5月3日(土)にAGFフィールドにて行われた関東大学サッカーリーグ戦1部第5節の桐蔭横浜大学戦。FW長谷川皓哉(経済学部4年/明秀日立)が相手ゴールをこじ開け先制。立ち上がりの一撃から主導権を握り、FW 関日向多(危機管理学部3年/JFAアカデミー) 、MF 植木颯(経済学部4年/日大藤沢)も得点を挙げた。途中、失点を許すも、桐蔭横浜大学との一戦を3-2で制し、3連勝でリーグ2位へと駆け上がった日本大学サッカー部。
 三日後の5月6日(火・祝)に行われた第6節で筑波大学との首位攻防戦に臨んだ。勝利すれば首位浮上も見えていた重要な一戦だったが、結果は0-2。この敗戦により、日本大学は順位を2位から5位へと落とすこととなった。(5月7日現在)

第5節 対 桐蔭横浜大学 個の力が連動、怒涛の3連勝。

2連勝、大量得点と好調の日本大学が対戦するのは、まだ白星を挙げられていない桐蔭横浜大学(5月3日時点)。日本大学にとっては、このまま好調を維持する上で確実にものにしたい重要な一戦。期待と緊張が交錯するピッチに、試合開始の笛が響き渡った。

試合は開始直後から大きく動いた。前半2分、先制のゴールを決めたのは、得点ランキングでも上位につけるFW長谷川。ゴール前右サイドからクロスが上がり、相手DFにはじき返されるも、ボールを離さない日本大学。FW関が狙いを定めてシュートを放つが、惜しくも相手DFによりブロックされる。しかし、狙っていたかのように飛び込んだFW長谷川が、ゴールネットを揺らす。混戦した状況の中で見事な位置取りを見せ、先制点をマークした。
「立ち上がりに相手陣地に押し込んだ中で、自分のところにボールがこぼれてきたので思い切って打ちました。最近、ボックス内やボックス付近で積極的にシュートを打つ意識を練習時から持っていたので、結果的にゴールに繋がって良かったです」と長谷川は振り返る。(1-0)

スコアは動かずとも、日本大学は果敢に攻撃を続ける。その勢いは、まるで本拠地で戦っているかのようだった。AGFフィールドの空気を支配し、スタンドから見守る日本大学サポーターの士気を一気に押し上げた。

そして開始から20分。再び日本大学にチャンスが訪れる。右の縦パスに素早く反応したFW平尾勇人(文理学部3年/四日市中央)は、持ち前のフィジカルの強さで相手DFに競り勝ち日本大学に決定的なチャンスを作る。空中に上げたボールをMF田中慶汰(経済学部4年/川崎U-18)が冷静にヘディングでMF石川晴大(経済学部3年/清水Y)へと届け、ポケットへ走り出したFW長谷川にパスが渡る。即座のマイナスのクロスに反応したFW関がシュートを放つも相手GKの好セーブにより弾かれる。しかし、こぼれ球をFW関自ら反応し、ダイレクトで押し込む執念を見せた。(2-0)

個の力だけではなく、それを生かす連携の質の高さ、ゴールへの執着が今の日本大学の強さだと考える。

しかし41分、桐蔭横浜大学による反撃が開始された。日本大学はカウンターを止めるも相手の勢いまでは断ち切れず、流れを掴んだ桐蔭横浜大学は、杉本選手の左足から放たれた精度の高いクロスに合わせたンワディケ選手の高い打点からのヘディングにより、1点を返すことに成功した。(2-1)

その後、両チームともに得点は動かず、AT2分が経過。失点こそあったものの、日本大学は2-1とリードのまま前半を終えた。

後半が開始して間もなく、日本大学にチャンスが訪れる。57分、相手が保持していたボールを奪い取った日本大学は、素早くカウンターを仕掛ける。MF植木がドリブルで相手選手を突破し、シュートコースを潰そうとする守備陣をものともせず、振り抜いた足から放たれたボールが勢いよくゴールに突き刺さった。日本大学主将植木が見せた豪快なシュートであった。(3-1)

ここで77分、
FW関に代わりMF野澤勇飛(文理学部3年/日大藤沢)
FW長谷川に代わりFW中川粋(経済学部2年/長崎日大)
FW平尾に代わりFW五木田季晋(スポーツ科学部3年/川崎U-18)を投入。

後半80分、桐蔭横浜大学が意地を見せて粘り強い攻撃を仕掛ける。ゴール近くのスローインから展開されたボールを受けた梁選手が、左サイドからファーポストを狙ってロングパスを供給。そこへ絶妙なタイミングで走り込んだ池田選手がヘディングで合わせ、ゴールを奪った。試合の流れを相手に渡しかねない、痛恨の失点となった。

86分MF浅野良啓(文理学部4年/湘南U-18)に代わりDF 白濵聡二郎(法学部2年/セレッソ大阪U-18)を起用し、嫌な流れを断ち切りにかかる。

ATは3分。残りわずかな時間に懸ける両チームの思いがぶつかり合い、ピッチ上には緊張が走った。会場の空気はどんどん重くなり、そして次第に熱くなり、試合は一層の緊迫感に包まれていった。

日本大学は最後のカードを切り、90+4分にMF田中に代わりMF 浅倉心魂(危機管理学部2年/SC相模原)をピッチに送り出した。

そして終了のホイッスルが鳴り響いた。リードを広げてもその後に失点を許すなど、最後まで油断が出来ない展開となったが、日本大学は揺るがなかった。緊迫した展開を乗り切り、3-2の勝利という結果を出した。

今節の試合では、個々の能力の高さはもちろん、ピッチ全体での連動性も際立った。誰もがゴールを狙い、貪欲に得点を目指す姿勢が印象に残った。何より、全員の想いがひとつになっていたからこその結果。一人ひとりが同じ方向を向き、それぞれの執念が形となって生まれた3得点は、まさに気持ちのこもったゴールだったように思える。

この勝利で日本大学は3連勝を飾り、リーグ順位を2位にまで押し上げた。得点ランキングで上位に名を連ねる選手たちがチームを牽引し、リーグ戦前半のこの時点において、今後進むべき方向性を示す、視界を広げるような一戦となった。

次節は首位の筑波大学との重要な一戦。この試合に対して主将植木は、「今節では3得点を挙げたものの失点もみられ、課題が多く見つかった試合でした。筑波戦まで時間は限られていますが、しっかりと修正して首位の筑波大学に勝ちたいと思います」と、チームとしてやるべき事を見据えていた。

2得点目を奪い、流れを繋ぎとめたFW関日向多(危機管理学部3年/JFAアカデミー)

ー 桐蔭横浜大学戦を終えて
桐蔭横浜大学に対しては、勝ち点3は絶対取ろうという気持ちで望みました。先行した試合展開でしたが、失点が重なり自分達から苦しい展開にしてしまったので、もっと楽に試合を運べるようにしたいです。

ー 試合を振り返り、今後チームの中でどのような役割を果たしていきたいか
個人の目標としては2桁ゴールを取りたいです。チームの中での役割は、絶対的な存在になってチームを勝たせられる選手になりたいです。

第6節 対 筑波大学 敵地1グラに乗り込み、臨んだ首位攻防戦

3連勝と波に乗る日本大学。この勢いのまま、ここで筑波大学を絶対に倒したいところ。ピッチに立つ者だけでなく、部員全員の胸に、勝利への強い執着とチームへの誇りが熱く宿っていた。

試合は筑波大学のキックオフでスタート。土砂降りの中、両チームは激しくボールを奪い合う。踏ん張りがきかない厳しいピッチ・コンディションにも関わらず、選手たちは懸命にプレーを続けた。

前半12分、試合が動いた。筑波大学が獲得したコーナーキックの場面で、安食選手が左足で放った高精度のボールは、ファーサイドで待ち構える池谷選手へと吸い寄せられるように向かった。池谷選手の狙い定められたヘディングにより、ボールは日本大学GKの頭上を越えてゴールネットを揺らした。まさに計算し尽くされたセットプレーからの一撃だった。(0-1)

アウェイの地、悪天候という状況下で、先に主導権を握りたかった日本大学にとって、痛恨の一撃となった。しかし、この程度では、選手たちの闘志は揺らがない。攻撃の起点となるMF田中慶汰(経済学部4年/川崎U-18)、MF植木颯(経済学部4年/日大藤沢)が中盤を支配し、そこに連動するように、ゴールへの執念を燃やすFW陣の平尾勇人(文理学部3年/四日市中央)、関日向多(危機管理学部3年/JFAアカデミー)、長谷川皓哉(経済学部4年/明秀日立)が果敢に前線に切り込んでいく。特に、攻撃にウェイトを置きつつも、守備にも奔走するオールラウンダーのMF浅野良啓(文理学部4年/湘南U-18)とMF石川晴大(経済学部3年/清水Y)の献身的プレーが、チームに勢いを与えた。

左サイドを軸にチャンスをうかがう日本大学だったが、筑波大学の守備陣は分厚い壁となって立ちはだかる。ボールポゼッションの時間は長くとも、肝心のゴール前ではスペースを与えてもらえず、もどかしい時間が続いた。

前半26分、筑波大学が再び攻勢に出る。日本大学のゴール前に迫ると、廣井選手が巧みに日本大学のDF陣を揺さぶり、マイナス方向へときれいにパスを出した。それを受けた安食選手が上げたクロスに対し、小林選手がファーサイドで頭で合わせ、またしてもボールはGKの頭上を越えてゴールイン。日本大学にとっては、痛い追加点を許してしまう形となった。(0-2)

日本大学は、ここで嫌な流れを断ち切り、自分たちに引き寄せるべくギアを変える。前半34分、怒涛の攻めを仕掛けてコーナーキックを得る。MF浅野が蹴ったボールは相手DFに弾かれるが、こぼれ球がDFアピッチ輝(法学部4年/浦和Y)の足元へ転がる。狙いすましてシュートを放つが、再び相手DFのブロックに遭った。しかし、ディフレクトしたボールは筑波大学のゴールに向かって落下。そのままネットを揺らすかと思われたが、相手GKのパンチングで惜しくも得点ならず。再びDFアピッチの元にボールが戻って来るも、シュートはわずかに上へ外れ、あと一歩のところでゴールを逃した。

アディショナルタイム2分が表示されたものの、両チームともに追加点はなく、そのまま0-2で前半を終えた。日本大学としては、後半での巻き返しが求められる展開となっていた。

ハーフタイムで日本大学は、DF青木大和(法学部3年/日大高校)をDF白濵聡二郎(法学部2年/セレッソ大阪U-18)へと交代。圧倒的フィジカルをもち、攻撃力のあるDF白濱を起用することで、試合のリズムに変化をもたらすことを狙う。

しかし、試合は膠着状態のまま時間だけが過ぎて行く展開となる。両者ともに得点へつながらず、2点をリードする筑波大学の選手たちに徐々に余裕が生まれてくる。一方、日本大学はこの状況を打開しなければならず、少しずつ焦りが見え始める。

互いに攻撃の形をつくりながらも得点には至らないまま、66分が経過。日本大学はMF田中に代えてMF野澤勇飛(文理学部3年/日大藤沢)を投入し、流れを変えにかかる。さらに71分、80分と立て続けにFW長谷川からFW五木田季晋(スポーツ科学部3年/川崎U-18)、MF浅野からMF阿部水帆(文理学部2年/浦和レッズ・Y)、MF石川からDF松本大地(危機管理学部4年/帝京長岡)とすべての交代カードを切り、全てを懸けて勝負に出た。

後半84分、日本大学はDF松本、MF野澤が強烈なフィジカルを発揮。相手を身体で弾き飛ばしながらボールを死守し、タッチライン際の攻防を制した。このプレーからチャンスが生まれ、続くFW五木田が右サイドを突破。巧みなステップで2人を振り切り、一気にゴール前へと迫った。ゴールまであと一歩のところで相手の粘り強い守備に阻まれ、惜しくもフィニッシュには至らなかった。

日本大学は、試合の終盤には主導権を握り続けて怒涛の攻めを展開したが、筑波大学の堅牢な守備に遭い、得点には結びつかずにいた。両チーム共に勝利への執念が感じられる時間帯となった。

日本大学が攻め続ける中、後半87分、筑波大学にボールが渡り、カウンターを仕掛けられた。自陣深くまで持ち込まれ、1対1の場面を迎えるが、DF國枝蒼空(スポーツ科学部2年/横浜FC・Y)の強靭なフィジカルと的確な読みで相手の突破を許さず、日本大学はピンチを切り抜けた。

アディショナルタイム3分が表示されてもなお、スコアは変わらず、2点を追う日本大学は最後までゴールを目指し攻め続けていた。しかし、筑波大学の統制の取れたディフェンスにことごとく阻まれ、無得点のまま時間だけが無情に過ぎていく。

ホイッスルが鳴り響き、試合はそのまま0-2で終了。筑波大学はホームでの大一番を制し、単独首位へ。日本大学は勝ち点を伸ばせず、5位転落となった。

後半は日本大学が主導権を握る時間が続き、執念と共にゴールに迫ったが、ぬかるんだピッチや判断を狂わせる悪コンディションに苦しみ、最後までネットを揺らすことはできなかった。

リーグはまだ続く。次節までの2週間を経て、日本大学サッカー部はどう立て直し、さらなる進化を遂げられるか――日本大学サッカー部の真価が問われる。

次節の予定

【関東大学サッカーリーグ戦1部第8節】
5月18日(日)14:00
vs流通経済大学@味の素フィールド西が丘

【関東サッカーリーグ1部 第5節】
5月17日(土)14:00
vs東京23FC@日本大学 アスレティックパーク稲城サッカー場



文責:井上希羽(スポーツ科学部2年/淑徳巣鴨)
画像:日本大学サッカー部 広報班

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