大学テニスの日本一を決める「2023年度全日本大学対抗テニス王座決定試合」が9月29日~10月4日、愛媛県総合運動公園テニスコートにて開催されており、10月4日、日本大学男子テニス部(以下日大)は決勝を戦い、3−6で慶應義塾大学(以下慶應)に敗れ、準優勝となった。

 ダブルス3本からスタートする王座では、ここでのダッシュが大きな鍵となる。山田眞幹監督が「2勝1敗、または1勝2敗で折り返したかった」とのちに語るように、最初の3連敗、そしてシングルスの第1試合で小泉煕毅(通信2年/浦和麗明)が敗退し、0-4と1戦も落とせなくなった日大にとって苦しい展開となったことは間違いない。

 それでもシングルスでは粘りを見せた。前日はダブルス、シングルスともに敗退していたS4の手嶋海陽(スポーツ科学部3年/神村学園)が、それを返上すべく、ストレートで1勝目をもたらすと、S2の石垣秀悟(経済学部3年/松商学園)、S3の丹下颯希(文理学部2年/新田)が続き、3-4に迫る。

 その時点でS6片山楓(スポーツ科学部4年/敦賀気比)の試合は、1セットダウンからフルセットへ持ち込む消耗戦の様相を呈していた。勝てばS1の髙悠亜(スポーツ科学部2年/関西)へ回せるという状況だったが、あと少しが届かず、3-6, 6-2 6-7(2)という拮抗したスコアで勝負が決まった。

 19年ぶりの王座奪還は叶わなかった。しかし令和の個性派集団、日大テニス部の名前を全国に知らしめしたことは間違いない。パワーの髙、堅実な石垣、両サイド両手打ちの丹下、スピンストロークからネットをとる手嶋、ボレーを駆使する小泉、ビッグサーブの片山…。皆がそれぞれ個性を伸ばし、型にはまらないテニスを見せる。

 試合経験は大学テニスだけではなく、プロも出場するオープン大会によって積み重ねており、強豪大学にはない自由度の高さが、王座優勝を見据えるチームとしての成長を遂げている。

「これまでは、選手たちのシングルスを優先させており、ダブルスの練習というところは不足していた。そこがダブルス0−3となり、勢いに乗れなかったところ。すぐにでもペア練習等で改善に取り組み、チーム作りを進めていきたい」(山田監督)

「笑顔でいきましょう!」
「笑っていきましょう!」
「頑張っていきましょう!」

 毎日練習時にこだましたこの声とともに、来年の王座奪還を目指し、新しい一歩がスタートする。

出場選手・監督コメント

主将 小川智裕(スポーツ科学部4年/柳川)

「できることは精一杯やったので、悔いはありませんが、やらなくてはいけないことが多く見つかりました。主将としても精一杯取り組めたと思います。日大の良さは仲が良く、誰とでも相談もできるし、話せるところ。この雰囲気を大切にしつつ、来年の王座優勝を目指して後輩たちは頑張って行って欲しい」

S1髙悠亜

「S1の藤原選手は本当に強くて、負けはしましたが、最強のS1と戦えて、いい経験になりました。優勝したかったのですが、みんな精一杯ファイトしての結果なので、この準優勝を来年に繋げたいと思います」

S2石垣秀悟

「シングルス、ダブルス計6試合戦った中、ダブルスを2回落としてしまい、そこは不甲斐なかった部分です。シングルスは全部勝てたので、それは来年につながると思います。今後は体力作りという面でも強化していきたい」

S3丹下颯希

「チームとしては準優勝という結果で終わりましたが、それでもみんなファイトした結果なので、悔いはありません。来年へ向けて新チームで1からまた優勝を目指して頑張りたいと思います」

S4手嶋海陽

「前日単複で負けていたので、絶対に勝ちたいという気持ちでシングルスを戦い、今大会で一番いいプレーができました。決勝では独特な緊張もあったので、来年は必ず優勝できるようにしっかり準備をしていきたい」

S5小泉熙毅

「応援や全員で盛り上がって戦えたので、日大らしくは戦えました。次の練習から今大会で良かったところ、悪かったところをしっかり反省して、改善していきたいと思います」

S6片山楓

「3年間、あまり試合に出られず、4年でテニスも良くなりメンバーとして出られるようになりました。負けたことは悔しいですが、ずっと戦っていて楽しかったです。王座の舞台で戦えたことは幸せでした」

D3齋藤成

「自分としてはダブルスで全勝を目指していたので、決勝で負けたのは悔しいです。でも改善点がより明らかになり、ボレーや決めるショットの精度やアベレージを上げていきたいと感じたので、来年に向けて取り組んでいきたい」

山田眞幹監督

「王座優勝を念頭に置いて戦ってきたので、準優勝という結果は残念ですが、早く会場に入り練習しながら身体を整えてきたので、やるだけのことはやったと思います。今年1部に上がり、王座に出られたこと、決勝へ進めたことは大きな経験になるので、それを生かし、来年は必ず優勝したい。ダブルスのチームとしての練習はもちろん、選手同士でも競争することによって、より強いチームになっていくと思います」

試合結果

[2]日本大学3-6 [1]慶應義塾大学
D=ダブルス、S=シングルス

D1:●髙悠亜/小泉熙毅3-6, 2-6 ○林航平/高木翼
D2:●石垣秀悟/手嶋海陽 6-7(1), 3-6 ○藤原智也/下村亮太朗v
D3:●齋藤成/丹下颯希 4-6, 4-6 ○有本響/菅谷優作
S1:●髙悠亜 4-6, 2-6 ○藤原智也
S2:○石垣秀悟 6-0, 2-6 6-4 ●林航平
S3:○丹下颯希 6-3, 6-3 ●下村亮太朗
S4:○手嶋海陽 6-4, 6-3 ●脇坂瑠衣
S5:●小泉熙毅 6-7(3), 0-6 ○高木翼
S6:●片山楓 3-6, 6-2 6-7(2) ○菅谷優作


【2023年度全日本大学対抗テニス王座決定試合/略称:大学王座】
地域リーグから勝ち上がった10大学が集まり、トーナメント戦にて優勝を争う。男子はダブルス(複)3+シングルス(単)6の計9ポイントで勝敗を決定する。日大は関東リーグ2位の成績を収め、関東第2代表として戦う。

※大学名の左に付いている[ ]はシード順位
 

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