2023年11月1日(水)から11月6日(月)まで兵庫県三木ホースランドパークにおいて全日本学生馬術大会2023が開催された。日本大学馬術部は障害馬術、馬場馬術、総合馬術の各競技にそれぞれ団体・個人で出場し、障害馬術団体三位、馬場馬術団体二位、総合馬術団体優勝を成し遂げ、各競技の団体総得点で争う三種目団体総合で13連覇を達成した。また馬場馬術個人では決勝競技で越後りの選手(スポーツ科学部3年)が桜蝶とのコンビで最終得点率69.545%を獲得して全日本学生馬術大会初出場で初優勝を飾った。

 

 全日本学生馬術三大大会は全国6つの地域ブロックから予選を勝ち抜いた人馬が出場して障害馬術、馬場馬術、総合馬術の三種目を競い合う。大学馬術部にとって一番目標にする大会である。

 第一種目の障害馬術には日本大学からアンナ・ボルトニク選手(生物資源科学部4年)&桜艶、川野剛選手(スポーツ科学部2年)&桜真、砂川成弘選手(スポーツ科学部1年)&桜望、門岡祐樹選手(スポーツ科学部1年)&桜京、大池駿和選手(スポーツ科学部3年)&桜妃の5人馬が出場。砂川、門岡は1年生でレギュラーに選出された。砂川とコンビを組む桜望はリオデジャネイロオリンピックに総合馬術日本代表として出場した馬で、過去の全日本学生でも総合馬術で優勝経験がある。
 障害馬術は2日間で合計2回の走行を行い、本学は団体総減点を-24として団体三位入賞を果たした。出場人馬の中で唯一の4年生であるアンナ・ボルトニク選手&桜艶は2回走行を終えた時点で総減点0としてジャンプオフに進出、7人馬で優勝を競い、総減点8となり個人6位入賞となった。

越後りの選手&桜蝶が初出場で個人初優勝を達成

   第二種目は馬場馬術だ。

 馬場馬術は越後りの選手(スポーツ科学部3年)&桜蝶、アンナ・ボルトニク選手&&桜羽、藤田華暖選手(生物資源科学部3年)&アラジンカンペルト、砂川成弘選手&桜宇の4人馬が出場した。一日目の予選競技(団体決勝)では越後りの選手&桜蝶が最終得点率66.778%で4位、砂川成弘&桜宇が64.333%で6位となり個人10位までの個人決勝へ進出。団体合計得点率は193.11%で団体2位となり三種目団体総合優勝に大きく前進した。

 10人馬で競う個人決勝は11月5日にインドアアリーナで行われ、越後りの選手&桜蝶が最終得点率69.545%を獲得し初出場初優勝を果たした。
 7番目に演技を終えていた越後選手は最終演技人馬の得点が場内アナウンスされた瞬間、仲間とともに優勝の喜びを噛み締めた。桜蝶とは昨年末からコンビを組む。繊細な性格だという桜蝶のいいところを引き出せるように毎日を共に過ごしながら馬との信頼関係を築いてきた。越後選手は「予選は4位でしたが決勝はこれまでやってきたことに自信を持って自分が一番乗れるんだと思って臨みました」と決勝の演技を振り返る。関東学生に続いて全日本学生でも優勝を果たした越後選手は現在3年生、来年の目標は「予選、団体、決勝の内容も完璧な内容で優勝すること」と言い切る彼女の言葉には意思の強さと自信が溢れていた。

総合馬術団体優勝 2名の1年生も出場

   最終種目は総合馬術競技だ。

 総合馬術には砂川成広選手&桜里、川野剛選手&桜空、伊丹媛香選手(スポーツ科学部1年)&桜恋、藤田華暖選手&桜燕、アンナ・ボルトニク選手&桜彩の5人馬が出場した。5人馬中2人馬は1年生のライダーで全日本学生初出場となる。

 初日の馬場馬術でトップに立ったのは72.25%のスコアを出したアンナ・ボルトニク選手&桜彩。団体でもトップを守り、二日目のクロスカントリーに進んだ。

 翌日のクロスカントリー競技は小雨が降る中で競技がスタート。アンナ・ボルトニク選手&桜彩は減点0で帰り二種目を終えた時点で総減点27.8としてトップをキープ。砂川成広選手&桜里はタイム減点0.4で総減点30.7点となり4位につける。

 クロスカントリーが終了時点での団体成績は総減点94.4で2位を大きく引き離して団体1位をキープしたまま最終日の障害馬術を迎える。
 総合馬術で注目したのはアンナ・ボルトニク選手&桜彩。ポーランドから来日してすぐにコンビを組んだのが桜彩だった。「日本に来て最初に出来た友達は桜彩でした。桜彩は私にとって特別な馬です」と言う。クロスカントリーは人馬にとって勇気が必要な競技。人馬の信頼関係なくして走り抜けることは出来ない。力強く障害物を飛越し、水濠を駆け抜けていく人馬の姿が目に焼き付くが何よりも印象的だったのはゴール直後にアンナ選手が桜彩を気遣うシーンだった。そこには4年間の感謝の気持ちと労いの言葉があったのかもしれない。

 最終種目の障害馬術は総減点が多い人馬から順番にスタートするリバースオーダー。

 トップを走るアンナ・ボルトニク選手&桜彩は最終走行、次に4位につける砂川成広選手&桜里がいる。悪天候の中で競技は進み、砂川成広選手&桜里は2反抗で失権、アンナ・ボルトニク選手&桜彩は障害物一落下で総減点4となり個人成績を5位で終えたが総合馬術競技団体は総減点115.3となり団体優勝と同時に13年連続の三種目総合団体優勝を決めた。

 団体総合の表彰式では悔しさを滲ませる選手と緊張から解放された1年生の姿が目に入った。本大会初出場となった砂川選手は「団体優勝の重みを知りました。大学日本一を目指して日本大学に来たので来年も頑張ります」と語った。彼らを馬付きとして支えた長田結愛主将(生物資源科学部4年)は「砂川成広&桜里は結果として失権となりましたが本当に馬も人もよく頑張ってくれました」と言う。

全員で掴んだ三種目総合団体13連覇

 馬術競技は出場した人馬だけでは成立しない。人馬を支える馬付きや総務、馬の輸送など様々な役割が馬術部を支えている。長田結愛主将は言う「私はみんなの一歩後ろから部を支えていけたらと思っています。全日本学生を勝ちたいという思いは皆同じですし、その目標に向かって自分が出来ることをしっかりとやることが大事だと思いました。今年は三種目各競技全ての団体優勝は叶いませんでしたがそれは後輩に託したいです」

 

 日本大学馬術部は2024年1月1日から14連覇への挑戦がスタートする。

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