全日本大学王座 5連覇を目指して

昨年12月、第71回全日本大学ボクシング王座決定戦において、関西リーグの覇者・芦屋大学と対戦した本学は8勝3敗で勝利を収め、見事に大会4連覇となる28度目の優勝を飾った。
そして今年も、昨年の出場メンバー8名が残ったのに加え、期待の大型新人らも加わり、布陣はまさに盤石。
鈴木稔弘主将を中心に一致団結したボクシング部員52名、関東リーグおよび全日本王座の5連覇へ向けての戦いは、もう始まっている。

全日本ウェルター級1位 
主将 鈴木 稔弘(生物資源科学部4年)

全日本ウェルター級1位 主将 鈴木 稔弘(生物資源科学部4年)

―― 鈴木選手、主将に指名された時はどんな気持ちでしたか?

鈴木 去年の坪井(智也)主将が凄い方だったので、そこに追いつくのは難しいかもしれませんが、5連覇が掛かる年にキャプテンになったということで、今まで以上に強い気持ちを持ってやらなければという、使命感が湧いてきました。

―― 大所帯のボクシング部で、個性的な選手たちをまとめるのは大変では?

鈴木 これまで共に合宿生活をして切磋琢磨してきた同期や後輩たちですし、みんな自覚を持って頑張っているので、部をまとめるという点での苦労はありません。4年生がそれぞれの役割を責任を持ってやってくれているので、気を遣わずにできています。下級生たちも、言われたことは素直に聞いて行動してくれるので、特に困ったことも注意することなどもないですね。

 

―― 荒本選手、日大を選んだ理由は何ですか?

荒本 関東リーグ4連覇をしているというボクシングの強さと、精神面や社会に出てからのことなどもちゃんと学べる環境だというところですね。ボクシングだけではなく、人間性や礼儀などもこの4年間で身につけていきたいと思います。

 

―― 高校ボクシングとの違いや、これからやっていかなければと思うことは?

荒本 はい、体の強さなどフィジカル面が大学生や社会人の方はだいぶ違っていて、簡単には押せないというところはありました。また1ラウンドの時間が3分(高校ボクシングは2分)になったことで、もう少し足をしっかり動かさないと最後に追い詰められてしまうので、足の動き方などを改善していきたいと思っています。

あとは大学では寮生活になって、1日中ボクシング漬けのいい環境になったと思いますが、それは自分自身との戦いでもあって、もっと強くなるためには自分がよりストイックにならないといけないと考えています。

―― ボクシングを始めたきっかけは?

鈴木 小学校4年生の頃にすごく太ってしまい、ダイエットのために水泳や空手をやりましたが長続きしませんでした。それで家の近所にあったボクシングジムに通い始めました。最初のうちは試合で負けてばかりで悔しかったんですが、勝った時にとても楽しく思えて…そのままずっと続けてこれました。

荒本 僕も小学生の頃に最初は空手を習っていて、パンチの強化の一環としてボクシングを始めましたが、こちらの方が面白くなったという感じです。

全日本ウェルター級2位 
荒本 一成(文理学部1年)

全日本ウェルター級2位 荒本 一成(文理学部1年)

―― ボクシングの魅力は何でしょうか?

鈴木 やはり勝った時の喜びです。つらい練習を頑張ってきて、それがやっと実を結んだというところが何よりうれしいですね。

荒本 僕も同じですが、試合が終わってから相手と健闘をたたえ合って、そこからまた人間関係ができてこれからにつながっていくというのも、ボクシングの魅力だと思います。

―― 得意なパンチや強みは?

鈴木 あまり得意なパンチというのはないのですが、どちらかと言えばストレート系が武器ですかね。強みと言えるかわかりませんが、結構相手の選手のビデオを観て研究しています。自分の対戦相手以外にもライトフライ級からミドル級まで、全般的にいろんな選手を観ます。

荒本 僕は左フックなど左系のパンチが得意です。あとは相手に当てさせないように、自分の距離をしっかり取ることを心掛けています。

―― 海外の選手との試合は?

荒本 海外の選手は日本人の戦い方とは違う戦い方をしますし、相手の方がかなり強ければ、自分のボクシングをさせてくれないので…。そういうところは本当に勉強になります。

―― 二人とも同じウェルター級なので、ある意味ライバルでもあるわけですが…。

鈴木 そうですね。荒本は僕よりも体が全然大きいのでやりづらいし強いですね、すごく。昨年、高校生の時に1度ここへ来た時に実戦練習をやりましたが、その時も強いなと感じました。高校生としてはずば抜けていたので、試合で戦ったら苦労するなと。ライバルだという思いはあります。

荒本 朝練とかで実戦してもらいますが、かなり速くて強いパンチで押されます。本当に強いと思います。

―― いつかどこかの試合の決勝で対戦するかもしれませんね?

荒本 僕はまだ考えたことはありません。

鈴木 たぶん、いずれはやることになるんじゃないかなというのはあります。その時は先輩後輩ではなく、1人の強い相手として勝てるように頑張りたいです。

―― 梅下監督はどういう方ですか?

鈴木 練習の時はもちろんですが、生活面でもちょっとだらけていると「しっかりしろ!」って厳しく言われますが、とても愛情がある方です。たまに一緒に食事とかもさせて頂きますが、すごい優しいというか…目上の方に対して失礼ですけど「かわいいな」と感じる部分もあります(笑)。

荒本 練習する環境だったり、礼儀だったり、学校の予定だったり、自分がまだしっかりできないところを指導し、支えて頂いています。

―― 今年は全日本5連覇が掛かりますが、その使命感のようなプレッシャーなどはありますか?

鈴木 今は特にプレッシャーなどはありません。去年の4連覇でも、練習の厳しさはありますが、合宿生活で培ってきた団結力が力になったのだと思います。今年も個々としてはみんなすごく強いですし、僕もみんなに期待しているので、普通にやれば5連覇はできるかなと思っています。

荒本 僕もメンバーに入って力になりたいです。とりあえず勝つことしかできないので、自分が1勝でも多く勝って、チームに貢献したいと思います。

―― 2020年の東京オリンピックは目標ですか?

鈴木 はい、是非出場してメダルを獲りたいです。そのためには基礎をもっと固めていきたいと考えています。オリンピックまであと2年しかないので、毎日ハードに練習しています。

荒本 そうですね、もう2年しかないという感じです。3分3ラウンド、しっかり戦えるスタミナをつけ、足腰の強化を頑張っていこうと思います。

関東大学リーグ戦試合結果
リーグ戦5試合全勝で5連覇達成!

5月に開幕した第71回関東⼤学ボクシングリーグ戦。本学は初戦の中央大戦(7対2)から第2週目・東農大戦(6対3)、第3週目・駒沢大戦(6対3)と順調に白星を積み重ね、全勝同士の対決となった第4週目の拓殖大戦も6対3で制し、優勝に王手を掛けました。

 

そして迎えた7月14日(土)の第5週目、昨季2位の東洋大と対戦は6試合を終えて3対3と互角の展開。しかし、ライトウェルター級で登場した鈴木主将が5対0の判定で圧勝してリードを奪うと、リーグ戦2度目の出場となったウェルター級の荒本選手も相手4年生を下し、この時点で本学の勝利が決定。最後もミドル級・石灘隆哉選手(スポーツ科学部・2年)が完勝して有終の美を飾り、リーグ戦5試合に全勝して見事に5連覇を達成しました。また表彰式では、リーグ戦5試合で無敗だった鈴木稔主将が技能賞を受賞しました。

 

この結果、本学は12月に行われる全日本大学ボクシング王座決定戦へ出場し、関西学生リーグで21年ぶりの優勝を飾った古豪・近畿大学と大学王座5連覇を賭けて対戦することになりました。

Profile

鈴木 稔弘[すずき・としひろ]

生物資源科学部4年。1996年生まれ。東京都出身。駿台学園高校卒。
2016年度全日本ジュニア・ウェルター級チャンピオン、2017年度全日本ウェルター級1位。高校3年時、2014年に開催された南京ユース五輪に日本代表として出場し、ライトウェルター級で銀メダルを獲得。2016年の全日本選手権はウェルター級準優勝。日大では1年生の時から大学王座決定戦にウェルター級で出場し、連覇に貢献してきた。

荒本 一成[あらもと・いっせい]

文理学部1年。1999年生まれ。奈良県出身。王寺工業高校卒。
2017年度全日本ウェルター級2位、同ジュニアチャンピオン。小学1年の時、大阪帝拳ジムでボクシングを始める。高校3年間でインターハイ・国体・高校選抜大会のタイトルを総なめして、史上初の高校8冠を達成。今年3月の東京オリンピック記念山根カップ争奪戦では全日本選手権覇者を破って優勝。日本ボクシング連盟表彰の技能賞を受賞した。5月にはコンスタンチン コロトコフ国際トーナメント大会(ロシア)へ日本代表として派遣された。

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