69kg級の近内選手と105kg超級の村上選手。
ここ2年の世界ジュニア選手権や全日本選手権でめざましい活躍を見せてきた同期の2人は、2020年の東京五輪を十分に狙える位置にいる。夢はそこでのメダル、そしてもうひとつは…。
69kg級の近内選手
―― ウエイトリフティングの魅力はどんなところ?
村上 試合で自己記録を1kgでも更新したときの喜びですね。それにウエイトって試合に出ると自分1人だけがステージで一斉に注目される、それが気持ちいいですね。対人競技は人を倒さないと自分の実力がわからないけれど、ウエイトは記録で自分の成長を実感できる。そこが面白いなと思います。
―― 試合で勝つために必要なことは何ですか?
近内 やっぱりスピード。自分はバネで挙げる感じなので、そこの思い切りの良さに自信をつける練習をやっています。自分は気持ちで試合をするタイプなので、どれだけ気持ちをそこに持っていけるかってところもポイントですね。
村上 毎日の積み重ねです。毎日少しずつ練習して、徐々に力をつけていくこと。自分は脚力に自信があるので、スクワットを中心に下半身メインで練習メニューを組んで、長所を伸ばしていくやり方です。
―― 世界ジュニア選手権など海外選手と戦って、世界との差を感じたりしましたか?
近内 スピードがまだまだ。自分も結構速いほうだと思っていたんですけど、全然違いますね。パワータイプの選手にパワーで勝とうとは思わないし、そこをスピードで補って勝てればいいと思います。
村上 自分はパワーの部分で、ジュニアのレベルでも海外の選手はすごいなと思いました。世界と比べると、自分はまだまだ弱いなと感じましたし、地道な筋トレでパワーを付けることが必要だと思っています。
105kg超級の村上選手
―― スナッチとクリーン&ジャーク、得意なのは?
近内 ジャークが結構好きなんですよ。スナッチは調子いいときもありますが、すぐ迷走してしまいます。
村上 自分は最近、スナッチが得意ですね。一発で持ち上げるスナッチの方が楽しいです。ジャークは結構きつくて、立ち上がりとか苦しいので。
―― お互いのことをどう思われますか?
近内 競技に対してとても真面目。研究するタイプなので、他の部員にもフォームを教えたりしてますね。村上が調子良かったら、自分も負けてられないってなるので、階級は違いますがいいライバルです。
村上 ウエイトの才能が近内にはあるんだと思います。陸上をやっていたので、身体能力がずば抜けてますね。主将としても部をよくまとめています。
―― 試合や練習に臨むにあたり大事にしていることは?
近内 「昨日より今日」という感じですね。練習でもさっきのセットより今のセットを大事に、どんどん良くしようと考えていて、周りから見たら全く分からないような変化を自分で付けてやっています。
村上 リオ五輪に出場した糸数先輩(糸数陽一:2013年卒)や、持田先輩(持田龍之輔:2017年卒)に憧れていて、記録はもちろんのことウエイトに対する姿勢や情熱などは見倣いたいと思っています。
―― 東京五輪についてはどう思いますか?
近内 地元の人に「オリンピック行けよ」って言われると、以前は「ちょっと厳しい」って答えてましたが、今はなんとしてでも出場したいと思っています。金メダルがいいですけど、謙虚に言えばメダルを獲りたいですね。日本人はまだ、技術力も世界に追い付いてないですし。
村上 東京でオリンピックがあるのは奇跡だと思うので、是非とも出たい。地元の人がいつも応援してくれているので、できれば地元の所属で出場して恩返しをしたい。メダルを獲るってなかなか言えないですが…やっぱり獲りたいです。
近内 メダルもそうですが、階級を今の69kg級から77kgに上げて、ジャークで200kgを挙げるというのがもう1つの目標です。そうすればメダルも狙えますね。
村上 自分はスナッチで200kgを越したいですね。日本人でまだスナッチ200kgを挙げた人がいないし、できればすごいなぁと。結果的にメダルが獲れるかもしれないですけど、むしろメダルより記録です(笑)。
Profile
近内 三孝[こんない・みつのり]
1995年生まれ。文理学部4年。福島県出身。福島県立田村高校卒。
2016年、69kg級世界ジュニア選手権大会で銀メダルを獲得。続くアジアジュニア選手権でもジュニア新記録となるジャーク172kgを挙げて準優勝。全日本大学対抗選手権は77kg級で出場して2位となり、日大の団体優勝に貢献した。今年は4月の全日本学生個人選手権でスナッチとトータルでそれぞれ大会新記録を出して見事に優勝を飾った。
村上 英士朗[むらかみ・えいしろう]
1995年生まれ。文理学部4年。富山県出身。富山県立滑川高校卒。
105kg超級。2015年は世界ジュニア選手権大会で銅メダルを獲得、東日本大学対抗選手権はジャークで大学日本新記録を出して個人優勝。2016年の全日本選手権はトータルで大学新を記録するも、わずか1kgの差で2位となる。2017年の全日本学生個人選手権はスナッチで大学新、トータルでも自身の持つ大学記録を塗り替えて優勝を果たす。