2022年4月東都大学野球春季リーグで、最も活躍したルーキーに贈られる新人賞を、本学では初受賞した星憂芽選手(法・1年)。神宮の森で輝いた注目の新星に、大学野球の感想とこれからの抱負を語ってもらった。
*新人賞は2008年(平成20年)春に新設。※2022年6月オンライン取材、学年は取材時のもの。

2022年4月、史上初めての地方開幕として、大分県の別大興産スタジアムで戦いの火蓋を切った令和4年度東都大学野球の春季リーグ。青山学院大学、中央大学と勝率で4位に並んだ本学は、4-6位を決める3校総当たりのプレーオフに臨み、4試合を戦って5位を確保して入替戦出場は回避した。不本意な成績に終わったチームの中にあって、ひときわ輝いたのが、1年生ながら全試合にレギュラーとして出場し、チーム2番目の打撃成績を残した星憂芽選手だった。

小学生の頃は投手として注目を集め、中学時代は強豪・小山ボーイズで下級生の頃から主力としてチームを牽引。3年夏にはボーイズ日本代表にも選出された。さらに進学した名門・日大三高でも1年生時からレギュラーをつかみ、大学でも同期となる齋藤広空選手(法・1年)と共に主力として活躍し、小柄ながらその類い稀な打撃技術とスピードはプロからも注目されている逸材である。「足の速さ、肩の強さはチームでもトップクラスだと思った」と、初めて星選手を見た時の印象を語った野球部の片岡昭吾監督(2000年・経済卒)。練習やオープン戦で躍動する星選手の守備力と走力を評価し、春季リーグのベンチ入りメンバーに抜擢すると、「攻撃面でもチームのために状況に応じた打撃ができる」として、青山学院大との開幕戦スターティングメンバー、9番・レフトでの起用を決断した。そして、その期待に応えるように、星選手は初戦から攻守で光るプレーを見せた。

チームのためにできることを第一に。

─ 新人賞受賞おめでとうございます。
ありがとうございます。新人賞を受賞することができて、とてもうれしく思っています。

「自分のすべてを出し切ろうと、全力を尽くしてやっていました」と話す星選手。

「自分のすべてを出し切ろうと、全力を尽くしてやっていました」と話す星選手。

─ 初めての大学でのリーグ戦の感想は?
後半は入替戦にまわることになるかもしれないという中で戦ってきましたが、プレーオフで中央大学に2連勝し、1部残留が決定した瞬間は、本当にうれしかったです。そういう厳しい戦いの中で勝ち残れたことは、日本大学野球部にとっても、すごく自信につながったかなと思います。

 

─ リーグ戦のベンチメンバー入りを聞いた時はどう思いましたか?
ミーティングの時に発表されたのですが、まさか自分が入れるとは思っていなかったのでとても驚きました。日大三高の同期の齋藤(広空)選手も選ばれたのですが、これまで互いに切磋琢磨してきたライバルの存在は自分の力にもなりましたし、2人揃ってメンバー入りして一緒に戦うことができたことを、すごく誇りに思います。

─ 開幕スタメンでいきなり2安打、守備でも好プレーがありましたが、緊張はしなかったのですか?
緊張というよりは、楽しみの方が大きかったかなと思います。とにかく場面に応じた打撃ができるように、自分がチームのためにどういう仕事をしたらいいのかということを考えて打席に立っていました。

リーグ戦第2週、3回戦までもつれこんだ駒澤大学との試合で、星選手は鮮烈な神宮球場デビューを飾った。打順が2番に上がった1回戦で3安打を放つと、2回戦1安打、そして1番に入った3回戦では何と4安打を放ち周囲を驚かせた。3試合で14打数8安打と打ちまくった星選手だが、そのすべてがシングルヒットであり、その多くがコースに逆らわずに打ち返したクリーンヒットだった。

─ 駒澤大戦はすごかったですね。シュアな打撃がとても目を引きました。
そうですね、調子は良かったです。元々ミート力には自信を持っていましたが、僕は体も小さいですし、金属バットから木製バットに代わったということも関係しますが、ホームランを狙うより小さいヒットを重ねていって、チームのためにどうできるかを考えながら今までやってきたので、ああいう打撃はすごく自分の中の理想だと思います。打順についてはあまり考えたことはありませんが、トップバッターになってからはチームのためにという考えでずっとやっていました。そして打席の中では、自分の打撃ができるように、しっかりフルスイングしていくのを心掛けてやっています。来たボールを強く打つっていう考えですね。

「将来はプロでやりたい」と話す星選手の憧れは楽天イーグルスの辰己涼介外野手と茂木栄五郎内野手。「2人のようなプレースタイルを目指してやっていきたいなと思います」

「将来はプロでやりたい」と話す星選手の憧れは楽天イーグルスの辰己涼介外野手と茂木栄五郎内野手。「2人のようなプレースタイルを目指してやっていきたいなと思います」

─ 大学の投手のレベルの違いは感じましたか?
直球の威力も上がりましたし、落ちるボールや小さい変化球など、本当に高校野球とは全然違うなって感じていたので、とりあえず芯に当てる、芯で捉えるっていうことを意識してやっていました。

─ 何か高校時代と変えたりはしたのですか?
オープン戦の頃、左投手が出て来た時には全然打てなくて…。その時に片岡監督に「目線を変えてみろ」って言われたので、それでオープンスタンスに変えて視野を広くしてやってみたら感覚が良くて、調子が上がるようになりました。そこからオープンスタンスにしています。リーグ戦で結果が出せているので、自分のものになったかなと思います。

第3週の國學院大戦以降も、トップバッターに定着してコンスタントにヒットを重ね、最終的にはリーグ5位タイの14安打で打率.294(リーグ16位)を記録。「攻守共にチームの要となった。特に1番打者として打線を牽引してくれた」と、1年生ながらの活躍を片岡監督も高く評価する。

─ リーグ戦、プレーオフと戦って、個人の成績としては満足していますか?
そうですね。1年生から出させていただいて、良い経験もしましたし、悔しい思いもしました。これからは同級生たちもどんどん試合に出てくるようになると思うので、リーグ戦で経験したことなどをみんなに伝えて、日本大学をもっと強いチームにしていけるようにやっていきたいと思っています。

─ レギュラーになったことで、気持ち的な変化はありましたか?
はい、責任感というのがすごく変わりました。最初の頃は「まだ1年生だから思いきっていこうか」と、結構楽な気持ちでやっていたんですが、レギュラーに定着してからは、もっと自分がやらないと、って思うようになりましたね。頼れる先輩方ばかりなので、わからないことはどんどん自分から聞きますし、先輩からもたくさんアドバイスをいただいているので、そういうところはしっかり共有し合ってやっています。

リーグ戦通算100安打&大学日本一を目指す。

 星 憂芽選手

星 憂芽選手

─ 秋季リーグ戦に向けて、これから強化したいと考えているところは?
春はシングルヒットしか打てなかったという部分で、さらに打撃技術を磨き、体を大きくして長打力をつけるという点を心がけていきたいなと思います。ウェイトトレーニングだったり食トレだったりを、自分で意識してやっていこうと考えています。

─ 大学4年間での目標を聞かせてください。
個人としては、4年間で100安打を打ちたいと思っています。チームとしては、大学選手権など全国大会に出て優勝し、日本一になることを目標にしています。また、センターの中尾(勇介・法・4年)さんはいつも1球1球、守備位置のことなど声をかけてくれるので、自分もそういうことができるような先輩になれるよう成長していきたいと思っています。

「ポジティブ精神」という言葉をいつも心の中に持っているという星選手に、「走・攻・守すべてでレベルアップし、不動のレギュラーとして日本大学野球部を引っ張る存在になってほしい」と、片岡監督も大きな期待を寄せる。チームを日本一に導き、真の神宮の“スター”となる日を、みんな待ち望んでいる。

Profile

星 憂芽[ほし・ゆうが]

法学部1年。
2003年生まれ。栃木県出身。日大三高卒。右投左打。小学生から野球を始め、6年生の時に投手として東京ヤクルトスワローズジュニアに選出。中学時代は小山ボーイズで3度の全国準優勝に貢献し、世界少年野球大会の日本代表に選出される。日大三高では1年生からベンチ入りして活躍。’22年の東都大学野球春季リーグでは48打数14安打の.294(リーグ16位)、打点3、盗塁1を記録し、新人賞を受賞。遠投100m超の強肩で50m走5.6秒と攻守走が揃った俊足巧打の外野手として今後が期待される。

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