昨年6月の世界ジュニア選手権470級で木村選手のペアが日本人初の金メダルという快挙。
また12月のワールドカップ最終戦470級では、髙山選手のペアが銀メダルを獲得。
東京オリンピックに向けて弾みをつける、チームメイトでありライバルでもある2人の活躍。
世界の頂点はもう、海の彼方ではない。

髙山選手(左)、木村選手(右)

髙山選手(左)、木村選手(右)

―― 日大のヨット部に入部した理由は?

木村 僕の兄と姉が日大のヨット部だったので、その影響ですね。2人とも全国では勝てなかったので、それを僕が果たしたいという思いで入りました。

髙山 僕は、いろんな大学を見てきた中で、練習風景やレースの雰囲気が良く、合宿所などの施設も他の大学より充実していて、ヨットをするためにいい環境だと思ったので日大を選びました。

木村 あとは渡邉監督ですね。監督は指導力がすごく高くて、みんなからの人望が厚く、そういう方に育ててもらわないと、自分自身も大きくなれない。日本だけじゃなく、世界に羽ばたきたいと思っていたので、ならば渡邉監督の下でお世話になろうと思いました。

髙山 大学の部活ではふつう、監督と選手がしゃべる機会があまりないと思うんですが、渡邉監督は普段から話せるって聞いて…。競技をやっていく上で、監督と選手がちゃんと意思疎通できるところに魅力を感じました。

木村 渡邉監督は雰囲気を最も大切にしていて、選手が試合や大会の雰囲気に吞まれていないかどうかを判断する確かな目を持っています。選手起用が厳しいのは確かですが、その日その時に適した選手を選んで頂いていると思うので、監督の判断は信頼しています。

―― 昨年のジュニア世界選手権では木村選手のペアが金メダル、髙山選手のペアが銅メダルを獲りました。

髙山 どちらのペアも、日本のトップクラスの選手と組んで、他の海外での試合でいい成績を収めているので、その力があれば良い結果が出ると思っていました。だから、僕らはお互いのことを特別に意識はしていませんでした。

木村 そのジュニアワールドカップの成績によって、髙山と2人で組むようになったんです。

―― 世界の舞台で戦ってきて得たもの、学んだことは?

木村 判断の速さの重要性です。風にしろ、波にしろ、潮にしろ、すべてにおいて判断力の速さと、その判断がその時に適しているか…正確性と言うか、今はまだ学びの段階ですけど、そこを感じています。世界のトップクラスの選手たちと比べれば、やはりまだまだです。

髙山 僕は、試合結果をどう考えるかというところと、プレッシャーの違いです。国内の試合で1番になっても「トップを獲ったな」という満足感で終わりがちですが、海外での試合では、たとえ自分がいい成績を挙げたとしても、その試合にトップクラスの選手が出場していなければ、果たして本当に自分が世界で通用しているのかどうか分かりません。試合を振り返って「まだできるな」とか「これ以上はできないな」と考えたり、いろいろ気づくことがあります。それに、世界のトップレベルの人と競って走るのと、国内でトップを走るのとはだいぶプレッシャーが違うので、そこを経験できるのは大きいですね。

―― 昨日、海外遠征から帰ったばかりですが、その成績についてはどう思っていますか?

木村 まだまだ実力が足りないと感じています。今の自分のレベルの通りの成績(ワールドカップシリーズ・イェール大会15位、470級ヨーロッパ選手権19位)だと思います。

髙山 僕はちょっとでき過ぎかなっていう感じです(同5位、同8位)。でも、これだけできたんだから、次も頑張ろうと思っています。

―― 東京オリンピックに向けてはどう考えていますか?

木村 ヨットの試合は地元(江ノ島)でやるので、応援してくれる人、支援してくれる人もたくさんいますから、頑張ってメダルを獲りたいと思っています。そのために今、海外に出て試合をして…苦戦中なんですけど…オリンピックの選考までにまだ2年半ぐらい時間があるので、長いスパンで考えて月ごとのノルマを自分に課して、どんどんレベルアップしていこうと目標を立てています。

髙山 日本代表になるのは1ペアしかいないので、2019年頃からしっかりと成績を挙げていかないといけないんですが、今年や来年にそこまで成績を求めてしまうと、最後の2019年・20年の時にすごいプレッシャーが掛かってしまうと思います。なので、今は世界の中で自分のレベルがどのくらいかっていうのを把握した上で、基礎練習や時間が掛かる練習を優先してやって、来年はまた違うことをやっていっていこうと思っています。今は他の日本選手が速かったりしても全く気にならず、ただ上手くなりたいという気持ちでいっぱいです。東京オリンピックでの目標は金メダルを獲ることですが、今から熱くなるわけじゃなく、しっかりと自分の課題を見つけて、一歩ずつ近づいていきたいと思っています。

―― その時は2人でペアを組む?

木村 ペアを組んで、チーム日大で勝負してみたいですね!!

―― 今年の目標は?

木村 部としての目標は、全日本インカレの総合優勝です。去年は2種目のうち470級しか優勝できなかったので、先輩ができなかったことを自分たちで成し遂げたいというのが1つ。あとはジュニア世界選手権を2連覇したいですね。

髙山 今年のジュニア世界選手権は直也さんとペアを組むので、一緒に金メダルを獲りに行こうって言っています。

―― お互いのことをどう思っていますか?

木村 大智は素直で努力家。自分とは違うところがたくさんあって、大智から影響されてやっていることもたくさんあります。海外で戦う時もずっと一緒にいるので、いろいろ相談しながら助け合っていきたいですし、お互い切磋琢磨して頑張っていきたいですね。

髙山 まずは先輩なんで、気を遣ったりとかしないといけないんですけど…。

木村 うそつけ(笑)。

髙山 そういう意味では渡邉監督と一緒で、フランクでしゃべり掛けやすいし、人とのコミュニケーション能力に長けているので、そういうところを見習いたいです。
最終的には日本選手の中でバチバチって戦うと思うんですけど、今はそういう時期じゃないと思うんで、仲良くお互いのいいところをつかみながら、楽しくやっていこうと思っています。

Profile

木村 直矢[きむら・なおや]

1995年生まれ。法学部4年。茨城県出身。霞ヶ浦高校卒。
1年時からレギュラーとして活躍。2016年、高山選手とのペアで470級ヨーロッパ選手権出場の後、岡田奎樹選手(早稲田大学)とのペアで470級ジュニア世界選手権に優勝、日本人初の金メダルを獲得した。今年のジュニア世界選手権は再び高山選手とペアを組み、“チーム日大”として2連覇を目指す。

髙山 大智[たかやま・だいち]

1998年生まれ。スポーツ科学部2年。大分県出身。和歌山県立星林高校卒。
2015年の420級世界選手権で優勝。2016年、470級ジュニア世界選手権は高柳彬選手(日本経済大)とのペアで銅メダル、12月のセーリングワールドカップ最終戦では今村公彦選手とのペアで銀メダルを獲得。今年のジュニア世界選手権は木村選手とのペアで連続メダル獲得に挑む。

アスリートインタビュー一覧へ