5月20、21日の2日間、茨城県のサザンヤードカントリークラブ(Par72、6995ヤード)で、2023年度関東大学春季Aブロック対抗戦が行われ、日本大学ゴルフ部が昨年の同大会優勝の東北福祉大を逆転し見事優勝を果たした。また、男子に先だって5月6、7日に栃木県の杉ノ郷カントリークラブ(Par72、6451ヤード)にて行われた関東女子大学春季Aブロック対抗戦においても逆転優勝を飾っており、シーズン初戦を男女アベック優勝とし、全国大会へ向けて弾みをつける結果となった。
年間の目標に「常勝日大」を掲げる日本大学ゴルフ部としては、今年最初の公式団体戦を優勝で飾るべく万全の準備で試合に臨んだ。
この大会は2日間競技で、登録10人の中から各日8人が出場。上位7人のトータルスコアを2日間合計して競われる。現在の関東Aブロックは、日本大学と東北福祉大学の2強状態となっており、お互いが強く意識しながら優勝争いを繰り広げる。
日本大学は登録選手10人のうちに、1年生が3人入るフレッシュな布陣。しかし和田光司監督が「即戦力の1年生が入り、戦力がそろった」と言うように実力は十分だ。しかも春季対抗戦は、夏の全日本全国大学ゴルフ対抗戦に向けての選手選考の場ともなるため、選手たちも気合いが入る。
初日は下馬評通り東北福祉大学との接戦となったが、トータル476ストロークだった東北福祉大学に対し、日本大学は478ストロークと2打差をつけられての2位発進。3位の明治大学には16ストロークの大差をつけているため、やはり2日目も東北福祉大学とのマッチレースとなることが予想された。
和田監督は、初日76と不調でチームワーストスコアとなった1年生の林田直也選手(国際関係学部1年/沖学園)を、あえて2日目にも連続起用。実力を見込んでの巻き返しに期待するとともに、団体戦初出場となる4年生の朴相大選手(国際関係学部4年/札幌日大)を起用して一体感のあるチームを送り出した。
今年の日本大学ゴルフ部はチームワーク抜群。一体感のあるチームだ
前半の9ホールを終えて、日本大学は8人合計279ストロークと、282ストロークだった東北福祉大学を3打リード。「自分が流れを作りたい」とトップバッターを買って出たという隅内雅人選手(国際関係学部1年/水戸啓明)の6アンダー30ストロークが光り、この時点で初日の遅れを逆転する展開となった。
続く後半も大接戦となったが、日本大学は前半のリードを守り切り、7人合計で3打差、2日間合計で1打差の勝利をつかみ取った。
後半、2人のオーバーパーを出してしまった東北福祉大学に対し、日本大学は1人のみと奮闘。その1人も前半に活躍した隅内選手で、トータルでは67の5アンダーと踏みとどまったことは非常に大きかった。
「前半のいい流れを保てず、本来伸ばせるはずの後半インコースで崩してしまったのは悔しい。初日と同じ流れとなってしまったことを反省して、次につなげたい」(隅内選手)と話す隅内選手はまだ1年生。今後の活躍が期待される。
和田光司監督に健闘を称えられる隅内雅人選手
二番手の吉川翔都選手(国際関係学部4年/福井工大福井)は、昨日67と好スコアだったが、2日目は74と伸ばせずに足切りの対象となってしまった。しかし前半39という不調にめげず、「途中から目標スコアを再設定して、集中力を切らずにプレーしようと思った」(吉川選手)と後半2つのバーディを奪う35でプレーした姿勢は立派だった。
三番手の岩井光太選手(国際関係学部1年/埼玉栄)は、3連続バーディで好発進も、8番ホールで不意にシャンクのミスが出たのを引きずり、以後スコアを伸ばせずに苦しんだ。それでもトータル70ストロークとスコアをまとめられたのは「途中で心が折れそうになったが、仲間の応援でがんばれた」(岩井選手)と語るとおり、チームワークの勝利と言えるだろう。
四番手の朴選手が「団体戦初出場の緊張で昨夜は眠れなかったが、応援のおかげでプレッシャーを楽しむことができた」(朴選手)と語り、1アンダーの71ストロークで回れたのも、やはり仲間の力にほかならない。
各選手にチームメイトが数人ずつギャラリーとして帯同し声援を送る
五番手の小林大河選手(国際関係学部2年/西武台千葉)は、2アンダー70の好スコア。しかし「練習ラウンドから急に調子を落として不安だったが、何とか乗り切れた。2回の3パットを防げれば、目標の68が出たはずなので悔しい」(小林選手)と語り、さらに上を目指す姿勢を崩さない。
全員が粘りのプレーで前半の3打のリードを守り抜く
今大会のMVPと言える活躍をしたのが、六番手の出利葉太一郎選手(国際関係学部4年/沖学園)。初日10アンダーのビッグスコアでチームを引っ張り、2日目も65の好スコア。2日間トータルで17アンダーを荒稼ぎした。
「ショットはずっと調子がよかったので、パットが入れば行けると思った。小野英秋コーチから『執念』という言葉をもらって、気持ちでプレーできた結果」(出利葉選手)だと話す。
8番ホールでチップインバーディを決めた後、9、10番と3連続バーディを奪ったシーンは圧巻。2日間のストローク数は127、最優秀選手に選ばれ、勝利の立役者となった。
スコアを1日目に62、2日目を65としトータル127ストロークで最優秀選手となった日本大学・出利葉太一郎選手(国際関係学部4年/沖学園)
七番手の林田選手は、1アンダー71ストロークと、昨日の不調を挽回。
「昨日叩いてしまったので、今日は選手に選ばれると思わなかった。途中、苦しい場面もあったけれど、仲間から『大丈夫!』という声援をもらってがんばれた」(林田選手)と話すが、17番、18番ホールと、グリーンを外しても諦めずにパーをセーブした場面は、チームの勝利に直結するビッグプレーだった。
最後の八番手は、キャプテン杉浦悠太選手(国際関係学部4年/福井工大福井)。
「キャプテンの僕がチームを引っ張りたいと思いながらも調子がイマイチだったので、慎重になって流れに乗れなかった。でも13番ホールのボギーで吹っ切れて、14番、15番、16番ホールで3連続バーディが取れたのがよかった」(杉浦選手)
初日よりもスコアを1打伸ばし69でプレーした杉浦選手は、最終18番ホールで3打目がバンカーに入るピンチを迎えたが、そこからパーをセーブ。キャプテンが最終ホールで「決めれば勝利、外せば引き分け」というパットを沈める劇的な展開だったが、これを決めきったのはまさに4年間の研鑽の成果と言えるだろう。
キャプテンとしてチームをまとめた杉浦悠太選手(写真中央)
終わってみればわずか1打差の逆転勝利。
全選手が「ギャラリーとして帯同してくれたみんなの声援が力になった」と話していたが、メンバー外の選手たちも自分のことのように声援を送り、見事な一体感を醸し出していた。
ゴルフというと個人競技で、団体戦も個人の合計という印象が強いが、日本大学ゴルフ部はワンチームとなってチームワークで団体戦を戦えたことが勝利を呼び込んだ。
日本大学ゴルフ部は、5月6、7日に栃木県の杉ノ郷カントリークラブ(Par72、6451ヤード)にて行われた関東女子大学春季Aブロック対抗戦(6人エントリー、5人出場、上位4名のトータルスコアで順位を争う)においても優勝を飾っている。
女子は初日をトータル282ストロークとし、1打差で東北福祉大を追う展開。2日目は雨とコンディションが悪く出場選手のほとんどがスコアを落とす状況となったが、全員で奮闘。2日目をトータル303ストロークとし、2日間でトータル585ストローク。東北福祉大は2日目をトータル306ストローク、2日間でトータル587ストロークとなり、逆転での優勝となった。
シーズン初戦を男女アベック優勝で飾り、目標どおり「常勝」の第一歩を着実に踏み出した。次は6月に全国大会が控えるが、杉浦キャプテンを中心とした強いチームワークで全勝を目指していきたい。
ホールアウトした選手をみんなで出迎えるシーンにチームの一体感が現れていた
男子に先だち行われた関東女子大学春季Aブロック対抗戦にて優勝した日本大学ゴルフ部女子の団体戦メンバー 【日本大学ゴルフ部】