パワーとスピードをつけて、大舞台で勝負したい

競泳 小堀 倭加

中学3年までは背泳ぎをやっていたが、高校に入り指導者の勧めで自由形に転向。持ち前の持久力が活かせる長距離をメインにすると、1年生でインターハイ400m・800m自由形の2冠を獲得し、2年生で出た日本選手権では出場全種目で表彰台に立った。しかし、初の日本代表として臨んだ世界ジュニア水泳選手権は、400mで高校新、800mで自己ベストを出したものの、メダルには届かなかった。

「初めての海外での試合でしたが、外国人選手は出だしのスピードが日本人選手とは全然違いました。それについて行こうとしたら、後半は自分の泳ぎができなくなった。世界との差を強く感じました」

それでも3年生になった昨年は念願のシニア日本代表に選ばれ、8月のパンパシフィック選手権に出場。さらに同月のアジア大会(ジャカルタ)では800mと1500mで銅メダルを獲得した。

「世界で戦う上では、まだ全体的にパワーが足りないと感じています。レース前半から海外の選手についていくスピードを生み出すパワーが必要なので、上半身・下半身にもっと筋力を付けたいですね。日大には流水プールやトレーニングルームなどの施設が揃っているので、それらを上手く使って練習していけば力になると思いますし、スポーツ科学部の授業で他の競技の選手の話を聞いたり、意見を言い合うことができるので、別の面からも競技力向上につなげていきたいと思っています」

4月に行われた日本選手権は、世界選手権(7月・光州)の代表選考会も兼ねていたが、自由形4種目に出場した小堀選手は、1500mを自己ベストで優勝したものの、派遣標準記録を突破できなかった。

「決勝の前は、周りに流されず自分のペースでレースをしようと考えていました。ただ、派遣標準を目指すとなると、国内では断トツ1番にならないといけないと思っていたので、800mは納得いくレースにならなかった(2位)ですし、1500mは優勝できたのは良かったけれどタイムはまだまだ。泳いでいて初日の予選に比べて良かったし、水に乗れている感覚があったので、自己ベストは出るかなと思っていましたが、派遣標準記録にはちょっと遅いかなという感じでしたね」

次の舞台は7月のユニバーシアード(ナポリ)だが、その先にある東京五輪もしっかりと視野に入れている。

「今は800mより1500mの方が上手く泳げるのかなと思うので、東京五輪は1500mで狙っていきたい。まずはユニバーシアードに向けてしっかり強化して、派遣標準記録を切ること。それができればオリンピックにも近づけると思っています」

さらに、チーム日大としてのインカレ優勝にも意欲を見せる。

「先輩たちに負けないよう、私たちの代が引っ張るぐらいの気持ちで行けば、総合優勝も目指せると思います」

力強い言葉で話す小堀選手や吉田選手らの活躍に期待しよう。

Profile

小堀 倭加[こぼり・わか]

2000年生まれ。奈良県出身。湘南工科大附属高卒。
小学3年生から本格的に水泳に取り組み、中学2年時には背泳ぎ200mで全国2位となり、東京五輪の強化選手に選ばれる。高校進学後、自由形に転向して長距離に専念。2016年、1年生でインターハイの400m・800mで優勝。2年生で出場した日本選手権は400mと1500mで2位、800mで3位に入る。日本代表に選出された昨年、東京パンパシフィック選手権の400mと1500mで高校新を出し、続くジャカルタ・アジア大会でも自己ベストを更新して800mと1500mで銅メダルを獲得。今年の日本選手権は800mで2位だったが、2年連続2位だった1500mでシニア大会初優勝を飾った。憧れの選手は、リオ五輪で5個の金メダルを獲得したケイティ・レデッキー選手(アメリカ)。

東京五輪でメダルを獲れるスイマーに

競泳 吉田 啓祐

吉田 啓祐

2018年11月、日本のトップスイマーが集う北島康介杯で、その名を轟かせた。当時高校生ながら、得意とする400m自由形で日本記録保持者の萩野公介選手を抑えて勝利し、200m自由形でも優勝を飾ったのだ。日大豊山高校で大きな飛躍を遂げた吉田選手は、さらなるレベルアップを目指している。

「日大は高校時代には無かった長水路プールや流水プールなどが備わっているし、寮から大学の距離も近く、恵まれた環境だと思います。ここでしっかり結果を残し、付属校時代からお世話になっていた上野先生に恩返しをしたい気持ちがあります。大学にはチームメートもたくさんいて、お互いに高め合える良い関係を築けているので、一緒に日大を盛り上げていきたいです

日本人スイマーとしては恵まれた体格を誇るが、昨年10月のユース五輪(ブエノスアイレス)に出場するなど、外国人選手の泳ぎを間近に感じたことで、より一層大きな泳ぎを追求している。

「理想とするのは、海外選手のように周りから見てラクに泳いでいるようなゆったりした泳ぎ。自分の持ち味でもあると思うのですが、キツい練習の中でも理想の泳ぎを忘れずに取り組んでいます。苦手なターンの動作なども細かいところまで意識しています」

今年4月の日本選手権400m自由形では、リオデジャネイロ五輪フリーリレーのメダリスト、江原騎士選手(自衛隊体育学校)をラスト50mで追い上げて逆転し、自己ベストの記録で初優勝を飾る。しかし、7月の世界選手権の派遣標準記録に届かず、出場を決めることができなかった。

「日本選手権は本当に収穫が大きかった試合だと思います。400mで優勝できたことは経験として良かったのですが、江原選手は怪我をしていた影響もあり、ベストから2秒ほど遅いタイム。自分は自己ベストを出して、たまたま優勝できただけです。この大会での目標は世界選手権の代表に選ばれることだったので、勝った喜びよりも悔しさの方が大きいです。最終選考会となる5月のジャパンオープンには200mと800mに出場予定なので、ここで代表入りを決めたいです」

シニアの大会で着実に結果を残し続け、東京五輪出場も射程圏内。自身の性格をネガティブと評する一方、目立ちたがり屋な一面を持つ吉田選手は、これからの意気込みについて語気を強めた。

「東京五輪はまだ出場が決まったわけではないのですが、オリンピックを狙える位置までやっとたどり着いたという感じですね。ここから死ぬ気で頑張って日本代表を勝ち取りたいと思います。そして、メダルを獲って有名になりたいです!」

Profile

吉田 啓祐[よしだ・けいすけ]

2000年生まれ。佐賀県出身。日本大学豊山高校卒。
小学生の時に姉の影響で水泳を始め、学童記録を更新するなど頭角を現す。中学時代に一時競技から離れたこともあったが、日大豊山高校へ入学し競技を続ける。2018年のインターハイは200m自由形で優勝、400m自由形は前年に続き2連覇を飾り、ユース五輪(ブエノスアイレス)の代表入りを果たす(400m3位、800m2位)。11月の北島康介杯で200m・400m自由形を制して一躍注目を浴びる。2019年、コナミオープン400m優勝に続き、4月の日本選手権400m自由形で優勝、200mと800mでは2位に入るなど、出場全種目で表彰台に上がり、7月のユニバーシアード(ナポリ)代表に選出。さらに、同月に行われる世界選手権のフリーリレーメンバーにも選出。次代を担う中長距離スイマーとして期待が高まっている。

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