4月8日、神宮球場で開幕した東都大学野球春季リーグ戦。日大は、亜大と対戦したが、2連敗で勝ち点を落としてのスタートとなった。しかし、2戦目では山内翔太投手(スポーツ科学部4年・習志野)がリアル二刀流を実現。1年生が神宮デビューするなど、長いリーグ戦を戦うチームにとっては好材料の開幕となった。

 

  亜大に1敗で迎えた10日、第2戦目。0―2で迎えた5回表、1死一、二塁で3番手として山内がマウンドに上がった。味方の失策で2失点するも遊ゴロに抑え、ピンチを切り抜けた。6回表には、5番橘田陸斗内野手(経済学部4年=山梨学院)がDHを解除し一塁へ。山内は7番相沢英光内野手(政治経済学部2年・山梨学院)の打順に投手としてエントリーされた。これまで、投手、野手、それぞれで試合に出場することはあっても、1試合中でDHを解除し投手そして打席に立つことは初めて。山内は「場内アナウンスで知りました。流れによってはあると思っていたんですが、ちょっと予想外だったかな」と、振り返るが、片岡昭吾(46)の言葉が、山内の闘志に火をつけた。「ここから打って勝つ。お前は勝ち投手だ」。逆転するためにはもう1点もやれない。「絶対に抑えてやろうと思いました」。力を込めた。
 1戦目のリリーフが生きた。「亜大打線は直球に強い。他の投手も直球にインパクトしていたので、変化球を使いながら直球を生かした投球にしようと思いました」。この冬、精度を高めたというチェンジアップとカーブで空振りを奪いながら、打ち取っていく。8回には味方失策で出塁を許すも、見逃し三振、空振り三振、そして三ゴロ。「この投球をすべてのイニングでできるようになれればいいと思いました」。3回 2/3 を投げ1安打1失点で、8回が終わったところでマウンドを降りた。

 一方、野手としては2打数無安打。「亜大投手は直球が速くて強い。打ち負けないようにしていたんですが、その裏をかかれ変化球を打たされてしまった」。8回2死満塁の打席では、「打ち気が強すぎて。崩されてしまいました」と、チェンジアップでタイミングを崩され二ゴロ。「打者の結果が良くなかったです」。投手と打者。敗戦の責任を受け止めた。
 昨秋、青学大と首位争いをしながら、あと1歩で優勝を逃し2位に。主力として戦った山内はその悔しさは忘れられない。優勝するために自分は何ができるのかー。考えた先に「二刀流」があった。昨秋、リーグ戦終了後、片岡監督に「二刀流やってみるか」と問われ「やります」と即答した。「これまで中途半端で。大学のレベルについていけない、未熟な部分があった。大学のラスト1年は本気で取り組みたい」と、覚悟を決めた。11、12月の練習試合では野手で3番に起用。年明けからは、投手の練習にも力を入れ両立した。
キャンプでは投手の練習メニューを中心に動き、打撃練習にも参加。倍の練習量にも「大変ではないです。うまくメリハリをつけてやっています」と笑顔を見せた。上半身と下半身の動きを連動させる投球フォームに改造。「右足を踏み出してからの安定感が出ました」と、真っすぐの力強さ、変化球の質を高めた。打撃では力強いスイングを課題に振り込んだ。
 片岡監督も、山内の挑戦を後押しする。「二刀流をやる以上は、いずれ先発で投げて、自分で打って、を目標にしろ。と。チームとしてもバリエーションをもって戦うことができる。二刀流は勝つための最善の選択をした結果です」。優勝を目指す思いはひとつだ。
 一人二役で、チームには欠かせない存在に、やりがいを感じている。「投手としては最優秀防御率。打者としては打率3割」を目標に掲げる。「使っていただけるのなら、結果を出さないと。野手にも失礼なので。そこは責任をもってやっていきたい」。

 勝ち点は落としたが、山内のリアル二刀流。そして1戦目では谷端将伍内野手(経済・産業経営3年=星稜)の1試合2本塁打。片岡監督は「打者はそれぞれバットを短く持ったり、打席の位置を変えたりと、工夫して取り組んで出塁はできている。ただ、チャンスで1本が出ない。その割り切りができるかどうか」と、決して悲観はない。また、中山敬斗投手(文理学部1年=明豊)が1戦目の中継ぎで1イニング。直江新(法学部1年=九州学院)が2戦目の抑えで1イニング、神宮デビューを果たした。「1年生の登板機会が出てきた中で、以外と落ち着いて投げてくれた。楽しみですよね」と、今後に期待する。山内もまた「下級生だから思い切って投げて欲しい。後輩たちにいい姿を見せられたら」と、刺激を受けている。
上級生、下級生、関係なく切磋琢磨(せっさたくま)しチーム力は着実に大きくなっている。次戦は4月16日(火)、駒澤大学戦(神宮球場)。さぁ、日大の逆襲はこれからだ!

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