
山口 聡太(左)・山口彰太(右) 【日本大学】
最下位に終わった今年の箱根駅伝。巻き返しを図るべく、日本大学陸上競技部特別長距離部門は成長の鍵を握る夏合宿を8月上旬から北海道釧路市でスタートさせた。選手それぞれが、さまざまな想いを抱いてハードな練習に取り組む中、山口彰太(スポーツ科3・佐野日大)・聡太(文理3・佐野日大)の双子の兄弟は、同時出走をめざして切磋琢磨を続けていた。(取材日:8月15日)
中学、高校(佐野日大高)と、ずっといっしょに走ってきた山口兄弟。大学では、昨年の100回大会では弟の聡太選手が1年生ながら16人のエントリーメンバー入り。今年の101回大会は兄弟揃ってメンバーに登録され、「双子ランナー」としても注目されたが、初めての箱根を経験できたのは、当日変更で10区を任された兄の彰太選手だけだった。
「走ることになった時は、少しバタバタしましたが、走るかもしれないという心構えはしていたので、レースにはすんなり入ることができました」という彰太選手は、「チームとしての結果が悪く、そういう姿を見せてしまったことに、応援してくださる方々に申し訳ないという気持ちでした」。そして「沿道の人の多さがものすごくて、今までのレースの中で一番多かった。そういう中で走ることができたのは、とても貴重な体験になりました」と笑顔を見せた。
本戦を前に体調不良となり、6区のサポート役に回っていた聡太選手も、人の多さに驚いたという。大手町に戻る途中で何区間か沿道から応援してきたが、「10区は本当に人が多すぎて、最初は前の方に近づくことができませんでした。ただ、上位のチームが通過したら急に人の数が減って、スッと前に入れたので(彰太選手に)声をかけることができました」。そして「大勢の方々が応援してくれているところを走れるって、やっぱりいいなと感じました」と悔しさもにじませた。

「同じレースで走る機会はあまりないんですが、丸亀ハーフの時は、彰太が前を走っていたのでとても意識しました」と話す双子の弟・山口聡太選手(左)と兄・彰太選手(右)。その掛け合いに、仲の良さが感じられた。 【日本大学】
5月の全日本大学駅伝関東地区選考会では、1組目に聡太選手が出場。レース後半になって集団から抜け出して好位置をキープすると、そのまま流れに乗って40人中の7位でゴールした。この時ケガで走れなかった彰太選手が「チームがすごい盛り上がりましたし、後ろの組にいい流れを作ってくれました」と弟の力走を称えると、「昨年は1組目で20位に終わり、チームに勢いを作れなかった。今回は、しっかり流れを作れるようにと思い臨んだので、本戦出場権を獲れて(総合4位で)本当に良かったと思います」と、聡太選手も頬を緩めた。
自身の強みを「後半に粘り強いところ」(彰太)、「今はスピードが持ち味」(聡太)と話す2人。ふだんから仲がいいというが、「練習で競り合う時などは、ちゃんとライバル意識を持ってやっています(笑)」とうなずきあう。
「昨年より今年の方がきつい」と口を揃える夏合宿。彰太選手は「そろそろ楽しくなってきましたね」と笑みを浮かべ、「昨年は終盤に脚を痛めてしまったので、今回は最後までしっかりと走り切りたい」と気を引き締めた。また聡太選手は、「昨年、ポイント練習の際に遅れてしまうことがたまにあったので、今年は100%しっかり消化できるように意識しています」と胸を張った。
箱根予選会に向けては、「チームとしての力は絶対に上がっている。昨年の通過順位を上回り、本線でのシード権に近づけるような走りをしたい」と話す彰太選手。一方、昨年はチーム11番手に終わり、「何も貢献できなかった」という聡太選手は、「この夏をケガなく乗り越え、その後も練習をしっかり積んで予選会に臨みたい。チームに貢献できる走りと、個人の結果にもこだわっていきたいと思います」と力強く語った。
箱根駅伝の本戦を走るという目標は同じだが、兄は「今回の悔しさを晴らしたいので、もう一度10区を走りたい。しっかりシード権を獲って笑顔でゴールテープを切りたい」と言い、弟は「1区か3区。力がついてきたと思うので、上位の大学の選手たちと戦って、チームにいい流れをもたらしたい」と意気込みを見せる。「2人でタスキリレー」という夢は、もう1年先になるのかもしれない。

山口彰太選手(兄) 【日本大学】

山口聡太選手(弟) 【日本大学】