2024年1月22日から28日にかけて天皇杯・皇后杯2024年全日本卓球選手権大会が東京体育館にて開催され、男子ダブルスで日本大学卓球部の小林広夢(スポーツ科学部3年・愛工大名電)・伊藤礼博(経済学部2年・安田学園)ペアが、準決勝で前大会準優勝ペアを破ると、決勝でも前大会優勝ペアを破る快進撃で初優勝を掴んだ。
 日本大学の全日本選手権男子ダブルス優勝は1980年度の海鋒仁さん・塩田晋宏さんペア以来43年ぶりとなる。

 日本大学同士のペアで大会に臨んだのは、加山裕(スポーツ科学部4年・愛工大名電)・吉山僚一(スポーツ科学部1年・愛工大名電)ペアと、昨年ベスト8で今大会はスーパーシードの小林広夢(スポーツ科学部3年・愛工大名電)・伊藤礼博(経済学部2年・安田学園)ぺアの二組。

 4回戦では加山・吉山ペアがスーパーシードの定松・髙見ペアと対戦し勝利(3-1)するなど、二組とも危なげないゲーム展開で勝ち進んでいく。
 そして迎えた5回戦、加山・吉山ペアの相手は全大会覇者の張本・森薗ペア。世界でも結果を残してきたペアを相手に加山・吉山ペアが善戦する。第1ゲームは9-11で落とすものの、第2ゲームを11-7で奪うと、第3ゲームも勢いそのままに11-9で奪って王手をかける。しかし、ギアを切りかえた張本・森薗ペアに第4ゲームを5-11で奪われると、最終第5ゲームも6-11で落とし、2-3で惜しくも敗退となった。
 小林・伊藤ペアはスーパーシードのペアを破り勝ち上がってきた学生ペアを3-1で退け、準々決勝に進出を決めた。

 準々決勝の相手は全日本社会人選手権3位の松下・藤村ペア。実力者との対戦となった小林・伊藤ペアは第1ゲームこそ奪われたが(7-11)、デュースにもつれ込んだ第2ゲームを17-15で奪い返すと、第3ゲームを11-3で圧倒、第4ゲームも11-6で抑え逆転勝利となった(3-1)。

 続く準決勝の相手は、2022年世界選手権銅メダル獲得ペアであり、前回大会で準優勝している及川・松島ペア。名実共に日本卓球界でダブルスをリードしている存在だ。同ペアとは昨年の同大会準々決勝で対戦しており、その時は3-1で敗れていた。
 ゲーム開始から先行するも徐々に追いつかれ、8-10で先にゲームポイントを握られるが、伊藤が相手のミスを誘うサーブ等で追いつき、デュースに持ち込む粘りを見せ、最後は13-11で第1ゲームを奪う。しかし、相手に第2・3ゲームを連取され(5-11、4-11)、後がない状況となるが、第4ゲームを取り返し(11-7)流れを引き戻すと、最終第5ゲームも相手に流れを掴ませることなく11ー6で逆転勝利、前回大会の雪辱を果たした。

 準決勝から約1時間後に行われた決勝戦、相手は前回大会優勝ペアの張本・森薗ペア、実績は言わずもがなだ。
 格上の相手に対し小林・伊藤はゲーム開始から集中したプレーを見せ、第1ゲームを奪う(11-8)。第2ゲームはリードするものの、調子を上げてきた相手に逆転され落としてしまい(7-11)、一進一退の展開となる。第3ゲームは先制されるが、ここから5ポイント連取や小林のバックハンドも光り9-4とリード。その後10-5でゲームポイントを迎えるが、連取を許し10-9と迫られてしまう。それでも最後は小林が3球目に回り込んでストレートに打ち込み、このゲームを奪って(11-9)セットカウント2-1で再びリードし王手をかける。
 第4ゲームは一進一退となるが、臆することなく打ち返し続けた小林・伊藤が終盤リードし11-7で勝利、全日本初優勝を成し遂げた。

 直後のインタビューで小林は「優勝を目指してやってきたが、パートナーが実力を発揮してくれて、そのおかげ」と後輩を労い、伊藤は「絶対優勝するという気持ちで頑張ってきたので、それが結果につながった」と結果を喜んだ。
 日本大学からの同大会ダブルス優勝は1981年の海鋒仁さん(文理学部卒)と塩田晋宏さん(商学部卒)のペア以来43年ぶりだった。
 ※当時3年生ペアとして活躍

 男子シングルスでは吉山僚一が4・5回戦を勝ち進むも、6回戦で吉村真晴選手に敗れベスト16で大会を終えた。混合ダブルスでは伊藤礼博・萩井菜津子(法学部2年・四天王寺)の日本大学ペアがベスト8まで勝ち進み、次回のシードを獲得。専修大学の出澤杏佳選手と組んだ小林広夢も同じくベスト8となった。

選手のコメント

優勝した小林広夢(スポーツ科学部3年・愛工大名電)・伊藤礼博(経済学部2年・安田学園)ペア
ー 大会に向けどの様な準備をしてきましたか。
小林「全日本で絶対に優勝するという気持ちで伊藤選手とも対戦相手の対策や得失点のパターンを話し合い準備してきました。今大会は男子ダブルスと混合ダブルスのみの出場だったので自分的にはダブルスの練習に専念する事ができたのが良い結果に繋がったと思います。」
伊藤「自分も全日本で絶対に優勝するという気持ちで、練習をしてきました。勝負は準決勝の松島、及川ペアだと思っていたので、対策を練って、練習をし、少しでも気になる点があったら(小林選手に)アドバイスをいただくというのを繰り返していました。」

― 小林選手は全日本学生選抜大学に続き今季2つ目のタイトルとなるが、自身が考える成長の要因は。
小林「プロとして、日本大学の選手としての自覚をもって日々の生活や練習に取り組むことができたのが成長の要因だと思います。すごく充実した大学生活を送れているので、改めて学校の方々や卓球部のみんなに感謝してます。」

― 伊藤選手にとって小林選手とはどのような存在ですか。
伊藤「Tリーグでも活躍するすごい選手だと思っています。また、Tリーグで学んだことを日本大学の練習で自分達に還元してくれて、いろいろ指導してくださるので、とてもありがたいです。」



前大会優勝ペアに善戦した加山裕(スポーツ科学部4年・愛工大名電)・吉山僚一(スポーツ科学部1年・愛工大名電)ペア
― 前大会の優勝ペアをあと一歩のこころまで追い詰めた試合を振り返ってみていかがですか。
加山「やはり、自分が穴だったかと思っています。要所要所大事な場面での自分のミスが目立ち、とても悔しいです。この4年間一度もタイトルを取ることができなかったため、悔しい4年間となりましたが新しい生活と卓球が始まります、また1から一歩一歩進んでいきたいと考えています。」
吉山「2-1とリードした場面で迎えた4セット目のスタートダッシュが悪く、流れが向こうにいってしまったことが敗因であり、勝つチャンスがあっただけにとても悔しいです。まだ試合が続くので、一戦一戦勝てるように頑張っていきます。」

― 加山選手は大学最後の大会かと思います、これまでの振り返りと今後の目標は。
加山「楽しかった反面、悔しい4年間でした。1年目は新型コロナウイルスの影響で、思うような生活や練習が出来ず、大学生活が少し不安でした。ですが、仲間や家族・監督コーチ陣に応援され、期待される事で、日本大学に貢献したいという気持ちを強く持つ事が出来たので、携わってくれた方々には心から感謝しています。今後は卓球を通して1人でも多くの人に勇気を与えられるような選手になりたいです。目標は今も昔も変わらず、日本代表として世界で活躍することです。」

― 吉山選手の今後の目標は。
吉山「ロサンゼルス五輪の日本代表です。そのためにはインカレや全日本で優勝しないといけないので今後も日本のトップで活躍できる選手になります。応援よろしくお願いします。」



混合ダブルスベスト8の伊藤礼博・萩井菜津子(法学部2年・四天王寺)ペア
― 次回大会へのシード獲得となりました、今大会を振り返っていかがでしょうか。
萩井「来年もまた全日本という舞台で戦える」ということが素直に嬉しいです。今大会は初戦からとても苦戦しました。第2シードというのもあってプレッシャーを感じていて、緊張してしまい中々思うようなプレーが出来ませんでした。
来年は、初戦から「逃げずに向かっていく」という気持ちを忘れずに表彰台を目指して頑張りたいと思います。」
小林「次回大会へのシード獲得は最低目標だったのでホッとしています。ですが、今大会はどの試合も負けてもおかしくないような内容だったのでその反省を生かして今後も全国で活躍していきたいです。」

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