日大1年生時にロンドン五輪に出場し、その後も日本のトップスイマーとして活躍してきた小堀勇氣選手。
その1年後輩で小堀選手の背中を追い、世界の舞台へと飛び出していった寺村美穂選手。
この夏トビウオジャパンの一員として、リオへ向かう二人に、オリンピックにかける意気込みを聞いた。
―オリンピック出場おめでとうございます。
寺村 ありがとうございます。小堀さんが先に決めたんですが、決勝レースはちょうど私がウォームアップしている時で、サブプールから緊張しながら見ていました。代表入りが決まった時は嬉しくて泣きそうになりましたね。
小堀 彼女はやる時はやるコなので、きっと勝つと信じていました。試合前に調子を聞いたら「すごくいい」と答えていたし、言葉通り優勝したので、さすがだなと。この4年間はずっと一緒にオリンピックに行けたらいいな、と話してきたので、実現できてよかったです。
―お互いの存在がいい刺激になったのでは?
寺村 そうですね。小堀さんはロンドン五輪にも出場しているし、普段からしっかりしていて真面目なので、ずっと尊敬していました(笑)。
小堀 尊敬されている感じはまったくないですけどね(笑)。彼女はこんな感じでいつも明るいんですけど、ケガをして泳げない時もあったし、焦る気持ちもあったと思うんです。でもそれを表に出さず、前向きにずっと頑張ってきたところは、本当に尊敬できます。
―お二人にとってオリンピックとは?
小堀 自分の一番目標としているところで、自分のすべてを懸けているもの。そこに向けてほかのことを犠牲にしてやってきましたから。
寺村 私も昔からずっとオリンピックを目指してやってきました。膝の手術をしたのもオリンピックという目標があったから。そうでなかったらとっくに競技をやめていたと思います。
小堀 ロンドンの時に感じたのですが、オリンピックの雰囲気は本当に特別なんです。いたるところに五輪マークがあったり、割れるような大歓声だったり。あの舞台にまた立てると思うとワクワクします。
寺村 私は初めてなのでどんな感じなのか、いまから本当に楽しみ。そういうところで泳げる幸せを感じながら、泳いできたいと思います。
―オリンピックでの目標は?
小堀 出場する800mリレーでメダルを取ること。それも本気で金メダルを狙おうと4人で話しています。萩野(公介)選手が出てきて、自由形でも世界と戦えることを証明してくれた。日本選手権の200m自由形は最激戦区といわれる戦いだったので、それを勝ち上がった4人は史上最強だと思っていますし、本番でも力を出せるメンバーだと思います。
寺村 日本選手権では優勝したんですけど、日本記録の更新はできませんでした。日本新を出せればメダルにも手が届くレベルなので、これから強化して日本新とメダルの両方を目指そうと思います。150mまでのスピードは自信もついてきたので、あとは最後50mを粘れるように、自由形の泳ぎに磨きをかけたいです。
―お互いにエールの交換を。
寺村 本当に水泳一筋でやってきている小堀さんは、心配ないっていうか、小堀さんなら大丈夫だなって見ていられるので、必ず結果を出してくれるだろうって信じています。
小堀 彼女は4年前に記録が少し足りずにロンドン五輪出場を逃しました。膝の手術をして泳げなかった時期もありますし、他の人の何倍も悔しい思いをしてきたと思うんです。その分今回の出場は何倍も嬉しいはず。リオではその喜びをぶつけて、全力で楽しんでほしい。一緒にメダルを持って日本に帰って来られるように、互いに頑張りましょう。
Profile
寺村 美穂(てらむら・みほ)
1994年生まれ。千葉県出身。千葉商大付属高校卒。文理学部心理学科4年。中学、高校と200m個人メドレーで全国優勝を経験。2012年のロンドン五輪選考会では2位になりながら派遣標準記録に0.53秒足りず出場できなかった。日大での練習が実り、今春の日本選手権200m個人メドレーで優勝。リオ五輪出場を決めた。
小堀 勇氣(こぼり・ゆうき)
1993年生まれ。石川県出身。金沢高校卒。法学部政治経済学科卒。ミズノ所属。中学時代から“北陸の怪童と”呼ばれ、数々の大会で優勝。高校2年時の2010年、800mリレーで初の代表入り。日大1年の2012年に800mリレーでロンドン五輪出場。リオ五輪でも800mリレーのメンバーに選ばれ、金メダル獲得の期待が寄せられている。