日大バッテリーが築く信頼 【日本大学】
■東都大学野球リーグ
日本大4-3亜細亜大
日本大0-2亜細亜大
日本大0-1亜細亜大
青山学院大が5季連続Vを決めた東都大学野球春季リーグ。最後に残ったカードは、日本大と亜細亜大の3回戦だ。日大にとっては、勝てば1部残留、負ければ入れ替え戦……という大事な一戦となった。
今季の日本大を象徴するような試合だった。
勝ち点のないまま迎えた亜細亜大との3回戦。もし日大がこの試合を勝てば、勝ち点1で4勝9敗となる。先に全日程を終えた國學院大は、3勝9敗の勝ち点1だから、勝率で上回り5位となるが、もし敗れると入替戦に回ることになる。そういう一戦だ。だが亜大の先発・齊藤汰直の前に打線が沈黙し、5回まで1人の走者も出せない。6回には、救援した山城京平から四球と野選などで無死一、二塁のチャンスをつかむが後続が凡退。8回途中から登板した井上悠に対しても快音は出ず、3投手の継投でノーヒット・ノーランを達成されてしまう。10三振を喫し、三塁までも走者を進められないのでは、エース・市川祐(法学部4年・関東一)がエラーがらみで失った1点があまりにも遠かった。
先勝して迎えた2回戦も、山城-井上のリレーにわずか2安打で零封され、やはり三塁さえ踏んでいない。東都リーグ各校にはドラフト候補も含めて好投手が居並ぶとはいえ、今季の日大打線はあまりにも打てなさすぎた。13試合でわずか21得点だから、一試合に2点を取れない計算。最多得点は敗れた中央大1回戦の「4」で、複数得点したイニングはたった3回しかない。
リーグ前の手応えはあったはずだ。昨秋は4位だったが、チーム打率.266は優勝した青山学院大をしのぐ1位。7本塁打も1位タイだ。その打線から2季連続首位打者、3季連続ベストナインの主砲・谷端将伍(経済学部4年・星稜)、同じく昨秋ベストナインの川崎大也(生産工学部4年・佐野日大)、米津煌太(スポーツ科学部2年・大垣日大)らが残り、さらに他メンバーの底上げも期待され、ある程度戦える布陣。それどころか、エース・市川祐を擁し、優勝争いの一角に入ってもおかしくなかった。
だがフタを開けてみれば、チーム打率が昨秋から大幅ダウンの.166。谷端は國學大との開幕戦こそ決勝二塁打を放ったが、シーズン通しての打率は.196で、米津と川崎にいたっては1割にも満たず悔しさが残る結果となった。この経験を糧に、彼らの今後の奮起に期待したい。きっと、一回り大きくなって帰ってくるだろう。
今季3割超えの富塚隼介(危機管理学部3年・日大三) 【日本大学】
今季2本塁打の山中海斗(法学部4年・木更津総合) 【日本大学】
リリーフで11試合に登板した直江新(法学部2年・九州学院) 【日本大学】
一方で、頭角を現した選手もいる。3割超えの富塚隼介(危機管理学部3年・日大三)、自身初安打がホームランとなり亜大1回戦では逆転3ランを放った山中海斗(法学部4年・木更津総合)。
投手では直江新(法学部2年・九州学院)がリリーフで11試合に登板し確かな実績を残した。
最下位が決まり、これで入替戦に回る日大。2部の優勝はまだ決まっていないが、専修大、駒澤大などどのチームがきても好投手が相手になる。打線がどれだけ巻き返せるかが大きなカギを握るだろう。
「今日は負けましたが、変化球でゴロを打たせるという自分の投球ができました。入替戦はプレッシャーがかかりますし、簡単ではありませんが、自分がゼロに抑えれば、負けることはありません」と市川祐が力強く言う。
「負けたら2部に落ちる。どれだけ肚をくくって臨めるか、1部のプライドをしっかり持って戦います。違うチームになって、ここに帰ってきます」と片岡監督。
入替戦は6月23日(月)、24日(火)神宮球場で行う予定である。