東都大学野球秋季リーグ戦は第4週が行われ、日大は東農大に2連勝で勝ち点を2に伸ばした。1戦目では投打がかみあい11安打8得点で大勝。2戦目はエース市川祐(法3年・関東第一)が2安打1失点、完投で今秋3勝、リーグ通算15勝目を挙げた。17日には、國學院大との第3週3戦目(1勝1敗)を残しており、ここで勝ち点を挙げ第5週へ。優勝への望みをつないだ。

 優勝のためにはもう1戦も落とせない第4週2戦東農大戦に1年生が勝利を引き寄せた。1―1の同点で迎えた6回。1死一塁から米津煌太内野手(スポーツ1年・大垣日大)が高めの直球を捉え中越え適時三塁打で勝ち越しに成功。なおも1死三塁から4番の谷端将伍内野手(経済3年・星稜)、山口雄大内野手(スポーツ2年・西日本短大付)と続き、この回一挙3点を奪い勝利を確実なものとした。口火をきった米津は「なんとかチームのために1本打つことを考えて打席に立ちました。自分のヒットからつながり、得点できればいいと思いました」と、初々しく笑みをこぼした。

祖父が天国でも自慢できる孫であり続けたい―。

1年生ながら、今秋から3番に定着した米津は、打席に入るたび、心の中で手を合わせた。それは、開幕カードで中大に1勝し、迎えた2戦目の10日朝ことだった。母・ルナさんからの電話が鳴った。それは、前日9日、母方の祖父・重夫さんが亡くなった知らせだった。そして「おじいちゃんが応援してくれているから、頑張って」と、背中を押された。「開幕戦ということもあって、家族も気を遣ってくれたんだと思います。2回戦は気持ちを入れて戦うように、と『頑張ること』を教えてくれた。秋は何としても活躍しようと思いました」。
野球が大好きな祖父で、小さいころから野球の応援には必ずかけつけてくれていた。大学入学後は、動画配信をチェックしては、試合後には、「これじゃあダメだ、あそこで1本打てたらよかったのに。次はこうした方がいいぞ」と、厳しい言葉ばかりだった。
 祖父の愛情が心に響いた。告別式に出席すると、近所の方々から声をかけられた。「おじいちゃんはね、いつもあなたのことを褒めていたのよ」。厳しかった祖父の本音。自慢の孫だったと聞き、涙がこみあげた。「うれしかった…。僕にはいつも厳しかったので…」。
今夏は入院が続き、8月下旬、電話で「頑張れよ。活躍楽しみにしているからな」という言葉が最後だった。米津は重夫さんの言葉を胸に、2戦目からの7試合で25打数9安打4打点で3割6分。(1戦目を入れると3割2分1厘)。リーグの打撃成績でも上位にランクインしている。「家族も応援してくれている。悲しんでいる時期なので、自分が活躍して笑顔にさせてあげたい」。そして、祖父が天国でも自慢できる孫であり続けるように。17日國學院大戦と第5週の亜細亜大戦へ。全力で優勝をとりにいく。

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