最下位に終わった今年の箱根駅伝。巻き返しを図るべく、日本大学陸上競技部特別長距離部門は成長の鍵を握る夏合宿を8月上旬から北海道釧路市でスタートさせた。選手それぞれが、さまざまな想いを抱いてハードな練習に取り組む中、冨田悠晟選手(法4・草津東)は、2度目の箱根出走はもとより、全日本駅伝での好走も狙っている。(取材日:8月15日)

今年、初めての箱根駅伝は「隠れたエース区間」と言われる3区を任された。しかし、「1月2日にピークを合わせられなかった」と、不本意な区間20位。「自分としてはもっと上の順位に行けるという自信があったのですが、箱根の壁はすごい厚かったなという印象。3区を走った上位校の選手たちの強さを、肌で感じることができました」

4年生として最後に賭ける思いがある。これまでコンディションが整わないままスタートラインに立つことも多かったが、今シーズンは練習でも一本一本を大切に走るようになり、「自信を持ってレースに挑めるようになった。1つ1つの試合がラストになるからこそ、大事にしていくんだという思いでやっています」

そうした中で出場した、2月の神奈川マラソン(ハーフ)と3月の立川シティハーフマラソンで連続して表彰台に昇った。5月の全日本大学駅伝関東地区選考会もチーム2番目のタイムで走り、3大会ぶり43回目の本戦出場に貢献。この時、教育実習のため地元に帰省しており、チームに合流したのはレース前日のこと。「1人で田んぼ道を走ったり、近くの公園で練習していましたが、心細く寂しさもありました」と笑う。

「大学日本一を決めるレースなので、入学前から出たいと思っていた」という全日本大学駅伝は、箱根駅伝予選会の2週間後という厳しい日程になる。それでも「試合間隔が短いことを言い訳にせず、しっかりコンディションを整えてベストな状態で他大学のエースたちと戦い、勝っていきたい」と、強い思いを抱く。「昨年の立教大学さんのように、勢いのままに全日本のシード権を獲りたいと思っています」と意気込みを見せた。

「自分がチームを引っ張っていかなければ」という意識も高まってきた。「1年生の勢いがあるので、僕ら4年生も含め上級生たちに危機感が芽生えている。下からの突き上げがチームを強くしている」と話し、同時に「自分がしっかり走らないと、チームとしてもう1つ上の段階には行けない。自分がエース的な立場で頑張りたいと思っています」と自覚を見せた。

卒業後は実業団で競技を続ける冨田選手だが、「将来的には中学生・高校生に陸上を指導したい」という夢もある。教育実習に行った母校の中学校では、生徒や教職員との間で「箱根駅伝」によるコミュニケーションが生まれ、「自分のやってきた努力を褒められる形になって、すごくうれしかった」と顔をほころばせた。

「自分は強い選手ではなかったけれど、日本大学に来て選手としても、人間としても成長できた。ここで積み上げてきた経験を、後輩たちに還元していくためにも、まずは結果を出して強い日大を見せたい」と語る。「監督が変わり周囲からも“新しい日大”だと思われているので、その象徴的な選手になりたいと思っています」と、さらなる成長を誓った。

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