高3の夏、コロナ禍の影響でインターハイが中止になっていなければ、まだ選手を続けていたかもしれない。だが、将来は両親が経営するスイミングクラブで指導者として後進を育てたいという思いを知っていた監督に勧められ、日本大学水泳部にマネージャーとして入部することを決めた。
そこで出会ったのは、子どもの頃に選手として憧れていたコーチや、テレビでその顔を見知っていたトップ選手たち。「当初はとても緊張していましたが、皆さん優しくて、気軽に話しかけてくれました」と振り返り、彼らをサポートする喜びと責任を実感してきた。
「選手を続けていたら、きっと経験できなかっただろうことも経験でき、マネージャーになって良かったと思えることも多いです。自分では、日本一いろんな経験をしているマネージャーだと思っています(笑)」

これまでは「応援される選手になる」ということを念頭に努力してきたが、マネージャーとなった今は、「誰からも応援されるチームを作る」という思いで、100名余の部員たちをまとめていく。もちろん、自分一人でどうにかなるわけではない。「みんなで作り上げるチームだと思うので、いかに全員にそこを理解させ、行動させるか」というのが大事だと言うが、「“水泳部のために”ということを選手たちに“考えさせる”というのが難しいです」。それでも「いろいろ悩みながらですが、応援されるチーム・人間になるという、自分の中の芯はブレないように、4年間継続してやっています」と、自信を見せる。
「マネージャーの仕事は記録に残るわけではありませんが、1/100秒でもベストを出したり、水球で1点でも多く獲って勝ち、笑顔で帰って来てくれたら、それが自分の喜びです。泣いて終わってほしくないし、笑顔で『やり切りました』という一言をもらえれば、やってきて良かったなと思います」と話す髙木マネージャー。これからも常に学び続けていきたいと言い、「自分が育てた選手を、日本大学で活躍させられるような指導者になりたい」と夢を語った。
(2024年6月取材)
総務としてOB・OGなど大人と関わる機会が多くあり、さまざまな話を聞く中で「自分に必要なことや気づくところが多々あった」という髙木マネージャー。「目の前ばかり見ていては成長できないと思うので、何か水泳部のためになることがあればと思って、とにかくいろんな方の話を聞き、良いものは採り入れていこうというのを実践しています」
Profile
髙木 琉唯 [たかぎ・るい]
2001年生まれ。愛知県出身。静岡・飛龍高卒。’19年インターハイ静岡県大会でチームの総合優勝に貢献。その後の新チームからは選手兼任マネージャーとして活躍。本学にはマネージャーとして入部し、3年次から総務の役職を務める。