、きわめて変則的な方法で実施することとなり、授業形態も影響を受け、教室に集まっての授業ではなく、インターネットを利用したオンライン型のディスタンスラーニング(遠隔授業)によって前期の授業を開始することとなりました。


大学の担うべき使命には大きく分けて三つあり、第一は質の高い充実した教育の提供であり、第二はその教育を支えるために必要な研究であり、第三は大学で学ぶ者に対する安全安心な学習環境の維持確保です。私たちは、対面授業に決して引けを取らない内容のオンライン授業を提供し、皆さんの知的好奇心を満足させる努力を続けますし、このような緊急事態にあっても、決して各人の研究をおろそかにしません。そして、対面授業再開の判断に際しては、学生の皆さんの安全安心な環境の確保を当然の前提とすることをお約束します。


新入生の皆さんは、ただでさえ不安の多い大学生活が、キャンパスにおける同級生たちとの出会いもなく、パソコンの画面を通じてバーチャル化された教室で学ぶことでスタートすることに大きな不安を抱いていると思います。幸いなことに、当学部では入学前教育においてすでにオンデマンド型のディスタンスラーニングを展開しており、またオンラインによる授業展開の経験が豊富な教員もおります。現在は全教職員が一丸となって511日の授業開始に向けてその準備を行っておりますので、どうかお安心ください。


新入生の皆様の様々な不安に対応する各種相談窓口の開設も進めております。じっとしておらず、不安や心配は危機管理学部の教員や三軒茶屋キャンパスの教職員の皆様に気軽に相談してください。新入生の皆さんは決して一人ではなく、日本大学ファミリーの一員なのです。教職員の方々ばかりではなく、今春社会に巣立った危機管理学部の先輩たちや日本大学130万人の校友が応援してくれています。重要な情報などは、学部ホームページやポータルで配信いたしますので、どうかご注意ください。


全国的な緊急事態宣言が出され、56日まで感染拡大防止のための行動自粛等が要請されています。この新型コロナウイルス感染症が、今後どのような展開になるかは先行きが見えません。テレビのニュース番組でも連日大きく取り上げられておりますが、決してフェイク・ニュース等に惑わされることなく、冷静な行動をとるようお願いいたします。それは、皆さん自身を守るだけではなく、周りのご家族の皆さんを守ることにもなるからです。


最後に、例年の開講式で私が新入生の皆さんにお願いしていることを皆さんにもお願いしようと思います。それは、なによりもまず、知・徳・体のバランスの取れた人間になることが大事だということです。皆さんは将来、おそらくは極限状態の中で重要な判断を迫られることになります。正しい知識、倫理観を備えた強靭な精神力、そして健康な体が備わっていなければ、誤った判断に陥る危険性があります。そしてその誤った判断は、危機によってもたらされる損害を拡大させ、あるいは貴重な人命をさらに失うことにもつながります。どうか危機管理学部で四年間必死に学び、心と体を鍛え、国内はもとより広く世界中から求められる人材に育ってください。それを可能にするのは、皆さんの努力です。四年間はあっという間に過ぎて行きます。この四年間を大事にそして充実した学生生活で過ごしてください。皆さんの限りなき知的要求に我々も全力で答えます。皆さんも全力で学んでください。そして、常に、皆さんを育ててくださったご家族の方々への感謝の気持ちを決して忘れないでください。


三軒茶屋キャンパスで新入生の皆さんとお会いできる日を心待ちにしております。

Where there is a willthere is a way. 意志あるところに道は開かれる