最下位に終わった今年の箱根駅伝。巻き返しを図るべく、日本大学陸上競技部特別長距離部門は成長の鍵を握る夏合宿を8月上旬から北海道釧路市でスタートさせた。選手それぞれが、さまざまな想いを抱いてハードな練習に取り組む中、高田眞朋選手(スポーツ科3・宮崎日大)もまた、悔しさを力にして、箱根路を走る夢に挑んでいる。

「本当に悔しかった」と、当日変更で出走できなかった今年の箱根駅伝を振り返る高田選手。「自分の競技目標でもあった箱根駅伝を走るチャンスを、自分の詰めの甘さによる体調不良で逃してしまった上、当日変更でチームメイトにも迷惑をかけてしまい申し訳なかったです」

それから心機一転、好記録を出し続けた昨シーズンのような成長を目指していたが、2月上旬に発症した中臀筋の痛みが約2ヶ月続き、練習をセーブせざるを得なくなった。
「全く走れなかったわけではありませんが、強度の高い練習を積むことができませんでした。チームメイト、特に同学年のメンバーが安定して練習を積んでいたので、このままだと負けてしまうという焦りと不安が大きかった」
しかし、「焦ったところでケガが治るわけではない」と切り替え、不安な気持ちを抑えて治すことに集中したという。

4月以降の状態は「昨年と比べて大きな差はないと感じています」との言葉通り、5月の関東インカレは10000m1組8位、全日本大学駅伝の関東地区選考会でも3組10位と、主要2レースとも組上位で走り切った。それでも「走り自体の状態は悪くないと思いますが、ケガのこともあって不安な気持ちを持ったままスタートラインに立っていた。メンタル面では少し弱っていたと思いました」。
その全日本選考会では、出走する各選手が右腕に「古櫻復活」と描き、左腕には好きな1文字をマジックで書き込んでレースに挑んでいた。
メンタル面に不安があった高田選手は、「自分は常に挑戦者だ」という強い気持ちを言い聞かせるために「挑」という1字をチームメイトに書いてもらって出走。「結果もさることながら、しっかり走り切れたことへの安心感と、チームとして予選通過できたことがとてもうれしかったです」

この夏、北海道合宿への参加は叶わなかったが、高田選手の照準は10月18日の箱根予選会に向けられている。「箱根駅伝はチームとして1番大きな目標。そのためにまずは予選会で自分の力を出し切り、予選通過に貢献する走りをします」と力強い言葉で語る高田選手。その高い潜在能力を披露する舞台は、今年逃した箱根路がふさわしい。

ニュース一覧へ