光明は見えたものの、勝ち点への道のりはまだ険しい。

 ようやく、抜け出した。東洋大に先勝を許した日本大だが、2回戦はエース・市川祐(法学部4年・関東一)が8安打を許しながら、無四球で完封して1対0。この春季リーグ、國學院大との開幕戦で勝ってから7連敗と長いトンネルに入っていたが、久々の2勝目となった。この試合、市川祐が要した球数は89で、やはり96球で完封した開幕戦に続き、今季2度目の「マダックス」である。
 本来なら、1回戦にはエースが先発するのがリーグ戦の常道である。だが、そこまで6連敗の日大。なにか手を打たなければと考えた片岡昭吾監督が、「相撲でいうなら、立ち合いの"変化"」として、市川祐を2回戦に回した。「1回戦で先発した菅澤宙(生産工学部2年・中京)の調子がよかったので、継投で先勝し、市川祐で勝ち点を」というプラン。目論見は外れたが、エースが期待通りの投球を見せてくれた。開幕戦の勝利以来、中央大1回戦、青山学院大3回戦と先発を託されながら早々に降板し、「責任を感じていた」市川祐だが、「内容自体はそんなに悪いとは思っていなかった。ただ、甘くなったボールを打たれるケースが多く、外角低めに丁寧に投げること、またインコースを攻めることを練習してきた。今日は序盤からしっかりと真っ直ぐで押せたので、初回から飛ばしていこう、と。その真っ直ぐが走っていたし、それが効いたので、後半は変化球を多くしてゴロを打たせられた」
 片岡監督はいう。「もともと三振を取るタイプじゃないが、ここまでは外角、外角と偏りすぎていたところがある。すると終盤には相手打者が踏み込んできて、とらえられる。だから"内角を有効に使おう"ともう一度確認し、捕手の南條碧斗(危機管理学部4年・報徳学園)もよくリードした」。この日はフライアウトが11、ゴロアウトが9と、打たせて取る持ち味を存分に発揮した。9回には足がつりかけたが、最後の打者は「変化球で追い込んだので」最後は真っ直ぐ、この日2個目の三振で締めた。

 今季はチャンスでここ1本が出ない日大打線、虎の子の1点は3回だ。スクイズに失敗したボールを相手捕手が捕りそこねる間に三塁走者の菊地弘樹(法学部3年・木更津総合)がホームを陥れたもの(記録は本盗)。菊地はいう。「なんとか1点を絞り出したいと気持ちが高ぶり、ちょっとスタートが早すぎたのは反省点」。そのため相手バッテリーに見破られはしたが、ラッキーだったのは要求が変化球だったこと。そのためにショートバウンドして捕手が捕り切れなかった。「もしストレートのサインなら、高めに外されてタッチアウトだろう」とは片岡監督だが、捕手のタッチをかいくぐった菊地は「忍者のような」(片岡監督)ワザありの走塁ではあった。

こうして、トンネルを抜けたはずの日大だった……が。

翌日の東洋大3回戦は、エースとしての責任感からか市川祐がマウンドへ上がも前日の疲労もあり初回からつかまって3失点。東洋大・井上大監督は前日、打線のつながり不足を嘆いていたが、一番に抜擢した金丸健司の初球ヒットから、完全に勢いに乗った格好だ。総力戦で臨んだ日大は、以後もくり出す投手がその勢いに飲まれて大量失点。4カードを終了して、いまだ勝ち点を手にできていない。5季連続優勝を狙う青学大が亜細亜大から勝ち点を挙げてトップに立ち、勝ち点を2とした東洋大と中央大(もしくは國學大)が残留を決めた今季。本学はいまのところ最下位だが、最終週・亜大戦の結果次第では、入れ替え戦を免れる可能性もある。片岡監督はいう。
「今日は大差がつきながら、試合中誰もあきらめる姿勢を見せていなかったのは次につながる。最終戦は、なんとか食らいついていきたい」
 5月22日(木)、23日(金)に神宮球場で行われ、第二試合の11時30分プレイボールを予定している。
チーム一丸となって勝ち点を取りにいこう

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