第78回全日本大学対抗自転車競技選手権大会のロード競技が9月3日(日)に長野県大町市にて行われ、阿部源(スポーツ科学部1年/松山学院)が優勝、2位には北宅柊麻(スポーツ科学部4年/松山学院)が入り日本大学自転車部がワンツーフィッシュを決めた。
 4位に北嶋桂大(文理学部3年/氷見)、5位に鎌田晃輝(スポーツ科学部1年/松山学院)、19位には岡本勝哉(文理学部3年/北桑田)が入り、上位20名以上に与えられる学校対抗得点で35点の大量獲得※し、男子ロード総合で優勝。
 学校対抗総合得点も35点を加え計131点、3年連続で日本大学が総合優勝を果たした。

※得点対象は上位3名

 

 

 先に行われたトラック競技の記事はこちらから

【自転車インカレ】トラック総合で優勝、最高の形でロードにつなげる!4種目で優勝し2つの学連記録が誕生

前週行われたトラックでは4種目で優勝し、学校対抗順位は2位に30点以上の差をつけ首位でロード競技を迎えることになった日本大学自転車部。

ロード競技は各校8名が出走、学校対抗得点は20位以内に入った選手の内、各校上位3名に与えられる。舞台は大町市美麻地区の特設周回コース。1周13.4km、下り基調の平坦と標高差226mのアップダウンがあるこのコースを13周、計174.2kmを選手たちは走ることとなる。
過去のインカレでも使用されてきたコースで数多くの名勝負が行われてきた名コースだ。

日本大学からは4年生で部内の長距離責任者を務める北宅柊麻(スポーツ科学部4年/松山学院)を筆頭に、トラックでも活躍した3年生の岡本勝哉(文理学部3年/北桑田)と北嶋桂大(文理学部3年/氷見)。2年生から昨年のインカレロードを経験している森本凜太郎(文理学部2年/松山学院)と菅野蒼羅(文理学部2年/学法石川)の2人。残る3名は1年生の柚木伸元(文理学部1年/朝明)、阿部源(スポーツ科学部1年/松山学院)、U23全日本王者の鎌田晃輝(スポーツ科学部1年/松山学院)がスタートリストに名を連ねた。

試合は我妻監督が「全選手が注目する選手、ロードも勝ちにいきます」との言葉通り、レース開始から日本大学が積極的なレース展開を見せる。

1周目から逃げが生まれると、すぐさま森本がマーク。その後追走グループが生まれ北宅、北嶋が入ると、森本のいる先頭グループに合流。北宅、北嶋、森本を含む8名の逃げ集団となりレースが進んでいく。
プロトン内では岡本と鎌田を中心に集団をコントロール。追走をつぶしていき、先頭グループとの差を2分以上広げる事に成功。

レース開始から2時間程が経ち、徐々に気温が高くなり選手たちを苦しめていく。
7週目、先頭グループでは1名がドロップし7名の逃げとなると、プロトンからは阿部を含む4名の追走グループが発生。日本大学は阿部を送り込むことに成功したため、これを容認し引き続き岡本らが集団をコントロールしていく。

8周目で追走が先頭に追いつき、北宅、北嶋、森本、阿部を含む11名の集団となるが、プロトンとの差は約1分程、差を広げる為に先頭グループのペースが上がると森本を含む3名がドロップしてしまう。しかしプロトンとの差は再び2分程開いていく。
この周回ではレースをコントロールしていた岡本にトラブルが発生するもバイクを交換しレースを続行する。

9周目に入って残り5周とすると、プロトン内から追走を試みる選手が増えていくが、日本大学にコントロールされた集団を活性化できる大学がなく、追走はあえなくプロトンに吸収される。
11周目、残り3周に入っても先頭グループのペースは落ちることなく進んでいくが、ここで2名がドロップ、先頭は北宅、北嶋、阿部を含む6名に。プロトンでは岡本と鎌田らコントロールし続け先頭グループとの差は2分程を維持。

12周目に入る前の登りで北宅が逃げ続けてきた先頭グループから抜け出すかたちとなり、集団が崩壊しばらばらになるが、北宅が前待ちする形で12周目のうちに北嶋と阿部が追いつき日本大学3名のみで形成された逃げグループとなって13周目、残り1周の鐘が鳴らされる。途中個人で追走を試みる選手がいるものの、先頭とプロトンとの差は依然2分程。この場面で前を追わなければこのまま3名の逃げが決まってしまうところだったが…前を走る3名の逃げが決まったと確信したか、U23全日本王者である鎌田が単独でアタック。これにより一気にプロトンが活性化し、先頭グループとの差を縮めていく。

残り5㎞地点で先頭グループとプロトンとの差は1分。先頭グループのペースが落ちなければギリギリ逃げ切れる状況。そしてじわじわと集団が迫ってくる中、残り1.5kmほどでのタイム差は40秒、ここからゴールまでは全て登り、少しでもペースを落とせば集団に飲み込まれてしまう。残り500m、ここでも日本大学3名のままだが、すぐ後ろには集団が迫る。
集団のペースが早いことから沿道で応援し続けた日本大学の部員、関係者たちから最後の登りで3名に対し「行け!行け!1人でも行け!行け!最後まで頑張れ!」と檄が飛びかう。

そして最終コーナーを曲がった直線、最初に飛び込んできたのは1年生の阿部、すぐ後ろには長距離班を支えてきた北宅。そのまま阿部が両手を掲げゴールラインに飛び込むと、北宅も後ろを気にしつつ2位でゴール。そしてその後ろに居た北嶋が最後の力を降りしきってゴールラインを目指すが、ゴール前で並ばれ最後は3名でのハンドル投げ。その結果3位には京都産業大学・上野選手が入ったものの、4位に北嶋、5位には鎌田が入り、1・2位、4・5位と上位をほぼ独占。集団の最後には、プロトンをコントロールし続けた岡本がチームの勝利を確信し、ガッツポーツしながら19位でゴール。日本大学が1・2位とロード総合優勝を掴みとった。

20位以内に最多となる5名を残した日本大学、積極的に動き、終始レースを支配し続けることが出来たことが大きな勝因であろう。優勝した阿部は入学直前に自転車に乗れないほどの大けがを負っていたが、同期の鎌田や柚木が活躍する中リハビリを続け復帰、この大舞台で結果を残した。

ロード競技で学校対抗得点35点を加点し、131点とした日本大学が3年連続55回目となる学校対抗総合優勝となった。

選手のコメント

ロード・レース優勝の阿部源(スポーツ科学部1年/松山学院)
 距離的に有力選手は後半に動くと考え、中盤から自ら動き、前待ちでレース展開に対応しようと決めていました。展開は作戦通り、8名中3人日大を含む逃げができ、終始日大のペースでレースを動かすことができました。
 残り7周を切ったタイミングで追走3名のチェックに入り、足を消耗させずに逃げていた集団に合流することができ、良い流れでレース後半を迎えることができました。
 最後は、先輩二人と共に逃げることができ、表彰台を独占する可能性がありましたが、惜しくもそれは叶いませんでした。しかしながら、猛烈に私たちを追走する集団に飲み込まれず動けたのは良い判断だと思います。こんなに上手くいく展開はあまり無いため、どんな展開でも勝てるように精進していきたいです。


惜しくも3位を逃したが序盤から逃げ続けた北嶋桂大(文理学部3年/氷見)
 今回のレースはとても悔しい結果となりましたが、レース序盤から最後まで逃げたことは自信に繋がりました。また、ようやく勝負に絡める段階まできたので調子に乗らず頑張りたいと思います。


主将・邊見竜馬(スポーツ科学部4年/学法石川)
 ロードレースでは同じ4年生の北宅を中心にこれ以上にない結果を出してくれました。ロードメンバーの4年生は北宅1人で大変なことばかりだったと思いますが、後輩たちも北宅を信じて着いてきてくれました。
 出場メンバー8人が強い気持ちでまとまってそれを全員で応援して最後は日大対決となり、最初から最後まで目を離せない感動のロードレースでした。


我妻敏監督
 総合得点が2位の中央大学さんと大きく差がある状態で望むロードレース。試合前日、選手には総合優勝を意識し過ぎて、保守的な思考になるのではなく、先手を取りレースの主導権を握りるよう声掛けしました。
 選手たちはイメージ通り、序盤から積極的な動きをしてくれ、終始主導権を握れたレースになったと思います。
 今回のインカレ全体を振り返ると、本当に学生が主体的に考えて望めた大会になったと思います。インカレはあくまでも、大学生がこれまで取り組んだ成果を表現する一つのチェックポイントでしかないと私は考えています。インカレで勝つことを目標に定め、その目標達成のために取り組み得た経験や知識・思考を、是非4年生には今後の人生に活かして欲しいです。

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